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【シャンパーニュ】収穫②手摘み。

「シャンパーニュ」が「シャンパーニュ」であるために、シャンパーニュの委員会で決められた決まり事がたくさんあります。

ぶどう栽培としては不利な寒冷地で、世界中で愛され望まれる最高級の名にふさわしい「シャンパーニュ」という特別な飲み物を造るために、その名称のイメージを守る為に、厳格に設けられている決まりです。

収獲はすべて手摘みというのもその一つ。
機械で収穫し果皮が傷ついてしまうとその色が果汁についてしまうので、1房ずつ手と鋏で摘まれます。

シャンパーニュのブドウ畑は全部で34000㎢あります。
2022年は1haにつき12000kgまで収穫できるので、単純計算で全部で4億800万㎏のブドウ。1kgを4~5房とすると20億個ものブドウが手で摘まれるんですね。

かなりの傾斜でもふんばりつつ手摘み。

急な斜面の畑はとても良いブドウが穫れるのですが、働く人にとっては厳しい条件です。


1人ひとりが剪定用のはさみを持って収穫し、まずは上の写真のように小さなバケツに入れていきます。

今年のブドウは房が小さいのが特徴です。ということは、同じkgでも例年よりたくさんの房を切らなければならないということ。
給料を収獲㎏によって支払われる収獲人にとっては、例年より仕事量が多くなる計算です。

でもブドウの収穫が少ない年は仕事は楽でも収入は少ない。
今年は収入は十分と言えます。

小さなバケツがいっぱいになると、大きなケースに入れ替えます。
自分で空けに行くか上のようにリレー方式で。

バケツは女性1人でも持ち運びできる量。
大きなケースは運搬係がリヤカーなどで運びます。

45~50kgになるケース。

働き手はEU圏内の賃金の安い国から来ます。
例えばブルガリアの最低賃金は363€/月。
収穫の季節だけフランスに来ても半年分の給料が稼げてしまうそうです。

毎年収穫時にフランスに来たお金をため、自国で家を買うという話も。

畑の端に集められたケースは、ワゴン車や小さなトラックなどで圧搾所まで運ばれます。

圧搾の様子はまた改めて。

わたしも友人のぶどう畑で収穫を手伝ったことがあります。
作業は腰をかがめたままなのできついのですが、おしゃべりしたり歌ったり、陽気な雰囲気で行われます。

今年のブドウは糖度が高め。房は小さいけれど凝縮した味わいがあります。
量も十分ですし、当たり年の予感です。

摘まれたブドウがシャンパーニュとして市場に出るのは早くても約2年後。
2022年のブドウだけで造られるシャンパーニュは3年以上、長いと10年以上熟成させてから市場に出る場合もあります。

神の恵みと人の力、そして年月をかけて美味しいシャンパーニュが出来上がるのです。

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