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映像制作の魅力を決定づける「フレームレート」。その仕組みと実践的な選び方

映像を見ているとき、私たちは動きの滑らかさや、シーンごとの臨場感に引き込まれます。その背景にあるのが「フレームレート」という重要な要素。今回は、映像制作におけるフレームレートの基本から、最適な選び方まで、視覚的なインパクトを高めるための知識をご紹介します。


フレームレートとは何か?

フレームレート(frame rate)は、動画や映像で1秒間に表示される静止画像の数(フレーム数)を意味し、その単位は「fps」(frames per second)です。フレームレートが高いほど動きが滑らかに感じられ、逆に低いと動きがカクついたり、ちらついたりします。映像の特徴や視聴体験に大きな影響を与えるため、映像の用途や目的に応じた適切な選択が求められます。

代表的なフレームレートとその用途

映像のジャンルや目的に応じて、フレームレートを選ぶことが重要です。以下の代表的なフレームレートとその特徴を見ていきましょう。

24fps - 映画やシネマ映像

24fpsは、映画の「シネマルック」に欠かせないフレームレートです。少し動きがぼやけることで、滑らかさよりも自然な動きが重視され、映画らしいリアリティを演出します。長年映画の制作に使われてきたこのフレームレートは、視覚的に夢のような、幻想的な雰囲気を作り出すために最適です。

30fps - テレビやドキュメンタリー映像

30fpsはテレビ放送やドキュメンタリー、日常的なビデオ制作でよく用いられます。このフレームレートは24fpsよりも動きが滑らかで、視覚的にはより現実的な印象を与えます。シャープでリアルな映像を求めるシーンにぴったりです。

60fps - スポーツやゲームの映像

60fpsは、速い動きやアクションシーンでその真価を発揮します。スポーツ中継やビデオゲーム、さらには激しいアクションシーンなどで主に使われ、動きの滑らかさが強調され、視覚的に非常にリアルに感じられます。特に速い動きが要求される映像に最適です。

120fps以上 - スローモーション映像

120fps以上の高フレームレートは、スローモーション撮影に使用されます。これにより、動きが非常に滑らかに表現され、細部までしっかりと捉えることができます。スローモーションによって、アクションに迫力や臨場感を加えることができます。

フレームレートと映像の印象

フレームレートは映像の印象に大きな影響を与えます。例えば、24fpsで撮影された映画は、観客に「非現実的で夢のような」感覚を与え、視覚的に幻想的な雰囲気を醸し出します。一方、60fpsや120fpsの映像は、視覚的に非常にリアルで、動きの滑らかさが強調されるため、スポーツや自然の臨場感をそのまま映し出します。

日本の電力周波数とフレームレートの関係

日本では、地域ごとの電力周波数(東日本は50Hz、西日本は60Hz)の違いが、フレームレート設定に影響を与えることがあります。この周波数の違いは、照明器具の点滅(フリッカー)に関わってくるため、適切なフレームレートを選択することが、映像制作でのフリッカーを防ぐ鍵となります。

フリッカーと電力周波数の関係

フリッカーとは、映像がちらつく現象のことです。特に人工照明下で撮影を行う場合、電力周波数とフレームレートが合っていないと、照明の点滅をカメラが捉え、映像にちらつきが生じます。蛍光灯や一部のLED照明が電力周波数に影響を受けるため、照明とカメラの設定を調整することが求められます。

地域別のフレームレート設定

東日本(50Hz地域)

- 適したフレームレート:25fps、50fps

- 推奨シャッタースピード:1/50秒

西日本(60Hz地域)

- 適したフレームレート:30fps、60fps

- 推奨シャッタースピード:1/60秒

LED照明とフレームレート設定の自由度

LED照明は、従来の蛍光灯や白熱灯と異なり、電力周波数の影響をほとんど受けません。そのため、LED照明下では、フリッカーのリスクが少なく、より柔軟なフレームレート設定が可能になります。ただし、安価なLEDや調光機能付きLEDではフリッカーが発生することもあるため、事前のテストを行うことをおすすめします。

フリッカー防止のための具体的な対策

1. 撮影場所の確認

撮影が行われる地域(東日本か西日本か)を確認し、それに応じたフレームレート設定を行いましょう。

2. シャッタースピードの調整

東日本では1/50秒、西日本では1/60秒にシャッタースピードを調整することが推奨されます。

3. 周波数に依存しない照明を使用

LED照明を使用することで、電力周波数に左右されず、フリッカーのリスクを大幅に軽減できます。

4. ポストプロダクションでの補正

撮影時にフリッカーが発生した場合、編集時に補正することも可能ですが、事前に対策を講じることが重要です。

国際的な視点からの注意点

国際的な映像制作では、60Hzの電力周波数が主流のため、30fpsや60fpsが多く使用されます。しかし、映画業界では24fpsが一般的なため、フレームレートが異なる映像を組み合わせると、視覚的な違和感が生じることがあります。撮影前にフレームレートを統一するか、編集時に調整することが求められます。

まとめ

フレームレートは映像の品質を左右する非常に重要な要素です。特に電力周波数による影響を考慮し、適切なフレームレートを選ぶことで、フリッカーを抑え、クリアで安定した映像を作り上げることができます。LED照明を上手に活用すれば、フレームレート選定の自由度も広がり、さまざまな映像表現が可能になります。映像制作の現場では、こうした知識を駆使して、視覚的に魅力的で完成度の高い作品を作りましょう!!

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