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横浜マラソンを走ったら、ベルリンの壁に思いを馳せた話

フルマラソンは健康に悪い!
42.195kmも走ったら足腰が木っ端微塵になってしまいます。
そんなことは天地開闢の折から明らかだったんですが、人間は愚かにも不健康なラーメンを食べ、不健康なドリンクを飲み、そして不健康な距離を走ってしまうのです。
酒は全く飲めないので代わりにいつもジンジャーエールをしこたま飲んでます。

前置きはさておき、先日横浜マラソン2019にて人生初のフルマラソンを走ってきました。実はその翌月のさいたま国際マラソン2019にも出走したんですが、それはまた別の記事にするかも。

注目の記録は Gross Time 03:53:44, Net Time 03:50:22 でした。
目標タイム4時間をクリアして大満足のレースとなりました。

いやぁ〜良かった良かった、などと個人の感想を恥ずかしげもなく公開しようといった意図はこの記事にはありません。
意味もなく陽キャランナーを牽制したところで、この記事の目的を発表すると、全ランナーの結果の分布を出したので、それを公開/考察しようという主旨です。ランナーズアップデートというサービスがあって、そこから全ランナーの記録を引っ張ってこれるんですが、マラソンの記録は個人情報に当たらないのか非常に心配です。

Gross Time, Net Time という言葉を初めて目にした赤ちゃんランナーのために説明しておくと、Gross Time というのは、大会公式のスタート合図からゴールまでにかかった時間で、Net Time はスタートを実際に通過してからの時間のことです。もちろんGross Timeのほうが公式記録となり、Net Time は参考記録となります。申告タイムの速い順に整列してから号砲が鳴るので、遅いランナーはスタート地点よりはるか後方から出走となりGross Time と Net Timeには最大30分程度の差が出ることになります。
筆者はアマチュアランナーなのでNet Timeの方ばっかり見てるんですが、ガチ勢はGross Timeを気にしているはずです。
ちなみに net という単語には「正味の」という意味があるらしいです。この前知りました。

さっそく Gross Time から見てみましょう。

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5分刻みのヒストグラムです。最頻値は5時間のごくわずか手前のあたりですね。ちなみに全ランナーの平均値は4時間57分00秒、中央値は4時間58分46秒でした。
3つの統計値がだいたい同じ位置にあるので、分布の歪みは小さいと言えるんじゃないでしょうか。
注目してほしいのは、3時間、3時間30分、4時間、4時間30分、、、と30分おきにピークが見られる点ですね。やっぱりランナーの皆さん30分刻みの記録をかなり意識しているみたいです。筆者もその一人で、4時間切りを強く意識していたので、ほぼ4時間でゴールしたわけなんですが、そういうランナーが非常に多いんでしょう。35kmらへんの一番つらい時間帯でも、もう少し頑張れば4時間切れるな......と、ご褒美があると思えば激痛の中でも前に進むパワーが生まれるんですね。経営者のみんな、賃金を上げれば生産性も上がるっぽいよ!

次はNet Timeです。

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概形はGross Timeと変化ないんですが、4時間を切ろうとするランナーが異様に多いことがわかります。なんと最頻値が3時間55分~4時間の5分間に現れました。平均値は4時間43分18秒 中央値は4時間43分52秒でした。やっぱりGross Timeよりも Net Time を気にするランナーのほうが多いみたいですね。
ちなみにこの大会には「フルマラソンを6時間30分以内に完走できること」みたいな要項があったような気がするんですが、このヒストグラムをみると、6時間を過ぎると急激にランナーが減っていることがわかります。スタート時の整列で一番遅いブロックからスタートするランナーは30分以上無駄になってしまうので、制限時間6時間30分の大会では正味6時間のタイムリミットと考えるのが良さそうです。

次にスタートにかかった時間の分布を見てみましょう。

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横軸はスタートにかかった時間(分)で、1分ごとのヒストグラムです。
最頻値は当然0分台、分布はかなり左に偏った形になりました。これは少し直感に反していて、スタートの整列時には速い人から順に並んでいるはずなので、理論上はもっと直線的に減少する分布になるように思えるんですが、実際にはスタートから5分あたりまで急激に減少してあとはほぼ一定という形状をしています。
これは実際の走力よりも前の位置からスタートして全体を律速しているランナーがいるな......?? と勘の良いガキになってしまったので、走力とスタートまでにかかった時間の散布図を用意しました。

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横軸がNet Timeなので走力に対応していて、縦軸はスタートまでにかかった時間を表しています。やっぱり、かなり前の方からスタートしてる割にはNet Timeが遅いランナーがいることがわかりますね。図の右下の部分、密度は薄いものの、この人たちがスタート時の渋滞の一因になっていることは間違いなさそうです。嘆かわしい。喝をいれておきましょう。

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ところで、図中央の > みたいな形をした低密度部分がどういう理由でできたのか全く想像ができませんでした。だれか考えてみてください。本当は早く走れるのに遅刻して後ろのブロックに入った人たちが図上部、左右方向の帯を形成しているのかな......?

個人の感想は述べませんと言ったんですが、あれは嘘で、最後に少しだけ横浜マラソン2019の思い出を書きます。
10km地点くらいで7歳くらいの少年が、国際紛争に巻き込まれ行方不明になった父を探し求めるときのような悲痛な声で「父ちゃーーん!!!! 父ちゃーーん!!!!!」と叫んでいました(応援していた?)。ゴメンな、ぼうや、お前の父ちゃんはベルリンの壁の向こう側にいるんだ......、と筆者は生き別れてしまった親子を尻目に、ベルリンの壁、許せないなとひとりごちてしまいました。

おわり

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