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「データ分析の人材市場」を分析したよ!(※属性つき)|【連載】データ分析のログハウス(第2回)

~旬刊経理情報連載
「データ分析の森」ガイドマップ 番外編~

こんにちは。中央経済社「旬刊経理情報」編集部です。
本誌では2022年7月10日号から「「データ分析の森」ガイドマップ」の連載がスタートしました。DXやリスキリングなどで注目される「データ分析」について、その具体的な中身や取組み方などをやさしく丁寧に解説していただいています。
このnote連載では、本誌連載では書ききれなかった、主にデータ分析に関わるキャリアや事業について、ざっくばらんにひもといていただきます。
第2回は「データ分析の人材市場」についてお話していただきます!

書を捨てよ、森へ出よう

みなさん、こんにちは。
遠藤武(えんどう・たける)です(著者紹介はこちら)。

経理や経営企画で、あるいはマーケティングやSCMで、データ分析を行うに際し、みなさんが直面する悩みがあると思います。

「そもそも、どこでデータ分析をやればいいの?」という点です。

???:
そう、そうなんですよ!
そこに困っているんです!
データ分析を仕事にしたいんですが、どこでどうやればいいか、いろんな本を読んでも、ウェブで検索しても、正直いってよくわからないんです。
ぜひ「データ分析の人材市場」を、分析してくれませんか!?

ああ、誰かと思えば、大学でデータ分析を学んでいる、おたんさんじゃないですか。
ログハウスへようこそ!

ハンドルネーム おたん
地方のとある大学で、「データ分析ってなんだ?」と考えることに夢中になっている大学3年生。研究に没頭するほか、大学内でマルシェを創るなど、企画や起業に興味がある。

そうなんですよね、「データ分析を仕事にするためにはどうすればよいのか」、これは僕も本当に悩みました。

いくら本を読んでも、いくら文献を探しても、情報が出てこないんですよ。

僕はもともと、統計学と財務モデリングの両方をやりたかったのだけれど、両方とも経験できた(正確には「経験できてしまった」)のは、本当に運がよかったとしかいえないです。

人材市場に、応募したい求人があるかないか……という変数に影響されちゃいます。

なので、森のなかに出て、実情を眺めてみる必要があります。

市場とは「切り抜き」である

データ分析の森から、「市場」が切り抜きできます。

人材の「市場」であれば、ウェブ上を片っ端から検索して、就職活動なら新卒採用枠を拾い集め、転職活動ならエージェントや求人サイトの情報を拾い集め、強引にウェブ上から「切り抜き」をつくるしかないんですよね。

これは森から木を切って、道具やログハウスを作るのと同じです。
「市場」という道具を、形にするわけです。

よく「マーケットリサーチ」という言葉を聞くと思います。
このケースは「デスクトップリサーチ」といって、主にウェブ検索できる範囲で公開情報のリサーチを仕掛けることです。

なので人材市場の場合、たまたまリサーチしたタイミングで、募集している求人があるかないかで、行動できる範囲が決まってしまいます。

とはいえ、人材市場は1つの「ご縁」です。
こうやって書いている私たちも、読んでくれているあなたも、ご縁あってのことです。

できるだけ多くの「ご縁」を得るためには、応募先の求人データ、自分が「やりたい!」と思えるポジションのデータ、どちらも、定期的なリサーチによって、すり合わせておく必要がありますね。

データ分析を、ゲームのように属性づける

市場を切り抜いたのち、データ分析の「ログ(記録)」を取る「ハウス(家)」として、さらに形を整えましょう。
「妄想と行動」です。

データ分析は、おおまかに、次の4つの属性にポジションを分けられます。
属性と書くと、「電気系」とか「水系」とか「炎系」のように、どことなくゲームのように聞こえますね。
(データには「数値」や「文字列」といった属性があるので、実はゲームと現実はそう離れていない!と思うくらいでいいんです。ぜひ、もっと妄想しましょう!)

属 性
・「経理系」(FP&A・管理会計)
・「技術者系」(機械学習・AIエンジニア、DX領域、データサイエンティスト)
・「ビジネス系」(売上予測を行うマーケティング領域のデータアナリスト、需要予測を行うSCMプランナー)
・「専門職系」(株式市場などのリサーチアナリスト、FAS・M&Aアドバイザリー、コンサルティングファーム、DX領域)

このうち、経理のみなさんに馴染みが深いのは、いうまでもなく「経理系」かと思います。
「経理系」に限らず、すべての属性にもいえるのですが、「今の自分の属性から、次にどんな行動しよう?」というのが、DX全盛で気になるところでしょう。

おたん:
なるほど!
素朴な疑問なのですが、「経理系」と他の領域をまたいでデータ分析に取り組むことはないのですか?
何が起こるかわからない時代なので、もし1つの属性だけでしんどいとき、「どうすればよいのかな……」と思うのですが……

おたんさん、さすが!
鋭い質問ですね。

「経理系」という属性だけでなく、他の「技術者系」「ビジネス系」「専門職系」と掛け算して、FP&Aが成り立ちます。
領域をすべて行き来できてしまう、そんな事実があるんですよ。

FP&Aについて、スキルの全景を眺めよう

以下では、FP&Aで求められるスキルについて、属性と優先度を明らかにして並べます。
ゲームのキャラクターや、カードバトルのようなイメージです。

参照事例:GAFAやそれに準ずる大手外資企業群、ソフトバンク㈱、楽天グループ㈱、㈱リクルートホールディングスといった日本の最大手ベンチャー、ほかテクノロジー系のメガベンチャーなどの複数企業のFP&Aやデータ分析求人。

  • スキル:経理経験
    (予実管理を中心に、会計基準、企業法、監査、税法など。外資企業の場合、公認会計士やUSCPA[米国公認会計士]相当の知識があると強い)
    属 性:「経理系」
    優先度:☆☆☆☆☆

これは必須です。大前提です。
「仕訳を切る経理処理をいっさいしない」という場合も、経理の知識は役に立ちます。

  • スキル:分析ツール使用経験
    (予実管理ツールのAnaplanやEssbase、BIツールのtableauなどの使用経験。場合によっては顧客管理ツールのSalesforceの理解も必要)
    属 性:「経理系」と「ビジネス系」
    優先度:☆☆☆

上記もあると強いですが、あとから学べる範囲でもあります。
とはいえ主に外資企業だと、分析ツールの使用経験も問われます。

  • スキル:分析のためのプログラミング言語
    (データベース操作言語のSQL、Excelのデータを操作するVBAなど。場合によってはPythonや統計言語のRが使えても強い)
    属 性:「技術者系」
    優先度:☆☆〜☆☆☆☆くらい

ニッチですが、ECサイトを通じたユーザー分析など、データが多く変化に富む場合、プログラミング言語が要件になることがあります。
ECにチカラを入れている場合、企業によっては予実管理経験と同じくらい重視するケースもみかけます。

  • スキル:財務モデリング
    (投資価値評価、キャッシュ・フロー分析、収支分析)
    属 性:「専門職系」
    優先度:☆〜☆☆☆くらい

他の項目に比べると優先度は下がりますが、投資価値評価や新規事業立上げなどを行う場合に求められます。
とはいえ、FP&Aで売上や利益やCFの予実管理ができれば、その解像度を落とした財務モデリングは、自ずとできるはずです。

ログハウスの窓(ウィンドウ)から飛び出そう

こうやってデスクトップリサーチで、市場を切り抜いて、画面上から眺めていくだけでも、1つの分野の外に出ることができてしまいます。

「経理は有利」
常々そう思っているのですが、その理由は「FP&AはDXの申し子だから」なんです。

「技術者系」属性のエンジニアの方が、DXを通じてFP&Aに移るために、
「経理系」属性を知る……というシナリオも考えられます。
私自身も、統計学やCFモデリングから始まり、FP&Aにシフトしていきました。

今回紹介したようなポジションへの興味でもよいですし、他の「こんなことが気になる!」でも、ついつい湧き出る妄想からで構いません。
すべては、何かを始めるためにうってつけの理由です。

それでも「やっぱり不安だな……」という物事があれば、お気軽にログハウスのドアをノックしてくださいね。

*皆さまからのお悩み・疑問大募集!*
データ分析に関わるキャリアや事業について、「こんなことが知りたい」、「これってどういうこと?」など、皆さまのお悩みや疑問点(もちろん感想も!)を下記メール宛にぜひお寄せください。「ログハウス」でお待ちしています(なお、お送りいただいた個人情報は本連載以外の用途には使用いたしません)。
Mail:keirijouhou@chuokeizai.co.jp


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「データ分析のログハウス」は、旬刊『経理情報』2022年7月10日号からスタートした連載「「データ分析の森」ガイドマップ」との連動記事です。
本誌では、DXやリスキリングなどで注目される「データ分析」について、その具体的な中身や取組み方などをやさしく丁寧に解説していただいています。ぜひあわせてご一読ください。定期購読はこちらから

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