"いこか"という動物に、さよならを
いらっしゃいませ。
子供の頃、絵本を読んだ記憶はありますか?
その絵本を大人になってから、読み返したことがありますか?
ご挨拶もせず失礼致しました。
私、佐野中庸と申します。クッションです。
今日は、子供の頃大好きだった絵本を、もう一度読んでみようと思います。
当時は、見た目のインパクトや「なんかよくわかんないけどおもしろい」みたいなノリで読んでいた絵本。
大人になった今なら、何か新しい発見ができるかもしれない!
ということで、読んでみましょう。
私が鬼リピしてた絵本「ぼちぼちいこか」です。
実家から持ってきました。
数えきれないほど読んだ為か、表紙カバーも紛失していますね。
こちらの本は、表紙に描かれている"いこか"という動物が主人公。
ちょっとおとぼけな表情が可愛いですよね。
どこに生息してるのかな?動物園でも見た事ないし…。
海外の絵本なのですが、翻訳されたのは「いまえよしとも(今江祥智)」さん。大阪市出身ということで、いこかの台詞を全て関西弁で訳されてます。
いこかは、消防士やバレリーナなど、さまざまな仕事にチャレンジします。けれども、大きくて重たい体の為、登っていたハシゴが折れたり床をブチ抜いたり、うまくいきません。
当時は、いこかが仕事で失敗し続ける姿を見るのが大好きでした。(無慈悲)
…はい、なんでしょうか?
申し訳ありません、電波が遠いようで
聞き取りにくいのですが…
「"いこか"って何」って?
…え?この表紙の動物ですよ、いこかって
……カバ?
…いえ、あの、私はいこかだと思うのですが…
大変恐れ入ります…こちらの絵本、読まれましたか?この動物…絵本の中で一言も“僕はカバです“って言ってないんですよ?
さらに、インターネットで「いこか 動物」と検索したら画像が出てくるんですよ?
そもそも、自分のことをカバだと宣言していない動物に「カバ」と言っていいのでしょうか?
外見で判断して…その決めつけた物言い、いこかを傷つけないとでも?
SNSに投稿しても炎上しないと言い切れますか?
〜突如、曇天から光が差し込み…天から厳しくも柔らかい低音ボイスの囁きが聞こてきた〜
ーーーーーーーーーーーーーーー
自己に都合の良い情報だけを寄せ集め・盲信し・挙句それを論破のソード&シールドにして他者を排除する…そのような生き方を、汝は選ぶのか…?
ーーーーーーーーーーーーーーー
インターネット神の前で素直に認めます…“いこか“という動物は存在しません。自分の思い込みを恥じております。
絵本の制作に関わられた方々・さらに「カバでは?」と素朴な疑問を投げかけてくださった読者の皆様に、深くお詫び申し上げます。
でも、これだけは信じてください。
私は"この絵本を愛読していた"という記憶から現在まで数十年間…
「ぼちぼちいこか」の主人公であるカバを“いこか“という動物だと思い込んでいました。
…いや、そっちの方が信じられませんよね。わかります。
でも、これ本当なんですよ。自分でも思ってますよ、意味わかんないって。
最初から“いこか“だと思っていたのか…はたまた、どこかの時点で記憶が捻じ曲がったのか…
++++++++++++++
ここからは、なぜ"いこか"という架空生物を生み出してしまったのか?検証していきます。
++++++++++++++
【以下の記事に関しまして:念の為記載しておきますが、筆者の勝手な脳内が“いこか”を作り出しただけです。絵本の制作に関わられた全ての方及び出版元の偕成社様には何の落ち度もございません!むしろ勘違いし続けて申し訳ありません!】
仮説①“いこか“の3文字だけ大きいから?
注目していただきたいのはタイトル表記です。
“いこか“の3文字だけ大きいんですよ。
この強調による脳の誤認識がいこかを産み出したのでは?いこかを強調する意味とは?
ということで、絵本の出版元である偕成社さんに問い合わせしてみました。
翌日…
早々にお返事をいただきました。
…ご担当者様、お忙しい中返信してくださってありがとうございました。約42年前の絵本ですもんね。大丈夫です。想定内です。
仮説②周りに関西圏出身の方が居なかったから?
〜他者・環境によって人間を構成する要素が変化するとしたら〜
私の勘違いの責任を、それらに擦り付けるつもりは毛頭ありません。
ただ幼少期、身近に関西弁を話す人はいませんでした。関西弁を喋る人はTVの中にいる・というイメージ。
それゆえに「ぼちぼちいこか」の朗読を関西弁で聞いたことがなく、正しく本文を発音できないまま、大人になりました。
「関西弁の発音ができないから」は原因にならない…。でもこの記事を書いていて閃きました。
いこかって標準語に変換すると「行こうか」なんじゃないですか?
…じゃあ、ここまで読んでくださってる勘の良い方々は「こいつ、カバを"行こう"って呼んでやがる…」ってなってるんですか?わ、めちゃくちゃ恥ずかしいな。
確実に“いこか”を意味のある言葉として捉えず“文字の羅列”で認識していた感があります。さらに"ぼちぼち"に至ってはスルー。
自分自身の思い込みを決め付けに変換し、他者に確認しないことがトリガーとなっていたのかもしれません。
ちなみにこの絵本では"ぼちぼちいこか"を、ゆっくり焦らず行こう・という意味合いで使っているようです。
読み返してみると、物語ラストでカバくんのとる行動が、大人の自分にめちゃくちゃ染みました…ほんと、ごめんね。
仮説③英語が読めなかったから?
私は冒頭から言い続けていたことがあります。それは「この絵本の本文にはカバという文字が一言も出ていない」ということです。
本当に?一回も?自分の記憶がだんだん信じられなくなってきたので、さらに読み直しました。結果、出ていませんでした!
ヒポポタマスとは、書いてあったけど!
今更知りましたが「ぼちぼちいこか」の翻訳前タイトルは「WHAT CAN A HIPPOPOTAMUS BE ?」(直訳:カバは何ができるの?)
現代の子供たちは、0・1・2歳から英語に慣れ親しんでいるようですが…
一方、むかしむかしある工場で生産された私はファミコンソフトの攻略に明け暮れていました。なのでヒポポタマスと聞いても「なにそれ、グラディウスの続編?」くらいの反応でしょう。
でも、もう大人になったし…
「WHAT CAN A HIPPOPOTAMUS BE ?」を借りに来ました。もう読めるもん。
書店にも行ってみましたが、日本では絶版(?)なのか売っておらず。図書館にあって良かった…。
現在は、日英二か国語版【英語でもよめるぼちぼちいこか】が発売されているようです。これで私のような脳内構成になる人は減りますね。
………あれ?なんだろう。
借りてきた絵本の表紙を見たら…一瞬記憶が蘇った気が…
私、このはてなマーク、どこかで見たことある…
仮説④絵本の表紙カバーを紛失したから?
販売されている大抵の絵本には、表紙を覆っている“表紙と同じ絵“が印刷されたカバーがついています。
それが実家から持ってきたものに、ついていませんでした。
昔、破いてしまったのか・読むのに邪魔で取ったのか・無くしたのか…。
実は念のため、表紙カバーありの「ぼちぼちいこか」も借りてきました!
カバーと数十年ぶりの対面…めくるよ…
…と言うことは、だ。
私にこのカバーの記憶がある。カバーの記憶があるということは…そのすぐ下に書いてある文も見覚えあるはず…
まとめ
私はなぜ"いこか"という架空生物を生み出してしまったのか?
検証結果は
【絵本のカバーと共に記憶を無くしていたから】
でした。
ありがとうございました。