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JJF2022チャンピオンまでの軌跡

はじめに

この文章はJJF2022チャンピオンシップにいたるまでの経緯を、主に2020年9月、前回作品-Return-終了後から描いたものとなっています。めちゃくちゃ長いのでジャグリングについての真面目な話を見たい人は2〜5、7、8、10章あたりを、エッセイ的なものを見たい人はそこ以外からかいつまんで読んでくれればと思います。あと1章は比較的刺激が強いのでお気をつけください。

1章 ドン底からの始まり

かねてより私は、JJF2020のチャンピオンシップにこれまでのジャグリングで1番力を入れた作品である-Return-で臨んでいた。その作品は、技をベースに展開するシガーボックスの演技の完成系となるパフォーマンスだけでなく、今まで演技で感動されられてきた偉大なジャグラー達への感謝の気持ちとしての、お返しとなる感動的なパフォーマンスを目指していた。
新型コロナウイルスの影響でJJF2020のチャンピオンシップは無くなってしまったが、代わりに学内で開催されたオンライン五月祭で、現地の演技ではなく映像ではあるものの、自分のしたかった演技を披露することができた。実際、チャンピオンシップのステージに立つことはできなかったものの、当初自分が掲げていた演技の目標は達成できたと思えた。とても満足していた。
しかし、光あるところに影あり、とはよく言うもので自分が今までお世話になった人達だけでなく自分が今まで迷惑をかけてきた人達が頭をよぎるようになってきた。
家族、友達、恋人、、自分は様々な人達に迷惑をかけ、傷つけてしまっている。
今までは自分が目標達成をしたいという自分のワガママが勝っていたが、それを達成してしまったことで目を逸らしてきた気持ちが暴れ始め、瞬く間に自分の感情を支配した。

自分は他人にとって悪だし、もう自分自身も自分を必要としていない

そう思った私は、今後のシガーボックスジャグラー達のために演技の動画と演技の考え方についての記事を公開した後、この世から旅立つことを決意した。方法は色々調べたが、結局高い所から飛び降りるのが1番楽そうだと分かり、そうすることにした。そして演技動画を公開し、親が寝静まり兄がお風呂に入っているタイミングでこっそり家を出た。2020年9月23日午前2時半の出来事である。
私は家を出発し、紛れもなく死ねる高さの場所を目指し高層ビルの乱立するエリアに向かった。しかし、高層ビルはあったものの入り方が皆目分からない。そりゃあこんな高いビルならセキュリティもちゃんとしてるよな、追い込まれた時って計画性の欠片もない行動をするよなと自分を笑った。代案として、川に飛び込むことを考えた。大量の酒を呑み、その勢いで川に入れば無事幸せにあの世に行けるだろうと思った。
人生初のウイスキーをボトルで買い、歩いて歩いて遂に川に辿り着いた。最後の晩餐と称して買ったウイスキーをロックでグビグビ飲み始めた。胃や食道が燃える。不思議なことに、飲み始めた自分は笑いが止まらないでいた。「自分ってなんてしょーもないこと考えてたんだろう」私は笑いながら酒を飲み続けた。
自分を殺すつもりで買った酒に自分は救われた。なんとも皮肉な話である。
ウイスキーを半分以上空けた代償としてめちゃくちゃな吐き気に襲われた。酒で吐くのは人生初だったが、自分の中にあった毒を吐いた気分で自然と気持ち悪さはなかった。思うがままに飲み続け、眠りについた。
夜が明けて家に帰ったら、目の前にいた母親が泣きじゃくりながら寄り付いてきた。

自分はやってはいけないことをやってしまった。



以上が、JJF2020で使用する予定だった演技を公開した後の私の一部始終です。辛い。本当にあの頃が人生で1番どん底で苦しんでいたなと思います。自分自身が嫌だしここからすぐにでも居なくなりたいけど、そうやって無責任に動いて家族を傷つけた自分がもっと嫌い、それでもほんのしたことでまた死にたいと思いあの日の河川敷を思い出してしまう、死にたいと思う自分も嫌い。この繰り返しで、この負のループから抜け出せないでいました。今思えばあの日行った川はまさしく三途の川だったと言えるでしょう。
あの一件で間違いなく自分という人間は変わってしまったなと今でも感じています。前までは自分で言うのもなんですがそこそこタフで細かいことを気にしない人だと思っていましたが、今では繊細で傷つきやすい人間に変わってしまいました。なんというか、今までとは見える景色が違う。目に見えない何かしらのフィルターがかかったような感覚を持ちながら日々を過ごしていました。これは完全に意味のない教訓になってしまったのですが、生半可な思いで自殺したいと思うのであればそれは絶対に踏みとどまるべきです。一度一線を超えた行為をすると後で取り返しのつかないレベルで絶対に後悔します。これを読んだ皆様は私みたいにはならないことを今ここで約束してください。そうでもないと私が悲しみます。
研究や就活については当然今までのようにはこなせなかったので、1週間ほど寝て起きて寝るだけの生活を送っていました。今思えば、自分には実家という拠り所があり、研究室の教授や助教の方も私の事情に非常に理解を示してくださったので自分はかなり恵まれていたと思います。そうでもなかったら、自分は間違いなくストレートでの卒業は不可能だったことでしょう。とりあえず留年せず卒業することを目標に、ほどほどにゼミや授業を受けていました。前期に張り切って授業をかなり多めに取っておいて良かった。家族や教授の理解のみならず相談にのってくれる友達も少ないながらもいて、その時は非常に助かりました。まあその人達は後に傷口に塩を塗るような言動を私にしたり急に私をフったりしたので私の人間不信はさらに加速したのですが…
ジャグリングはやってるだけで楽しかったのでこの療養期間中も普通にやっていました。今思えばあの期間は発想力も基礎力も急成長していましたね。療養ってとても大事。
さて、療養とともに心も少しずつ落ち着いていくとともに、「せっかくこのような形で生きることができてしまったので、そんな自分が今生きている理由を説明したい」という思いがだんだん強くなってきました。

お前はジャグリングで何をしたい?


そう自分に問う日が増えてきました。そうだ、自分はこんな気持ちでジャグリングをしていたんだ…




中学に入ってからは将棋部に入るつもりだった。もともと将棋は好きだったのと、文化祭で母校卒のプロがゲストとして訪れていたので、校内のレベルも高いだろうと思ったからだ。身が締まる思いだ。
入学してから部活の体験会に行こうとしたところ、自分たちがよく通る中庭にはなんかボールやボウリングのピンを投げたり紐で物を高く飛ばしていたりする人達が。あれは確かジャグリングっていうんだっけか。面白そうだったので少し体験してもらうことにした。ブラっと訪れた自分も歓迎され、先輩が優しく教えてくれた。僅かながら、その時シガーボックスも触った。何か技ができたってわけではなかったけど初めてのジャグリングはとても楽しかった。
そんなこんなで中学に入ってからはメインを将棋、サブにジャグリングをやり、「ジャグラーズ」に入ることに決めた。あと勢いで硬式テニス部にも入った。メインの将棋部も楽しかったが、交流は中1、中2のみで非常に大人びた高校生の人達と一緒にいられる筑駒ジャグラーズは貴重な機会だった。特に鷲沼先輩は上手いしとても優しいしでとても憧れの先輩だ。初めての文化祭はボールで出た。当時1年生はおよそ実力の逆順で順番に技をやっていく形のパフォーマンス形態をとっていたが、自分は全然できないので1番目に演技をした。同期はみんな僕より上手いし、先輩はもっともっと上手かった。先輩達ってすごいんだなあ。
文化祭が終わってから将棋部とジャグラーズを行き来する生活がしばらく続いていたが、ある日こんな話が上がってきた。
「記念すべき第1回の、高校生限定のジャグリングの大会、Japan Student Juggling Festival (JSJF)が開催されるらしい」
それを聞いた私は「そんなのウチの先輩が勝つに決まっている」と確信した。当時中1の私にとっての高2の先輩は先輩を通り越して神々に近い存在となっていたので当然のことだった。高2の先輩達はこの大会が終われば大学受験とのことで、最後の演技となるらしい。応援に行かねば。
そして当日、私の尊敬している鷲沼先輩はシガーボックスで出場した。先輩の勝利を確信して観戦していたが、トリにとんでもない人が現れた。そう、かの有名な加藤悠さんである。加藤さんは私が今まで知っていたシガーボックスを遥かに凌駕する演技を見せつけ、誰もが納得する形で優勝した。何度も言ったが、高2の先輩達のジャグリングが世界最高峰のものだと疑うことなく思っていたので衝撃的で、悔しい以上の言葉に表しきれない気持ちでいた。そして先輩達が悔しそうに帰り道を歩いている中、私は先輩に告げた。

『僕が先輩の代わりにシガーボックスでJSJF優勝します』


あれから3年、私は脇目も振らずただひたすらジャグリングの練習をしていた。特に優勝者の加藤悠さんの技を中心に技術向上に励んだ。万全の準備を経て挑んだ本選、自分は優勝候補と言われるくらいには上手くなっていたが、何百回か通し練をした中で1番悪い回が本番に出て、結果は散々だった。誰彼構わずひたすら泣き続けていたのを覚えている。その後、しばらくジャグリングの演技をやる気もなく校内で麻雀をする日々を送っていた。

大学に入ってからもジャグリングは生活の一部に溶け込んでいたので続けることにした。私がマラバリスタに入った当時はシガーボックスの層がとてもとても厚く、大学受験のブランクのあった私はついていくのがとても大変で劣等感もかなり持ってジャグリングをしていたが、その中で自分の技や系統は着実に増えていった。そして2017年、腕試しのつもりでJJFのチャンピオンシップに挑むことにした。当時の技術を盛り込んだ作品は敢えなく予選落ちとなってしまった。初めて予選落ちした状態でチャンピオンシップを観戦したが、それはもう悔しくて悔しくてたまらなかった。色々な演者を見て、技量的には自分も戦えるはずなのに、と思いながら見ていたが、周りの人達はただただ本選で演技した人達を褒め称えるばかり。本選の演技を見て悔しがる自分にはどこにも居場所はない、と思った矢先、自分が大学に入ってからそのストイックさを尊敬して止まない加藤侑大先輩が私のところに向かってこう言ってくれた。

「松野くんはあの人達に技術的には勝っていたと思うしちゃんと頑張ればJJFの舞台にも出られると思うよ」
彼が普段誰かを気遣って話したりする方ではないことは分かっていたので、なおさら本心で言ってくれたであろうその一言がとても嬉しくて、私は再びJJFに向けて走り出すことを決意した。そういえば自分はあの日の約束を果たせなかった。でもJSJFには自分はもう出られないので、今度はJJFで頂点を目指すか。2017年9月23日、今年のJJFからほぼ5年前である。


昔の気持ちを完全に思い出すことができた。元はといえば自分はかねてよりあの舞台に出て、勝つことを目標としていました。今回の演技は、演技コンセプトこそ叶えることはできたものの、あの舞台には立ててないし勝利もできていません。何の因果か分からないがこうやって生き永らえたのであれば、いっそのこと前まで目指してきたJJFの大舞台に立ってみたいと再び思うようになりました。
ただ、長期的な目標を立てたは良いものの、活力が絶望的に欠乏している今の自分にはとりあえず短期的に頑張れる目標があった方が良いと思ったのでとりあえず、の気持ちでオンライン大会のe-juggling competition に出場することにしました。今回の演技を大事にするのであればオンラインの大会で多くの人目につくような行為はしないのですが、「自分のしたいジャグリングは本当にこれか?」という問いにあの演技は答えていなく、演技への愛着は昔に比べかなり薄れていったのでそこについての迷いは無かったです。また、今回の演技には当初はかなりの自信があったので、半ば優勝は当たり前と思い、撮影に臨みました。撮影に試みること数日、結局あの事件前の9月に撮影したものより良いテイクを撮ることはかないませんでしたが、とりあえず昔の動画で提出することにしました。

2章 e-juggling出場、そこから得た学び

そんなこんなで第3回e-juggling competition のシニア部門に出場しました。
その時の演技動画がこちらです。

JJF2020にもっていく予定だった演技に、それだと曲が若干オーバーするため最後の技だけ抜いた、そんなものとなっております。気になる結果ですが、以下のようになりました。

演技構成:104.3/140 (8位/15人)
難易度:128.45/140 (2位/15人)
新奇性:56.7/60 (1位/15人)
完成度:36.9/60 (11位/15人)
合計:326.35/400(2位/15人)

時間もたったので言葉を濁さず言います。 順位が悪すぎる。これは審査に文句をつけたいという意味では全くなく、彼らに自身の持つ凄みを分からせることができなかった自分の提出動画が(何が原因かはこれから探りますが)酷かった、という意味です。JJFを(なんなら優勝するつもりで)目指しているのであれば道中の大会はブッチギリで優勝しなければいけない、と思っていたのでかなり出鼻を挫かれました。
各審査項目についてですが新奇性1位は納得。他演者とかなり引き離しての1位だったので満足しています。完成度11位は思ったより低いですし、完成度は自分の演技の中でもかなり課題なので改善の必要がありますが、動画性の大会で周りの完成度が高かったことに起因しているのでそこまで気になりませんでした。ただ難易度で1位をとれなかったこと、演技構成で真ん中の順位だったこと。これは本当に大問題です。前のnoteで話した通り、演技構成は技間の繋がりを持たせた上で曲の盛り上がるポイントにちゃんと個性のある技を持っていった、(当時としては)かなり仕上がりが良かったこと、難易度はベースから自分しかできない難易度な上に、中盤からオリジナルの定常状態を持ち込み、そこに序盤のオリジナリティをねじ込むというかなり多層感が伝わりやすい内容だったこと、からかなり高評価をいただける自信がありました。なのにこの評価なのであればまだまだ改善の余地があるはずです。以下に反省点をまとめたので見ていきましょう。

  • 分かりやすい難易度の技が少なかったこと
    これが1番影響していると思います。今回の自分の演技は技系統を揃え、技の選定については非常に分かりやすかった代わりに、従来のシガーボックスにあった直感的な分かりやすさをかなり捨ててしまっていました。そのため、その系統がハマった人にはかなり難易度も評価されますが、ハマらなかった人には難易度も低く評価されたのではないかと思います。そのため、次回以降はアクセントになるシガーボックスらしい技を散りばめ、分かりやすい難易度を提示する必要があると感じました。(細かい分析はしてないですがぱっと見での難易度点のバラツキは大きかったです)

  • 自分の強みと少しずれていたこと
    これもかなり影響してるんじゃないかなと思います。自分の中での最高傑作は駒場祭2018「愛をからだに吹き込んで」です↓
    https://www.youtube.com/watch?v=YclSZd45zqM

    元はと言えば私のジャグリングの演技の強みはテンポの速い曲の中に技を詰めて畳み掛けていく、そんな感じの演技でしたが今回の演技にその要素はほぼありません。今回の演技を通じてゆっくりしたテンポの中でボルテージを上げ、感動的な展開に持っていくことは経験できましたし、この経験はかなりの強みになるとは思いますが、それ一辺倒の演技ではダメなんだな、ということが分かりました。そのため、次回以降はある程度のテンポでもって技を畳みかけるパートを採用しよう、となりました。

  • 身体表現を削りすぎて全体的に狭っこい演技になってしまったこと
    これは今回の演技の弱点の1つでしたね。バランス、特にアイドリングという系統がそもそも占有空間が狭いですし、肘もより内側を向いてしまうので狭い印象を与えてしまいがちなんですよね。それでいて、自信がないということで身体の動きをかなり削ってしまったのでそこが終始壮大な雰囲気の曲と微妙に合ってなかったと思います。これに関しては曲の中でしっかりと緩急がちゃんとあって動的な部分もある選曲を選ぶことと、身体性の向上ならびにそれをジャグリングに反映させることを意識しなければいけないな、となりました。

  • 完成度が低かったこと
    事前に撮影した動画を評価する大会だったので完成度の敷居が高かったのはあると思いますが、それでも自分が思ったより完成度を上げるのは大事だなと思いました。それは技の成功率もそうですし、演技の作り込みも含まれると思います。もっと自分の演技を好きになり、それを極めようと思えるような作品を考案しよう、と心がけるようにしました。(個人的には他の難易度や構成といった項目を評価する時に自然と完成度が考慮されてしまうので完成度という項目を用意すると点数上完成度が二重カウントされてしまうな、と思ってしまい完成度という項目には懐疑的ですが、おそらく少数派の考えでしょう。)


反省点はこんな感じです。ざっくりとした所感としては「2018〜2020年までやってきた技ベースでじっくり展開していく演技」をそろそろ卒業する必要がある、と実感しました。この演技スタイルは私の大学時代の師匠である矢口さんの教えを受け、半ば彼を踏襲する形で作り上げてきましたが、もっと自分流のアレンジが必要です。物事の習得には守破離と呼ばれる原則がありますが、今まで「守」だけで良かったものが今後は「破」や「離」の境地を目指さないといけない、ということを実感しました。
このような反省点を得られたe-juggling competition への出場はかなり有意義な経験になりました。運営してくださった上田さん始めこの大会の開催に携わった方々にこの場を借りて感謝の意を述べさせていただきます。ありがとうございました!
以降、これらを全て解決させられると判断した演技コンセプトにたどり着きます。そう、それが「新しい王道」です。これについては次の3章にて詳しく説明しようと思います。



3章 新しい王道

今回の演技を作るにあたりメインとなっている軸が、この「新しい王道」です。
新しい王道の説明のために、まずはこちらをご覧ください。

この稲葉さんの演技は、誰しもが「王道」と呼ぶにふさわしいシガーボックスの演技なのではないでしょうか。彼の今まで動画で何度も見てきましたが、久々にこの動画を見た時かなり感銘を受けました。使われている技は今となっては馴染みのあるものばかりですが、なんといってもめちゃくちゃカッコいいですよね。それも、挟みを主体としたシガーボックスならではのスピード感、爽快感といった良さを存分に引き出せていると思います。
昨今のシガーボックスの、特にスイング系やバランス系については技術が高尚化してできることが増えている代わりに前までのスピード感が犠牲になっているかな、というのが個人的な持論としてあります。技自体の物理的な安定度がこれらの操作が挟みとは本質的に違うことに起因するもので仕方のない進化の仕方だとも思っていますが。これは前回のnoteでも言いましたが、乱用すると良くないですが、挟みや引っ付けもシガーボックスの演技として欠かせない項目だと思います。
一方で、私はシガーボックスという道具は常に新奇性を求められている道具だとも思っています。(語弊のないように言うと、この演技は当時の基準での新奇性はちゃんとあります)それはこの道具が

  • この道具がまだ未開であること

  • 競技人口が少ないマイナー道具(と言うと怒られそうな気がしますが)であること

  • ジャグリングの本流であるトスジャグリングからは少し離れていること

  • 道具の形状が特徴的でなんか面白い技がありそう、と思わせること

などの特徴を自然と持っている、と思っているからです。王道の演技ではあるが、そこに斬新さも伝わる演技にしたい。王道ジャグリングと言うと、どうしても数が増えると見慣れた定常状態(5ボールカスケード、3ミルなど)になりがちですが、私の場合そこを自分で作り、その系統に関しては自分が頭一つ抜けているという状態でした。そのため、自分なら数が順当に増えていく王道ルーティンの中に絶えず新しさを引き出せるし、それは他のジャグリング道具含めてもそう簡単にはできない該当なのではないか、と考えこの方針でいくことにしました。シガーボックスの未開さを逆手に取った戦略ですね。その分第一人者としての大変さが伴いますが。
王道のシガーボックスには昨今に多く見られる技中心のシガーボックスに負けず劣らず多くの魅力があると思っています。

旧来のシガーボックスのかっこよさを残したうえで、新しく生まれたトス、バランスの技術を用いて新鮮さ、斬新さを与えつつ、旧来の良さもさらに加速させる。これが新しい王道という、一見「新しい」と同居しにくそうな「王道」要素の両立を図った演技コンセプトとなります。


新しい王道の
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さて、新しい王道の実現に向けて大きく3つのやるべきことがあると思い、それらに向けて重点を入れて取り組むようにしました。

  1. 4以降の定常状態の安定化、及び派生の練度を上げる。
    これに関しては、今まで通りの練習と変わらずに強化すれば自然と達成できるはず。ということで特筆することは無し

  2. 王道シガーボックスに必要な最低限の身体性を身につける。
    これが今まで自分が目を瞑ってきた点です。私は姿勢が悪い、体幹が無い上にそれが痩せていること、背が高いことでかなり悪目立ちしやすいというステージパフォーマンス上での大きな欠点を抱えていると前々から思っていて、だからこそ競技シーンで身体性の伴う技、振り付けはかなり避けてきました。しかし、このようなコンセプトで演技を組む以上避けて通ることはできません。なので、その道の一流とまではいかずとも、足を引っ張りすぎないレベルで身体性をつける必要がある、と感じました。

  3. かつての王道シガーボックスに無かった技ジャンルを用い、シガーボックスの自由度を引き上げる。この際、2で身につけた身体性が上手く反映されていればなおのこと良い
    これも、
    2で多少及んでいない身体性はこちらのアイデア勝負でなんとか乗り切ろう、という算段でしたのでここについてはかなり力を入れる必要がある、と思いました。

最終的には、以下のような表のイメージで演技を作り上げることを目標としました。


以下4,5章に、2,3に対してどのような取り組みをしたかを書いていこうと思います。

4章 新しい演技スタイルに向けて1-身体作り編-

ここでは、身体能力がへっぽこの私がどのような方法で身体作りを行っていたかを説明しようと思います。皮肉にも身体づくりを1人で正しく行うのって自身への身体への習熟度が低いほど難しく(と私は思っています)、そんな私のような初心者でも正しく遂行できるトレーニング方法を紹介できれば、ということでこの章を用意しました。
あくまで僕と同じくらいのラインの人しか参考にならないと思いますし、私の視座も一般的に見ればかなり低いものなのでそこはご了承ください。
方法としては宅トレで鍛える方針でいきました。当時家族で宅トレブームだったのと、お手軽だったからというのがあります。以下に、おすすめの動画やチャンネルを貼っていきます。

まず最初に紹介するのがこちら。背筋を鍛えることで分かりやすく5のトス系は安定度が上がりましたし、姿勢についても少なくとも筋トレ直後は今までの悪かった姿勢が矯正されました。
このアクトレブログさんという方はシルクドソレイユ所属の筋トレYouTuberらしいので、ただ筋力をつけるのではなく、正しく身体を使うことに長けている方なのではないかな、と勝手に考えています。このトレーニングをしていて、自分は今まで知ってなかった新しい身体の動かし方に出会った感覚になりました。初心者用のメニューから上級者用のものまであり、非常にオススメです。

これは先ほどの方の腹筋バージョンです。同じく新しい身体の使い方に出会う感覚に私はなりました。特に中盤のメニューがめっちゃ腹筋にくるので頑張ってください笑 割と短期間で割れます

これは前2つの方とは違う方の動画で、宅トレの有名な方らしいです。姿勢が悪い原因を調べていたらここにたどり着きました。実際、このトレーニングの負荷は自分目線なかなか高く、少なくとも終わった直後は身体が矯正される感覚になりました。

最後の紹介です。これは1つ目の動画の方の腕立てバージョンです。これは体幹には関係ないですが、短期間だけでもやると5のトス系の安定感が上がったのでおすすめです。
少し話はそれますが、バランス系の技の持久力を上げるために余裕があるときは指立て伏せもやっていました。自分は3〜5回くらいしかできませんでしたが、それでも十分効果はありました。

5章 新しい演技スタイルに向けて2-ジャグリング編-(MJF2021を題材に)

今回は3章で述べた新しい王道に必要だと考えた3つ目の要素について、そこについて掘り下げることをジャグリングのテーマとしたMJF2021を題材に話していこうと思います。以下、ジャグリングがメインのパートの別撮り動画を元に解説をしていきます。

この動画について、以下の2パートについての意図について解説しながら具体的にどのような技や動きが生まれたのかを説明します。

0:13~0:26の部分

  • 新しい技術のブリッジストールを用いることで頭上に箱をキープする手段が1つ増えた

  • このブリッジストールは解くことでキャリーのような挙動を取り、このストールならではの新しい動きになる。このロールを終えた後のポジションも個人的に好み。身体の動きに道具を合わせた例。

  • ロールを終えたポジションから、腕を円錐上に動かしてバランスをとる。ここも円錐軌道という最近のシガーボックスらしい動き(今回使い方が上手くないのでとりあげてはいないが、円錐スイングという技も存在し、比較的力を入れて取り組んでいたジャンルではある)

  • 片手2箱持ちを脇の下に構え、片方の箱を背中ロールを利用して首の後ろまで伝える。縮こまっていく身体の動きに道具を合わせた例。

  • そのまま手に持った箱を利用する形で3箱目を取りにいく。ここも身体の動きに道具を合わせた例。身体が床に近い状態での動きも取り入れようとして今回はこうなったが、重心が高いのが課題か

1:59~2:18の部分

  • マルチグリップという使われてそうで応用面が乏しかった技術を用い、背面キャッチまで実現。従来までならバランスするしかない場所だが、背面バランスは非常に難しく、マルチグリップを使うことで現実的に多くのオブジェクトを処理している。身体の動きに道具を合わせた例。

  • 涅槃キャッチをすることで、曲の場所に合わせて身体の開く閉じるを表現している。構造はとても単純ではあるが、シガーボックスだとこのような表現ですらできる人が少数という現状。身体の動きに道具を合わせた例。

  • 持ってる箱をジャックナイフの位置に一瞬のせ、離すことで腕の押し引きを表現でき、さらに押したポジションを起点に一瞬アイソレーションの動きに入ることで起き上がる動機を作っている。身体の動きに道具を合わせた例。

  • スイング始動でクロス涅槃、背面キャッチを同時にすることで縮こまった状態を一旦作り、それを広げながら解除する動きを実現。今回はそれが水平方向に広がっていくという点で貴重なパーツになっている。身体の動きに道具を合わせた例。

  • ファウンテンの回収だが、このようにポジションをちゃんと準備すれば脚を上げ、そこからステージ移動をし、次のシークエンスに移行できる。

といった感じで、個々の動きについて考えていました。こうしてみると、比較的新しいパーツを用いることで生まれた新しい表現を今回の演技で多く実装できたんじゃないかなと思います。ただ、こうやって話していて実感したんですけど動画で撮ってみると結構汚く、せっかくの美しい技構造にまだ身体がついていけていない感じがあります。この時点での出来映えは自分の中での理想と大きなギャップがあり、これからも鍛錬が必要そうです。
MJF2021の演技コンセプトは話し出すと長くなるので大雑把に言うと、1章で説明した引きこもり期以降地べたを這いつくばって生きてきたここ1年の自分自身を描いた演技となっています。あの頃は就活も差し迫っていて自分の気持ちに向き合わず有耶無耶にしていたところがあるのでそれをハッキリさせて、向き合い、そして乗り越えようという思いで、演技に自身の半生を込めるようにしました。
こんなコンセプトで演技を作ってしまうとルーティン練が今までの自分の古傷を起こすような形になるので日々の練習が結構苦しかったですが、今回の演技を通じて、1章のような負のループにハマっていた自分にサヨナラし、今生きている新しい自分を認めることができたのかなと思います。
改めまして、コロナ禍もあった中MJFのステージを作ってくださったサークルの後輩達、本当にありがとうございました。

6章 JJF2021を経て

まず伝えたかったこととして、JJFCS2021については、実を言うと可能ならソロでも出場したかった、というのがあります。元々の計画ではJJF2018の予選に落ちた時から3年プランで再挑戦することを想定していたのですが、アイドリング系の発展などの3シガーの予想外の進捗から2年経った時点で原案のルーティン曲では作れないけど別の見せ方でJJFに出すに足るものは用意できると判断し、-Return-の制作に踏み切った、という背景があります。ただ、e-juggling competitionを経て自分の足りない点を確認し、それの実現には2021年のチャンピオンシップでは困難だろうというのが段々と分かってきた、といった経緯です。
チームで演技をやろうと思ったきっかけは、チームは融通の利く学生の間じゃないとできない、と思ったからです。せっかく10年以上ジャグリングを続けているのだから1回くらい真面目にチーム演技に取り組みたい、と思い結成しました。ソロの演技に影響するんじゃないの??て思う方もいると思いますが、チームでの活動は精々週1だったのでソロの練習時間は別途取れる範囲ですし、そもそもチーム練の内容がソロの実力向上に繋がるように仕込んだのでそこの問題は全くありませんでした。
コンセプトとしては

  1. 絶対に無茶をしない

  2. 互いの個性が生きる演技にする

  3. チームでの活動で終わりにせず、チームの活動が今後のソロ活動に活かせるようにする

以上3つを最初に掲げ、チーム活動を開始しました。チームの細かい裏話についてはここから大きく話が逸れるのでここでは割愛しますが、技考案からシークエンス組み、ルーティン作成から撮影まで4ヶ月という非常に短かったですが、チームメイトが上手いおかげでこの短期間でも形になる演技は準備でき、無事予選を通過するに至りました。いや、本当にチームメイトが上手くて助かっている。

当日についての感想は大きく以下の5つになります。

  • 当日は勝ち負けにこだわることなく演技ができた 当日までは正直「絶対1位とってやる!」くらいの気持ちで練習をしていましたが、当日の演技前のリハーサルで「このチャンピオンシップのステージは舞台スタッフを始め多くの方が支えている」ことを実感し、「演者としてみんなでこのステージを最高のものにしよう」という気持ちで一杯になりました。勝ち負けの前にやるべきことがある。実際、僕が話していた仲良いジャグラーの方々もそんな感じのことを思ってそうだったので、さして珍しい感想ってわけでもないはずです。2位という順位も悔しい気持ちには全くならず、むしろ来年のソロに向けて頑張らねばいけない、と今にでも走り出したくなるような気持ちでした。

  • 演技を作ることへの自信に繋がった これは先程も言いましたが、今回のチームWANTEDは4ヶ月という非常に短いスパンで技考案からシークエンス組み、ルーティン作成から撮影まで行っていましたが、技術の見せ方は自分の手応えとしてもそれなりに良く、多くの方から演技については好評を得ていました(なんなら今までで1番好評だった気がします。今まで1人くらいは批判的な感想だったのですが今回は1人もいなかったので) 過去に技ベースの演技を作り切ったことがここに来て生きてることを実感し、自身の自力の向上を確信しました。

  • 最初の15秒で「自己紹介」をできている人が多く、惹かれるものがあったこれは特に男子個人部門の傾向としてあったと思います。己の得意な技だったり、その人にしか出せない雰囲気だったりで序盤からテンポを取りにいけている人の演技は非常に見やすくて良かったですし、自分がソロの演技を作る時もここは絶対に意識する必要があると感じました。

  • 男子個人の演者の方々のストイックさを目撃し、鼓舞される思いでいた 本選出場者ということで男子個人の方とも近い距離にいるわけなんですけど、1つのドロップやミスに悔しがる姿がとりわけ印象的でした。ドロップいくつかしたけど演技として形になったから良かったよね、と思ってしまっていた自分自身が恥ずかしくなってきました。私も彼らのような完成度にストイックなジャグラーでありたい、と思いました。

  • 照明の感覚は来年以降のステージに生きると思った当日の午前にリハーサルと称して照明確認をしながら通し練ができるのですが、この照明にかなり特徴がありました。具体的には横を向く場合照明がネックで技がやりづらく、逆に前を向く場合照明の強さは強い方が見やすい、というものでした。
    今回私達のチームはソロの範疇では正面を向く技ばかりですが、相手のパスを見極めるためにはやはり横の照明が気がかりになるということで照明の強さを普通にしましたが、やはり正面を向くオーソドックスな技がやりにくい。リハーサルの時はかなりボロボロで凹んでしまいましたが、原因を考え「黒いサイドシートが暗めの照明で消えてしまっている」ことが原因と判明、サイドシートではなく白いエッジテープを情報に飛んでいる箱の位置を特定する、という形で控え室で視点の修正を行っていました。
    結果、本番はリハーサルほどポロポロ落とすことはなくなりました。ただ、エッジテープを見るよりもサイドシートを見た方が視認精度は上がるのでソロでまたこの舞台に挑む時はサイドシートは黒以外のものを使おう、と思いました。

JJF2021については以上になります。今回私がソロで頻繁にやる技をペア技に落とし込んだりしていたので、このチーム活動を通じてソロの技の甲斐性は大きく上がったはずで、当初のコンセプトは凡そ達成できたと思います。チームメイトのTED君、本当にありがとう。

7章 ルーティン構成自論


ここではより具体的な演技構成について、特に気にしていたことをいくつか話していきます。その上で、候補となった曲をいくつか紹介するつもりです。順に見ていきましょう。

演技の各要素のバランス感について熟慮する

これが今回1番気にしていたポイントです。今回の「新しい王道」はすごく平たく言うと、色んな系統の技を1つの演技にまとめる、ということをやっています。そのため、従来の技系統を揃えて演技を組むのと比較して技同士での喧嘩が非常に起きやすい、という構成上の難しさが伴います。そのため、このコンセプトを考えた頃から自分のジャグリングの色々な要素(系統、難易度、高さ、大きさ、動的or静的、軌道、速さ、奇怪さetc)についてのステータスが今どうなっているか、を考えてそれを洗練させることを考えました。どの要素がどれくらいあれば自分にとってベストなのか。それを日々意識することでバランス感覚を磨くことを試みました。
このようにして自身のステータスを綺麗に整えた上で、なるべく今までの自分自身の全てを引き出せるような技や構成のラインナップを考えました。なんといっても、これが恐らく本気でチャンピオンシップに挑める最後の機会だろう、と悟っていたので悔いの無い集大成の演技を目指しました。

競合と比較しても戦えるような技選択を心がける

恐らく多くの方が考えていると思いますが、私も考えました。特に以下の2点を気にしました。
ストール系は自力ではなくアイデア勝負で挑む
自分はストール系の技もそれなりにできますが、自力ではどうしても本業の人、例えばばやしさん、市川卓さんには勝てません。なので、今回の演技ではストールを何ヶ所か採用しているのですが、ストールの自力というよりかは別の見せたいものをメインに見せることを目的に採用しています。例えば4シガーの最後のシークエンスの入りの部分についてですが、スイングを絡めたスムーズな4シガーをやるための手段としての役割でストールが採用されています(実はあれは、本来遷移不可能な肘ストールからのスイング回収を斜めストールを利用することで可能にする、というかなりマニアックな技術を使用していますが、恐らく本番で気づいた人はほぼいないと思います)

ナンバーズ勢にインパクト負けしない
こちらが5シガーで技に挑んでも(これ自体は本当に大変です)向こうが7個またはそれ以上の個数で来られるとパワー勝負で競り勝てるか不安でした。そこで9ボール、過去の9シガーに対抗するために2桁個数の技にこだわりました。王道シガーボックスってナンバーズピルエットで〆ることが多いですしそもそもこのやり方は自分の十八番だったのでそういう要素の回収も兼ねてます。正直10アップはあの技のラインナップだと若干浮くのですが、それを差し引きしても採用することで演技全体のパワーが上がると判断し、練習しました。

よほどのことがない限り一曲構成にする

これは持論ですが、チャンピオンシップのステージではジャグリングの可能性を感じさせるような、多大なインパクトを与える演技が求められている、と思っています。
(昨今の傾向から見るとこの思いは幻想に近いものだというのが分かりますが、それでも私は今でもこの考えを信じています)
そして、その多大なインパクトを6分という時間で与える必要があります。これはジャグラー目線では長いですが、ショーパフォーマンスで見れば非常に短い時間です。
その短い時間の中で複数曲の演技をし、固まった印象を与えるのは至難の業で、少なくとも私にはできないと判断しました。
一方で1曲編成であれば6分もあれば十分に重厚な印象を与えられるはずとも思いました。例えば高橋優弘さんや、サークルの先輩の松永さんのJJFの演技はそれの良い例だと思います。1曲編成ならではの重厚感のあるストーリーが彼らの演技では紡がれており、それが今なお記憶に新しい名パフォーマンスたらしめていると私は思っています。私のような得意なジャンルが散見しているジャグラーにとって1曲にそれらをまとめあげる行為はとても大変で、つい2曲編成に逃げてしまいがちなのですが、1曲でも可能な曲を妥協することなく探すことを重視しました。

演技全体やシークエンスで起承転結のストーリーが出来上がるように意識する

先程演技の中のストーリーについて少し話しましたが、ここではもう少し細かくその話をします。
表題にある通り、私は今回の演技で起承転結のストーリーを描くように意識して演技を組みました。
これもまた持論になるのですが、一般的な曲を演技で使用する時、この起承転結の考え方が非常に相性が良いと思っています。起承転結の流れと言うのは普段私達が見慣れている展開です。例えばですが一般的な邦楽の場合

  1. 起:イントロ

  2. 承:1番、2番

  3. 転:転調からラスサビ

  4. 結:最後の〆

のような形で説明でき、起承転結の流れと深く関係している、と私は思っています(浅学なので見当違いな可能性も大いにあります、ご注意ください)
今回の演技で使用した曲がこちらになります(使用する際は本人から直接許可を取りました。皆さんも気をつけましょう)
今回私の演技の場合は

  1. 起:入場終わりと共に頭上バランス系統に入り、導入

  2. 承:3の技を展開し、転の4のパーツに繋がる要素をゆったり散りばめる

  3. 転1:転調と共にテンポアップし、4の止まらない定常状態をベースに技のラッシュ、盛り上がりを見せる

  4. 転2:転1の盛り上がりが止むことなく5パートへ

  5. 結:曲も落ち着いていく中、最後に後ろにある箱まで使い切り、エンディングへ

といった転を2段階に分ける形を用意することで盛り上がりを加熱させ、そこに曲がちゃんと当てはまるような選曲や全体構成を設置しました。ちなみに、6で言っていた「自己紹介」の要素は起承転結の起の部分として包含されています。
恐らくこういったパートに分ける習慣というのは多くのジャグラーがしてると思うのですが、こうやって分類すると個々の役割が見え、そこから各シークエンスに求められることが明確化しやすいという長所があります。
話は若干逸れますが、没になった曲のうち2曲ほど紹介します。どちらとも私の好みではあったのですが、今回の構造上採用されなかった曲達です。

1.oriental inspiration

https://music.apple.com/jp/album/oriental-inspiration/1063689435?i=1063689438

こちらは非常に雰囲気ならびに楽器も良く非常に好きな曲です。しかし、起承転結の結の準備時間が自分のシガーボックスだと足りないと思い、泣く泣く見送りました。

2.Wir fliegen

こちらの曲も非常に好みですが、二度起きるサビから展開が乏しく、転、結の部分の構成が難しいと考え、没になりました。
ゼノブレシリーズは良い曲が多い。

話は少し変わりますが、シークエンス単位でも起承転結を意識すると良いのでは、というのも持論としてあります。一般的な音楽は4の倍数の小節数で1つの区切りを構成しているので、大体4で割った各小節部分に起承転結を割り振ると曲との整合性が合うのではないか、というところが主な理由です。具体的には

  1. 起:何か分かりやすい技で定常状態に導入する

  2. 承:定常状態をやる

  3. 転:そこから何かしらの派生技をやる

  4. 結:気持ち良い形でフィニッシュ

といった形です。具体例として私の4シガーパートの3つ目のシークエンスを紹介します。動画11:20あたりです。


ここでは

  1. 起:バランスからの始動

  2. 承:4ミルチェン

  3. 転:派生技としてハイロー

  4. 結:音に合わせて挟みキャッチ

といった形で起承転結を構成しています。我ながらよくできていますね。欲を言えば最後にピルエットが欲しかったんですけど、ピルエットの可否はその時のトスの良さ依存で決めていたので今回はこうなりました。単発でも難しい4シガーの各種定常状態にこういった流れを設ける、というのは想像以上に大変で、入りや遷移の自然さ、安定度に関しては2年前より明らかに成長した自信があります。

8章 一人暮らし開始に向けて心がけたこと

実は5月頃から実家ではなく1人で生活をするようになりましたのでその周りの話をしていこうと思います。ジャグリングに関係しない他の理由は多々ありましたが、今回のJJFに関連した理由は大きく以下の3つに絞られます。

  1. 自信をつけたかったから
    当時の自分は家族のことを信用したり受け入れたりすることができず、家族と居ると「どうせ自分には何もできないんだろうな」という思いが自然と強くなっていました。今回社会人にもなり、心機一転、自分に自信を持って自分の得意なジャグリングに取り組みたい、という思いから一人暮らしすることを決意しました。

  2. 自身のペースで生活をしたかったから
    これが1番大きな理由です。実家では実家のペースで生活しなければなりません。その影響で、居間でしかスペース的にできない身体作りの時間がかなり制限される、起床時刻も6時半が限度で結果として朝練の時間も制限される、夜練も夕食の時間を考えると制限されるといった時間のやりくりにおいて大きな問題を抱えることとなります。一人暮らしならいつ筋トレしても良いし朝5時半に起きて朝練しても何の問題もないし、夜練もちゃんとできる。家事をしなきゃいけない分時間は減りますが、通勤時間も踏まえるとジャグリングに割ける時間の理論値は一人暮らしの方が高い、と判断しました。

  3. 屋内練習場所へのアクセスを良くしたかったから
    僕が馴染みのある屋内の練習場所が軒並み実家からだとアクセスが悪いので、実家暮らしのままだと「退社後に夜練をする」という手段が縛られてしまいます。これは練習時間、ひいては予選撮影の時間が大きく削られてしまうので良くないと思っていました。

物件選びの時も朝練が問題なくできる(周囲が住宅地の狭い公園だったりすると騒音的に朝練が憚られます)場所があり、かつ3つ目の条件を最低限満たす、というのを前提に見ていました。まあ結局今住んでいる場所はそういった観点を抜きにしてもとても街や立地が良いのですが。
スケジュール感としては3月中に物件を取り、5月から一人暮らしをするために、4月中に家具家電を整える、みたいなものでした。今思えば4月の土日はまだほぼほぼ練習できていなかったですし、まだ通し練よりも技練やパート練に留まっていたのであの時期はかなり焦っていた覚えがあります。
起こしてくれる人もいない中で朝練を遂行するのは(少なくとも僕にとっては)一筋縄ではいかないと思い、朝練をこなすための習慣として以下のような行動を心がけました。

・生活習慣の記録
一人暮らしで生活を管理する人がいないと自分はだらけてしまう、ということで自身の生活を自分自身で管理をすることにしました。具体的には玄関のドアに模造紙を貼り、日々の起床、就寝時刻などを書くようにしました。

こんなイメージです

こうやって可視化をすることでルールを守りたくなる気持ちに自然となれるので良いですね。これは生活習慣が定着していくとともに無くなりましたが、序盤の走り出しの段階ではかなり有効だったと思います。

・目に優しい食生活
仕事と練習を両立するとなると、どうしても体力面での課題が残ります。特に、ジャグリングは視力を酷使しますしデスクワークも眼の疲れがたまりやすいのでそこに重点を置いた食生活を心がけました。
具体的には人参やブルーベリーを定期的に摂取するようにしました。前者は蒸し野菜として食べたり、DHAが摂取できコスパも良い鯖缶と合わせて炒めたりし、後者は冷凍のブルーベリーを買い、朝ヨーグルトと合わせて食べたりしていました。どちらの食品も効果をかなり感じましたし、お手軽なのでオススメです。そもそもが美味しいので。

・寝起きのコンディションを良くする
人にもよるとは思いますが、自分はかなりジャグリングの練習をする時の自身のコンディションを重視していて、自身のコンディションを常に正確に判断し、最良のコンディションで練習に臨むことでより負荷の高い効果的な練習ができると思っています。その点、寝起きですぐジャグリングをする朝練は僕と非常に相性が悪く、調子が微妙な日でも最低限の練習が可能になるような何かしらの手段が必要だと感じていました。具体的に見ていきましょう。

  • 瞑想
    大学で瞑想を授業前にやる授業があったのでそれをそのままやりました。具体的には
    椅子に座る
    →鐘を鳴らす
    →鼻呼吸で吸い、口呼吸で吐く。その時、呼吸は脳の後ろ側でやる感覚を持ち、呼吸の度に善を吸い悪を吐くような気持ちでやる。
    みたいな感じです。今思えばインターネットでもっと正確なやり方を調べておけば良かったと思います。ただ、これくらい適当でもやってみると、寝起きの感覚が一時的にリセットされ、割と良い感じに集中できます。かなりスピリチュアルなものを感じ、目に見えない新世界と繋がってるような気分になれます。余談ですがシガーボックスジャグリングも本当に集中して練習すると同じような気分になるので脳の同じところを使っているんじゃないかな、という気がしています。検証求む

  • ペットボトル呼吸法
    ペットボトルの底に穴を開けた状態で飲み口の部分から呼吸をする方法です。
    長期的な視力回復にも効くらしいですが、短期的な視力及び集中力の向上にもかなり使えます。地味に口しか使わないので他のタスクと並行してできるのもポイントが高かったです。具体的なやり方はこちらに書いてあります。

  • リンパマッサージ
    これは顔痩せをメインとしたものとなっていますが、寝起きの状態でこれをやると顔が軽くなった感覚になり、寝起き特有の覚醒状態の低さが一気に無くなります。そもそもの顔立ちも整うらしいので一石二鳥ですね。参考元の動画はこちらになります

これらのことを寝起きがひどい時には行い、フルコンディション、というわけにはいきませんでしたが、それなりの疲労度、睡眠時間を仮定した場合7,8割ほどのコンディションで練習することが可能になりました。

9章 箱大会から予選動画まで-試練を乗り切るメンタル-

箱大会総括

一人暮らししてからしばらくは、箱大会を短期目標として取り組んでいました。目標としては日本一を目指すのであれば当然ダントツでの優勝しなければならない、と思い優勝を掲げていました。
今まで技やシークエンス単位での練習のみをしてきましたが、通し練も徐々にし始めました。8章であげた習慣をもってしても慣れない一人暮らしの中で朝5時半に起きて朝練をし、帰ってから仕事をし、夜施設を取ってる日は施設に練習しにいく、という生活は正直大変でしたが、「演技を作るのが技術的に難しいシガーボックスに真正面から挑む行為は自分じゃなきゃできない」「自分がもし諦めたら周りの人もショックを受け、シガーボックスをやめてしまうのではないか」「ここで壁にぶち当たることが自分にとって糧になるだろう」と自分のやっていることに誇りを見出しながら日々の練習に励んでいました。
この競技者としての前線を張るシガーボックスジャグラーとしての矜恃はかれこれ2018年の終わり頃から抱いていたのですが、私が諦めかけた時は常にこの気持ちにお世話になっていました。なんか職場の10〜20個くらい上の仕事できる上司もこんな節があるっぽかったので、自分のやっていることに誇りを持つことはモチベーションを保ち続ける上での1つのコツな気がします。
そんなこんなで箱大会当日をむかえます。気になる箱大会の結果ですが…

入賞圏外でした

ここで勝って気分を上げたかったのですが、本番はひたすらドロップし続けていました。本番でこれしかできない自身の無力さがとにかく悔しかったです。
ここで本来なら審査項目とにらめっこするのですが、非公開のデータとなっているので今回は感想だけを述べます。

・ルーティンの感触は今までで1番良かった
自分は、大会に出る時は毎回演技を見てくれた人に感想を伺っているのですが、その感想が今までの中で1番良かったです。自分の中では今回の演技は今までのどの演技よりも優っている、という自信がありましたが、実際に他者の感想でそれがサポートされるとより自信になります。私にボジティブな感想を話してくださる方、いつもお世話になってます。ありがとうございます。

・自身の視座の高さを実感した
先ほど矜恃についての話をしましたが、箱大会を通して非常に煮詰まった空間で生粋のシガーボックスジャグラー達と話してもなお、彼らよりも自分が普段から高い意識を持って練習していることを実感できました。自分の気の持ち用で間違いないはず、と自信になりました。

・とにかく疲れた
あの日はとにかく大変でした。

  • 朝5時に起きて、朝練してから関西に来たこと

  • ルーティンが非常に体力精神力を必要とし、更に完成度の低さから心技体全てにおいて高い壁にぶつかったこと

  • 照明的にシガーボックスの細かい位置把握ができず、結果としてダイレクトにシガーボックスをキャッチせざるを得なかった(上級者向けのテクニックではありますが、実はシガーボックスのキャッチは指の水掻きを避けて指先で取ることを意識した方が自由度が上がり、さらに水掻き部分の出血を防いでくれます)せいで最終的に両手から出血ボーボーだったこと

あの日はまさしく疲労と絶望感で占められた満身創痍の思いで帰宅しました。帰りの足のコンビニでなんか甘い物を食べようと思ったら大満足ミックスとかいうよく分からんゼリーしか売ってなくて、「いつか絶対大満足してやる!」という思いで買いました。まさか本当に大満足するとはこの時は知る由も無かったのですが。

名前が面白くて何故か写真がある


今回得られた自信を糧にまた頑張らなければいけない。この悔しい気持ちをこのままで終わらせないために

と、言いたいところですが、心の制御ってのはそう簡単にできることではありません。帰ってからも日々練習に励んでいましたが、心身をジャグリングでフルに消費して心が弱った状態で日々を送るのでふとした心の変化に気持ちが負けてしまいがちなんですよね。今思えばあの時期は昔こじらせた人間関係を思い出して1週間くらい家で毎日泣いて、夜も3,4時くらいまで寝れなかったです。自分の練習場所って懸垂用の吊り輪があるんですけどそれを精神的に不安定な時に見るとつい気持ちが揺らいでしまうので、あの1週間は一回一回の練習場所に向かうのにちゃんとした覚悟が求められていました。正直キツかった。そんなこんなで7月に入り、予選動画撮影のシーズンをむかえます。

予選動画撮影

予選動画撮影は、普段の通し練と比較して大きく3つの課題が生じて来ていました。順に追っていきましょう。

  • 精神面
    大事な大会の予選動画なので当然緊張します。特にこれまでの技を順当に決めてきて、次決めれば良いテイクになる、という状況の緊張感は異常です。この時の緊張感本当に毎回異常なほど強いんですけど予選動画あるあるだったりするんですかね。これについては自分は試行回数を重ねていくしかない、という結論になりました。回数を重ね練度を上げ、「ここまでノードロは比較的ある」という事例を少しずつ引き上げ、そのラインをなるべく終盤まで持っていく、という方法ですね。こうやって地道に挑戦するしか無いと思います。あと、個人的には緊張によって起きる症状はは己の体力である程度改善できるのかなと思っています。続いて体力面について見ていきましょう。

  • 体力面
    撮影に向けて演技を通す回数が増えるので当然体力面の負担は増えます。特に私の演技の場合、演技時間が長い上に序盤にひざまずいたり片足で立ったりといった身体面での負担の大きい動きをするので試行回数をこなそうとするとどうしても出番の多い序盤パートで体力を持っていかれやすいんですよね。私の場合土〜月を撮影に回し、火〜金を練習は程々にして身体作りにより重点を置く、のようなスケジュール感で通し練をしながら体力面、特に体幹をつけていく計画でいました。食生活についてもより体力面に重きを置いたものに変貌しました。時間を優先して外食したり、タンパク質を取るために思い切って鰻だったりステーキを食べたり、家にはいつも野菜スムージーと甘酒を冷やしていたりしました。この時期はしょうがない、くらいの気持ちで食費を度外視した生活を送っていました。また、撮影当日での応急処置としてプロテインドリンクを飲むと太ももを中心とした筋肉疲労が少し和らぐことにも気づき、本番にもこれが生きます。

  • 照明
    これはあるあるだと思うんですけど普段我々ジャグラーって壁側を向いて練習しがちで、というのも壁側を向くことで前側の照明の影響を受けずに練習ができるからだと私は考察しています。ただ、壁を向いたポジションでジャグリングをしていても動画は撮れないので、撮影するとなると、むしろ壁に背を向けるくらいのポジションでジャグリングをすることになります。こうなった環境でのジャグリングって意外に技が決まらないんですよね。日頃から自分にとって都合の良い環境を選んで練習してきたことを実感させられました。この照明関係について自分が行ったことは以下のようです。

  1. 各種難しい技について自分がどこにピントを合わせているかをリストアップする

  2. それらの技が施設のどこでやれば1番照明の問題を受けないかを場所を微調整しながら練習する

  3. 場合によってはステージ移動も行い、位置調整を行う

 といった感じです。時には「この技は真上を見るようで見ないので照明の真下
 につくのが実は最適!」みたいなマニアックなこともしていました。


仕事が忙しくなるかもしれない、ということでスケジュール的に7月中旬までに撮り終えたかったのですがそれは上手くいきませんでした。それ以降は予選が撮れない、今回で恐らく最後のチャンピオンシップへの挑戦がこんなところで終わっちゃうのか??みたいな焦りにだんだん支配されましたが、最終的には吹っ切れることができました。結局、1番良かったテイクは最終日の午後6時半くらいに撮影したものでした。2018年の時は最終テイクで初ノードロを出してその動画を提出したので、今回は3時間も時間の余裕があり精神的には楽でした。予約していた施設で一緒に練習した各位、特に一緒に予選動画の撮影のために頑張った人達、あの時は私にパワーをくださりありがとうございました。

10章 夏休みから本番前日まで-直前期の調整方法-

予選結果発表まで

厳しかった予選撮影が終わり、職場でも夏休みに入りました。夏休みは人前での演技に慣れたい!ということで金沢交流会のフリーパフォーマンスに参加することにしました。結果は箱大会よりはマシだったかな、くらいの出来でまだまだ調整が必要なことを実感しましたが、あと、そもそも交流も楽しかったです。交流会を運営していたJMCの皆様、交流してくださった皆様ありがとうございました。
帰ってからはというものの、怪我に苦しめられました。朝練をしていたら親指にシガーボックスを強打してしまい、よくよく見たら内出血の状態に。爪の奥の奥の方でジンジンとひたすら痛かったです。物を握る度に爪が割れそうな状態だったのでその日は一旦朝練を中止にしましたが、何もしなくてもズキズキ痛い。その日は職場に氷を持ち込んで冷やしながらキーボード打ってました。家に帰って病院行こうとしたら、、保険証が無い!どこを探しても無い!これじゃあ病院に行けない。でも指は痛い。内出血について調べたら最悪ケースで指の骨も折れるらしい。その日はひたすら泣いてました。俺のジャグリングもここまでか…翌日も仕事だったので結局急遽親に新居に来てもらい保険証を探してもらう始末に。そして、無事見つかりました。良かった…レントゲンをとり、無事骨が折れてないことを確認しました。日常生活もぼちぼち送れるようにはなってきましたが、シガーボックスだけはやろうとすると爪が割れそうな感覚になったのでやめることに。シガーボックスだけピンポイントにできなくなる怪我なんてあるのか。と思いつつ、もどかしい思いで1週間ほどジャグリングの練習をしない日々が続きました。正直この1週間は下手になってないかめちゃくちゃ焦ってました。そんなこんなで予選結果発表当日を迎えます。

予選結果発表

予選動画を送った時の感触は、当選率40%くらいかな…という感触でしたが、日が迫ってくるとともに「あの人(めっちゃ上手い人)予選動画出したってよ」みたいな話をあちらこちらで聞き、自信はズタボロでした。自分なんて絶対通ってないやろって。今回の演技はシガーボックスの歴史で見ればかなり飛躍できている自負がありましたが、既に演技の素地のある他道具の方と張り合えるかどうか、と言われたらそこの自信は無かったので。結果発表は金曜日でしたが、ぶっちゃけると火曜日辺りから夜もろくに寝れない日々が続きました。こういう日でもちゃんと社会生活をしていかなきゃいけないってのは中々大変でしたね。
金曜日当日も仕事に身が入らず、Gmailの通知も切って、なるべく情報をシャットアウトする。JJF公式から声明があってもし自分が通っていたらおめでとうの1件くらい来るだろうしそれで分かるだろう、という黙り戦法を最初はとっていました。(運営的には絶対良くないと思うので皆さんはやめましょう)しかし家に帰ってからも心臓はバクバクで耐えられず、夜9時半ごろやっぱり結果を見ることに。落ちてたら1人じゃ耐えられないと思ったので目の前に美味しいご飯を用意し、喋り相手としてサークルの先輩(某審査員ではありません)と通話を繋ぎながら結果を見ました。結果は…

予選通過でした!!!

良かった、本当に今まで頑張ってきて良かった。5回くらい自室を跳ね回っていました。とりあえずの予選通過しなきゃいけない、という肩の荷は降りホッとしたと同時に、自分みたいなジャンルのシガーボックスはかなり久しいので応援してくれる人のためにも一肌脱がないと、の気持ちになりました。

直前期の強化、調整

ここからは当日までの調整について書いていきます。このあたりから残業が増え始めたので、日々のルーティンワークの遂行がかなり大変になってきており、朝練も満足にこなせない日もありましたが、その中で何をやっていたかを書いていきます。ここだけの話、この直前期が時間的に1番ハードだったので時に引きこもっていた時期を思い出して「なんで今こんな辛いことやってるんだろう、あの時留年しておけば今こんな働きながら疲労困憊の状態で朝練とかもやってないはず」みたいな邪念に一度駆られ、少し大変でした。

・出先でもできるジャグリングの強化
社会人ということでどうしても学生と比べ練習できる時間が減ってしまいます。そのため、道具を触らずとも練習に近い効果を得られる方法を模索しましたのでそれを紹介します。
1.イメージトレーニング
これは鉄板手法と言えるでしょう。道具を持ってない状態で技をイメージし、実際に技をやる構えをとり、実行します。トイレ休憩の時間とかによくやっていた他、このイメトレの時間が欲しくて職場ではあえて足を動かす雑務に自ら手を上げてこなし、その移動時間にイメトレをするなどしていました。こういった細切れの時間を上手く使い、練習できない分をカバーしにいきました。
2.出先でできるシガーボックス力を上げるトレーニング
ここで急に質問ですが、シガーボックスで1番難しい行為ってなんでしょうか?
答えはそう、道具のグリップです。特にバランス系の定常状態はループ数を重ねると親指が痛くなり、握り続けることが困難になるほどグリップ力が問われます。
そんなシガーボックスに必要不可欠な能力を練習時間以外にも鍛える方法があったので、それを紹介します。
具体的には、指をこの画像のように親指を小指の根元に近い位置に当てた状態を維持することです。数字の4に近いので、「4トレ」と呼んでいます。

4トレのイメージです

この格好をしている時にかかる負荷が、シガーボックスを握る時あるあるの手にかかる負荷と凡そ一致します。私は移動時間中は基本この手の構えで過ごすようにしていました。そうすることで移動時間中もシガーボックスをやった時に近い負荷をかけることができます。注意ですが、これはやりすぎると普通に痛いのでほどほどにしておくと良いです。

3.なんか気づいたら頭のリソースの一部がジャグリングに割かれている
これは大学院生の頃から生まれた感覚ですが、練習していなくても起きている間は体感脳の3~5%くらいを使って頭の中で練習を反芻しているような感覚になっていました。この感覚があってから、練習しない時期があっても、ジャグリングの勘の戻りもかなり早くなった気がします。一件最強の能力に見えますが、自分の場合お酒を飲むとこの感覚がパーになるので日頃からなるべく禁酒を努める必要がありました。この感覚が本当に存在するかどうかも、この感覚への達し方も正直何も分かりません(笑)脳科学の知見が欲しい…

・コーチングによる計画の明確化
本選までの2週間は一見かなり少ない期間のように見えましたが、やるべきことが自分の中で鮮明になり、計画的に練習できるのであれば演技の向上は間違いなくできます(残業で夜の練習がほぼ不可能だった私が言うのでこれは間違いないはずです)
当日が近くになるにつれ、恐らく1番私のジャグリングに理解のある同期の大住君との練習機会が増え、都度通し練などの調子を見てくれていました。そして、その通し練を元に対話をしながらフィードバックをし、課題や改善点を考えていきました。
勿論自分1人でもどうしても視野の狭いフィードバックになってしまいますし、誰かと対話しながらの方がより簡単に然るべきフィードバックができます。これのおかげでかなり自分の頭は整理され、やるべきことが明確化しました。
この場を借りて彼への感謝の意を示したいと思います。本当にありがとう。

・体力面の調整
一生に一度あるかないかの舞台ですし、社会人として練習時間の多く取れる学生達と戦う以上経済力は生かしていくべきと思っていたのでなるべく「お金を理由でコンディションが思うように上がらなかった」事態を避けにいきました。食事面は予選動画撮影の時と同様なやり方をとることにしました。
また、特に僕のようなシガーボックスの演技スタイルだと目視する能力が非常に高く求められ、結果的に首から下の筋肉のみならず脳や眼も著しく消耗します。そこで初めて眼精疲労や脳疲労に効くと言われているサロンに行きました。
また、睡眠の質にも不安があったので安眠効果があると言われているマッサージ屋に前日行きました。眠くなったせいか、有志で開いた直前ルーティン発表会では散々な出来でした。自分は何も技が決まらないのに対し周りの人達はちゃんと魅力のある演技をやれている。自分にとって憧れていた人達はこうも高い位置にいて結局自分はそこに届かないのか、自分ってそもそも何者なんだろうか?そんな気持ちで当日を迎えます。

11章 チャンピオンシップ当日-人生で1番大事な日-

リハまで

私のリハーサルは13:45開始だったので午前中はゆっくり過ごしました。皆さんは午前中からアップをしに控え室を出て行ったのですが、私は眠かったのとで、控え室で寝ました。誰もいなかったので電気を消してました。
お昼休みに照明下での練習ができるのを同じ出場者に言われるまで完全に忘れてました。危ない危ない。その後アップを軽く済ませ、リハへ。
昼休みの練習、リハーサルを通じてとにかく照明の状況をインプットすることに努めました。基本的には照明は明るくて物体も追いやすかったですが、ステージの上手もしくは下手によるとサイドの照明の影響が強くなるので、そちらに寄って演技する場合普段より慎重になる必要があることが分かりました。
去年のこともあってリハ前は憂鬱でしたが、リハの出来はそこそこ良かったです。ステージ上での演技ってこんな楽しいんだ、と手応えを感じました。

リハから本番まで

リハーサルが終わったのでお昼ご飯を食べ、ちゃんりおさんに約束していた舞台メイクをしてもらいました。おかげさまで本番の迫力が増したので感謝ですね。この日は朝から太ももに疲労がたまっており、このままだと緊張で体幹が耐えられない、と判断したので予選の時に飲んでいたプロテインドリンクをのべ4本、集中用にエナドリを飲みました。そうこうしているうちに本番を迎えます。

本番

自分の出番は9人中6番目でした。演技順としてはかなり自分にとって都合の良いものだとは思いました。
演技中は、特に3の最初の大技、サーティーワン(多分語感で伝わると思います)を決めてからは冷静に動けていたと思います。特に「この技はここを意識する」「このシークエンスはこの状況なら攻める、この状況なら守る」といった判断が正確にできていたと思います。当日、ロマン技のバランスカスケードを入れようと思ったのですが、あのドロップ数、状況では採用しなくて正解でしたね。

演技の出来映えとしては、概ねOKで
4シガーパートが発展的な技をやってもミスると判断し、成功率優先で繋げたこと
5シガーパートの技を決めきれなかったこと
が悔やまれますが、一発勝負の世界でこれが出せたならまあ十分かなと思っています。そもそも自分は本番弱いですし。なんといっても最後の10アップを決めた時の景色が最高でしたね。あの技、最初は箱で前が見えないんですけどキャッチとともに目の前がバッと開けて前が見えたら、そこには今まで見てくださったお客さんの姿が。今までこのお客さん達に自分は見守られて演技していたんだ。あの時あの場所でしか見られない絶景として脳裏に焼き付きました。

結果発表

全員の演技が終わってからゲストステージへ。ゲストステージの演技はどれも好きな演技で普段の私でしたら魅入られていたと思うのですが、とにかく緊張していてそれどころではなかったです。あの時は1時間というゲストステージがもう本当に本当に長くて、人生で1番長い1時間でした。ゲストの方の演技は後でアーカイブでたくさん見返したのでお許しください(笑)
自分の自分の感触では3位に入っていてほしい。4位以下だと具体的な順位をその場で知れないので。と思っていましたが、入賞しなかったとしてもまあできることはやったかな、というつもりでいました。
そして運命の結果発表。自分の順位は…

1位でした!!!

やった〜〜〜思わず崩れてしまい、床を叩いてしました。メダルを首にかけてくれた審査委員長さんの笑顔を今でも覚えています。
思えば1章で言ったように自分は尊敬している先輩に「シガーボックスで」「大会に勝つ」ことを宣言し、シガーボックスを真面目に練習していました。
こJSJFという当時の宣言からはズレましたが、JJFチャンピオンシップという日本一を決めるとても大きな大会で、先輩との約束を果たせたことを誇りに思います。
このステージの運営に携わった皆様、見てくださった方、今まで私を支えてくださった方々、本当に今までありがとうございました。

自分の思う強かったところ、弱かったところ

こちらは、アーカイブで動画を見返した時に思った感想です。本当に自分の演技って良かったんだろうか??と思ったので。以下強みや弱みを書いていきます。
ほぼ全ての技が手作りであること、さらにそれらが難易度があり密度が濃いこと、一曲構成ならではのストーリーラインが1番明確に設定されており、当初掲げていた「全体感」を見事に捉えられた構成になっていたこと。
このあたりは明確に自分の強みとしてあったと思います。
逆に、ある程度鍛えたとは言え身体性の面では本選出場者に大きく引けを取っていましたこと、終盤の完成度の低さは足を引っ張る要素では間違いなくあったと思います。
自分以外の演者の方もその方にしか無いものがたくさんあると思うとともに、自分にしか無い要素もちゃんとあることが実感できたのは嬉しかったです。

チャンピオンシップを終えての感想

こちらに、今回のチャンピオンシップを総括した感想を書こうと思います。
・家族との絆が深まった
実はこのチャンピオンシップの前日に家の鍵を実家に忘れてしまい、新居に帰れない状況だったことに夜10時頃気づいたのですが、実家での家の鍵の捜索、そしてそれを家族が直接家まで送ってもらったことで事なきを得ました。
8章を見れば分かる通り、自分は今まで家族に懐疑的でしたが、今回の件を経て家族の絆を実感し、今回の結果も相まって自分って産まれてきて良かったと心から思えるようになりました。なんなら今回家族全員で見に来ていたらしいですからね。自分が頑固すぎた。

・何か大きな目標を達成したということが自分の自信に繋がった
正直、身体的な発達が非常に遅かった私は運動という運動が苦手でジャグリングにも凡そ不向きだったと思いますし、コミュニケーションが不器用なのでステージパフォーマンスはなおのこと向いてないと思います。それでも、こうして何か心を揺さぶられるイベントがあり前を向いて進み続けて夢を叶えることができたので、他の目標に対してもジャグリング同様の熱意で取り組めばいい所までいけるはず、という自信になりました。

・メンツが激アツだった
今回、マラバリ勢、筑駒Jugglersもそうですし、97世代、シガーボックス勢といった自分にとってゆかりの深い人が数多くチャンピオンシップに出ていました。彼らと共に同じ舞台に立って演技できたことがとにかく嬉しかったですし、この2022年9月24日は
未遂してから2年と1日
2018年の予選落ちから4年と2日
チャンピオンシップに向けて再び走り出すと決めてから5年と1日
優勝を目標に臨んだものの大敗を喫したJSJFからちょうど8年半
そんな節目に非常に近い日だったこともあり、己の集大成を飾るのにこれ以上無いステージだったと思います。

・自分が何者か?への答えが見つかった
これまで自分は色々な人に憧れ、影響を受けてジャグリングに注力し、いつかは憧れた人達のような演技をしたい、と思いつつそうはなれないもどかしさを抱えていました。
今回あるがままに演技をしたこと、それが私の人間性を含め多くの方に受け入れられ、一部観客の心を動かせたことから、自分は憧れにはなれなかったものの、誰でもない「自分自身」になることができたんだ、と実感しました。この原点回帰するような感覚がとても爽快で、当たり前のようで盲点な気づきでした。これが本当の自分探しってやつなのか。最後に私の大好きな歌を捧げてこの章の終わりにしようと思います。良い曲なので是非1度聞いてみてください。

遠くに伸びる影 夜の波が消した
涙を流したなんて 気づかれないまま

心を捨てるなら 傷付く方がマシさ
冷たい風を切って 逃げるように走る

いつかこの雫は 宝石になるのでしょう
美しい心に生まれ変わる そう信じて

世界で一つの 輝く光になれ
私でいい 私を信じてゆくのさ
遠回りしても 守るべき道を行け
私でいい 私の歩幅で生きてくのさ

誰かをうらやむのは 避けられない心情?
誰かをゆるすのは 難しい心情?

ないものを探せば 数えきれないけれど
ゆっくり愛してみよう 私というこの命を

世界で一つの 輝く光になれ
明かりのない 明日を迎えたとしても
悲しみの先に 孤独が押し寄せても
息をしてる 今日も息をして 生きている

世界で一つの 私に幸あれ
涙に幸あれ 明日に幸あれ

世界で一つの 輝く光になれ
泣いてもいい 私を歩いてゆくのさ
涙は頬を 流れる星のようさ
私になれ 私を叶えて生きてくのさ
Superfly Beautiful

12章 今後の活動について

最後に、今後の活動について以下にまとめておきます。

競技者としての活動

競技者としての活動まず最初に申し上げたいこととして、今回のJJF2022チャンピオンシップをもって、競技ジャグラーとしての活動に区切りをつけたいと思っています。というのも、今回の結果に満足したと同時にこれから先も競技ジャグラーとして頑張り続けることに限界を感じたからです。
社会人として働きながら競技の世界にのめり込むのはまず体力的な限界があります。競技の世界に満足に打ち込むには(仮に残業が無かったとしても)それ1本でやっていくレベルでの体力を消費します。今までは本来社会人としてするべき自己研鑽からも目を瞑ってきましたが、半年だけ目を瞑るのとずっと勉強をサボり続けるのとでは意味合いが変わってきますからね。仮にジャグリング専業になったとして、幸いなことに金銭面がなんとかやりくりできたとしても自分にはこの先3年間ぐらいのジャグリングのビジョンしか持てず、生涯ジャグリングで新しいものを用意し続けられる自信は無いです。そもそもの創作能力は他の人より低いと思っているので。
また、矜恃と共に自分を鼓舞しながら第一線で競技の世界に居続けることは精神的にも非常に疲れる行為です。勿論、この行為は非常にやり甲斐があり、この気持ちで臨む練習は疲れるものの他では味わえない楽しさや達成感があったのですが、やはりプレッシャーなどの心的負担がどうしても伴いますし、3,4年もやっていると疲れの方が勝ちます。
2018年くらいから長い間自分はシガーボックス界隈の顔として第一線にいましたが、今回のJJFでもって自分の役割は十分に達成できたと思っていますし、チャンピオンシップ優勝という結果は、自分には正直身に余るほどのものでとても満足しています。今度はもっと下の代の方に先陣を切って頑張っていただきたい。そのために必要なサポートであればいくらでもします。
あと、これは「ジャグリングをやめる」ことでは決してないのでそこはご安心ください。ジャグリング自体はとても楽しいですし良い趣味だと思うのでこれからも続けていこうとは思います。競技から趣味に変わったってイメージですね。ここまで読んでくださった方は私が「シガーボックスで競技シーンに出場すること」にこだわってきたことは分かると思いますが、そこにこだわる理由も無くなってきたので気軽に他道具の練習もしていこうと思います。それでも1番楽しい道具はシガーボックスだと思うのでなんやかんやシガーボックスしかやらなさそうですが。

動画投稿などの発信活動

今後はこのnoteだったりYouTubeだったりの発信活動を増やしていきたいと思っています。内容としては、「シガーボックスの技について本質的な部分から理解することで効率よく習得できるようにすること」を目的とし、様々なコンテンツを作成できればと思っています。

  • せっかく自分が色々な技を習得している

  • 基礎技の方が見る人が多い

  • 基礎技から着手した方が後の進みが楽になるはず

といった理由で基礎技からなるべく網羅性の高い構成にするべき、と思いつつ個人的には自分しかできない技系統にいきなり手を突っ込みたい、という部分でモチベーションと自分の思う在るべき姿が乖離しているので進め方に悩んでいます。進め方についての建設的なご意見があればこっそり連絡してあげてください。
また、これは先ほどの動画投稿とは別で、現在技動画を作成しています。内容としては5シガーに焦点を当てたものとなっております。動画にこれをのせたい!といった自分の設定したノルマが非常に高く現在苦戦しておりますが、なるべく早く形に出来ればと思います。

コーチング活動

これについては新しい試みではありますが、既に始めています。「競技者としての活動」で前に話していた「サポート」の一部にあたります。

  • ジャグリングで上手くなりたい

  • 学祭などで演技を形にしたい

  • 大会に出場したい、勝ちたい

  • etc..

といった何かしらの目標を持っている方への目標達成をサポートすることができたらと思います。サーカス団に入りたい!のような方の場合現段階の私の知識では大変そうですが話を聞くことくらいはできそうです。具体的には

  • 目標の明確化

  • 課題洗い出し

  • 戦略立案

  • マイルストーン設計

  • 練習メニュー設計

  • (知ってる技、できる技の場合)コツ共有

  • 日々のジャグリングについての悩み相談

といった内容を対談形式で共に考えていけたらと思います。JJFチャンピオンシップへの挑戦を中心に、具体的な目標を持ってジャグリングの練習をすることが自分は多かったので、そこの経験を生かすことができればと思います。
道具の対象は特に決めていません。シガーボックスであれば質の良いコーチングを約束できますが、シガーボックス以外の道具でも全力で対応していく所存です。
今のところは、これらの活動を無償でやらせていただこうと思っています。ただ、自分以外にコーチング活動をしたい方が今後増えてきて「無償でやらなきゃいけない雰囲気あるせいでやれない!」みたいな苦情を多数頂いた場合、少し代金をいただく可能性があります。その点はご了承ください。
私は、ジャグリングに対する思いの強い全てのジャグラーの皆様を応援しております。そんなあなたの熱意をささやかながらサポートできればと思います。興味のある方は気軽にお声かけください。

あとがき

以上で今回のnoteを終わりにしようと思います。なるべく読みやすい文章構成を心がけましたが、読みやすい文章を書くのって難しいですね。
今後またこういったコンテンツを作成した時はまた覗いていただけると幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。



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