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感情をむちゃくちゃにする真犯人とは

 なぜ悲しいのか。なぜ寂しいのか。なぜ苦しいのか。
 こんなつらい思いをするのはなぜなのか。
 それも、自分だけが。
 そう思ってしまうときがある。

 どうすればこのむちゃくちゃな感情を鎮めることができるのか。
 そのヒントにならないかなと、感情が動く仕組みを考えてみた。

 そのときに気がついたことがある。
 「何」が感情を刺激しているのか、ということ。

 怒られたとか、いじめられたとか、直接の原因があれば、わかりやすい。
 でも、そればかりではない。
 むしろ、なにもないときに、急に不安になったりすることが多い。
 そんなとき、何が感情を刺激しているのか。

 記憶、だろうか。
 嫌なことを思い出して、悶える。
 そんな仕組みなのだろうか。
 しかし、それでは説明できないことがある。
 たとえば、同じことに同じように同じ人に怒られたきょうだいがいたとする。
 それでも、それぞれの記憶に対するイメージは違うはずだ。 
 かたや、自分自身を否定されたように感じて、ずっと引きずっているかもしれない。
 かたや、叱られた内容に納得せず、すっかり忘れてしまっているかもしれない。
 それぞれの、記憶に対する「イメージ」が違うため、感情の振れ幅も違ってくる。

 そう、イメージ。あるいは、価値観と言い換えられるだろうか。
 これこそが、感情をめちゃくちゃにする真犯人だ。

 記憶や状況が、感情を刺激しているのではない。
 記憶や状況の受け取り方によって、感情の振れ幅が変わってくるのだ。
 この受け取り方に、自分の価値観やイメージが強く影響する。
 では、この価値観・イメージはどこから生まれてくるのか。
 これは、今まで積み重ねてきた記憶や経験から、無意識のうちに作られるものだろう。
 「かつて、やせ細っていることを理由にいじめられた。だから、やせ細っているのはかっこ悪いことなんだ」と信じ込むみたいなもの。

 この「記憶や経験を元に、無意識が作る価値観やイメージ」のことを、かっこつけて【幻影】と呼ぶことにした。
 何度も言う通り、この【幻影】は無意識が勝手に作る。
 つまり、知らないうちに生まれている。
 そして、知らないうちに感情をむちゃくちゃにしてくる。

 無意識が勝手にやっていることならば、どうにもできないと思うかもしれない。
 でも、「無意識が勝手にやってることなんだ」と意識することはできる。
 それだけで、「正体不明のつらさ」は、「正体がわかったつらさ」になる。
 これは実際に体験して欲しいのだけど、同じつらさでも、正体がわかっているだけで、かなり、やわらぐ。
 これが、むちゃくちゃにされた感情をなぐさめる、ひとつのコツなのだ。

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