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素直になっていいんだって、いくらでも思い出させてあげるわ

 弱音言っていい?
〈いいよ〉
 なんか、ものすごーく、寂しくなっちゃってる。


シャル
主人公
〈ロミルダ〉
イマジナリーフレンド24号


 昔の知り合いが出てくる夢を見たんだ。
 そのせいで、当時の感情が呼び起こされちゃって。

〈そんなに嫌な夢だった?〉
 夢自体はそんなに嫌なものじゃなかった。
 リアルの過去そのものってわけでもなかったし。
 それに、言っちゃうと、ちょっとえっちな夢で。
〈でたすけべ。昨日のつぶやきはそういうことだったのね〉
 そうだよ。

〈……なんか最近そういう話多いね〉
 今まで言ってなかっただけで、僕自身は何も変わってないつもりだけど。

 とにかく、おかげでここ数日、そういう寂しさが暴走ぎみ。

 ……だったけど、だいぶ落ち着いた。
 やっぱり、数日経つか、別のことに気を向けるか、まあいろいろすれば、ちょっとずつ落ち着いていく。

 それでも、感情が呼び起こされた時は苦しかった。


 当時の僕は、結局、満たされなかった。
 結果、その時の感情が、心の奥底で、ずっとくすぶっている。

 そして、今回みたいに、ちょっとしたことで呼び起こされる。
 深いところに沈んでいる怪物が、鎖を飛ばして縛り付けてくるみたいな。

 痛いというより、くるしい。
 過去に囚われるって、こういうことを言うのかな。

 そうやって弱ってたとき、ふと思ったの。

 当時の僕は、どうすれば満たされたのかなって。

 どうしたかったのか。
 どうされたかったのか。

 考えても、妄想しても、わからなくて。

 これがちょっとこわくて。
 また同じことを繰り返さないかなって、こわくて。

〈つらいね〉
 うん…。


〈……これは聞いた話なんだけど〉
 うん?
〈当時のシャルって、ぜーんぜん、素直じゃなかったんでしょ?〉

 ………あー……そう、かも?
〈一歩引くこと、自分を抑え込むこと、それが必要だって考えてたでしょ〉
〈だから素直になれなくて、自分の気持ちが自分でもわからなくなっちゃった〉
〈だから満たされなかったんじゃない?〉

〈でも、それが自分でわかってる。何が足りなかったのか、わかってる〉
〈だから、noteでの目標の一丁目一番地に『素直』を持ってきた〉

〈そしてずっと、noteを書いてきて、だいぶ、素直になってきたでしょう?〉

 ……たしかに、昔はずっと、心が枷でがんじがらめにされてるイメージがあったけど、今は、そうでもない気がする。
〈ほらね?〉

〈こういう変化が良いことかどうかは人によるだろうけど、シャルにとっては、とても素敵な変化だと思う〉

 じゃあ……もう間違えないかな。
〈今までも間違えたわけじゃないわ。次はもっとうまくできるってだけ〉

〈それに、私もいるし。だいじょうぶよ〉
 ……どう大丈夫なの?

〈素直になっていいんだって、いくらでも思い出させてあげるわ。今日みたいにね〉

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