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北陸の「薬都」富山へGO! 「健康膳ランチ」と薬瓶から生まれガラス文化を巡るヘルシー&アート旅

 富山ってどんなイメージがありますか。広島市内から新幹線と特急列車を乗り継いで5時間とちょっと遠いですが、薬売りで知られる「薬都」は歴史の香り高いたたずまいです。薬瓶から生まれたガラス文化を伝える美術館や工房もあり、アートも楽しめます。この夏に訪れた北陸・富山のヘルシー&アート旅、ご案内します。(末永朋子)

名物遊覧船 水上からまるっと富山散策

 富山は約300本の川がある水量が豊かな県。中でも富山市街地を流れる松川は、市民にとってシンボル的な存在です。まずは、松川をフルオープンの遊覧船で巡る約30分の松川歴史クルーズ(大人1600円)に参加しました。新緑に囲まれ、心地よい風を受けながら船上でのんびり。船長から、戦国武将・佐々成政や富山藩主前田家の居城だった富山城のことや、地元の名物話を聞きながら、川辺の景色を堪能しました。

富山名物「ます寿しはうまいよ~!」と船長さん

 船の発着地「松川茶屋」では、創業80年の和菓子店「菓子匠 平安堂」のキットを使った生菓子作りの体験(抹茶付き1000円、要予約)もできます。私も作ってみました。松川をイメージしたオリジナルデザインの生菓子は、自分が仕上げたにも関わらず想像以上のおいしさです。

さすがは老舗の味。生地もあんこも美味
四季の景色を遊覧船でほっこり

 最も観光客が多いのは春だそうです。両岸に約460本のソメイヨシノが咲き誇る「日本さくら名所100選」の絶景が出迎えてくれます。〝桜のトンネル〟を満喫しようと、世界中から観光客が訪れ、2時間待ちの列ができるそうです。春も来てみたいなあ。

黒米や高麗人参 老舗で健康膳ランチ

 次に訪れたのは自然の生薬を配合した和漢薬の店「池田屋安兵衛商店。富山が薬で栄える発端となった胃腸薬「反魂丹(はんごんたん)」を製造する1936 年創業の老舗です。健康オタクの私にはたまらないスポットです。
 そう、富山は「越中富山の薬売り」で有名な薬都。富山県内には100を超える医薬品メーカーが集まっており、県庁には「くすり政策課」もあるそうです。

 ちなみに、反魂丹が始めて作られたのは江戸時代。城内に薬草園を持つなど、薬の研究に熱心だった2代藩主前田正甫が製造を始めました。その効果が江戸城で話題になり、諸大名から行商を頼まれて全国に広がったそうです。ここではかつて使われていた丸薬製造機が展示されており、体験もできます。

職人のすごみを短時間で実感できる丸薬製造体験

 併設するレストランでは漢方の考えに習った食事に舌鼓。ランチの一番人気は「健康膳ランチ」(2200円)です。富山県産の黒米(玄米)を蒸した真っ黒な「山菜おこわ」と、滋養強壮に良いといわれる高麗人参のスープがメインで、体にやさしい5品が次々と出てきます。

「薬膳ランチ」のメイン。黒米を蒸した山菜おこわはモチモチとした食感と優しい甘み
前菜の「豆乳豆腐新蓮根(れんこん)添え」 と「夏野菜と氷見うどんの炊き合わせ緑豆あん」

 胃が弱い私も、胃腸にやさしい料理の数々を最後の一口までペロリと完食できました。

富山市内散歩 江戸期から続くあめ店

 食後は歩いて富山市内をてくてく。地元の方にお薦めのおみやげ2品を教えてもらいました。
 一つ目は江戸時代末期に薬草の苦味を和らげるために、あめを製造し始めた島川あめ店」の「麦芽水飴」。いまも昔ながらの製法で、砂糖は使わず、米などのでんぷんと麦芽のみで手作りしているそうです。事前予約で、あめづくり体験と工場見学もできます。

 二つ目は和菓子店「月世界本舗で、1897年に誕生した銘菓「月世界」。卵、和三盆、寒天などを煮詰めて乾燥させた菓子で、低カロリー。上品な甘さ、ふわっとした口溶けが疲れた心を解きほぐしてくれます。

ガラス文化にうっとり 富山市ガラス美術感

 現代ガラス美術作品と出合える富山市ガラス美術館も外せません。世界的な建築家の隈研吾さんが設計した美しいデザインです。ミュージアムショップにはガラスの器やアクセサリー、小物がズラリと並び、カフェや図書館でくつろぐことができます。見所が多い施設の中でも常設展「グラス・アート・ガーデン」は必見。現代ガラス作家の巨匠デイル・チフーリ氏が富山をイメージして制作したインスタレーション5作品は、見応えがあり、1時間以上見入ってしまいまいた。

 この旅ではホテルグランテラス富山に宿泊。天候に恵まれると朝食会場から3千メートル級の山が連なる立山連峰の絶景を楽しめる人気のホテルです。富山駅から徒歩10分という好立地で、自転車もレンタルできるので便利でした。

世界一美しいスタバ?!

 借りた自転車を走らせて訪れたのは富岩環水公園内にあるスターバックス。ネット上の書き込みで「世界一美しいスタバ」と紹介(根拠はありません…笑)されている店です。到着すると長蛇の列が…。確かに洗練された建物で、景色もきれい。富山散策の際はぜひ行ってみてくださいね。

余談ですが、取材中に富山県で初の女性副知事・横田美香さん(写真・前列中央右)とお話する機会に恵まれました。横田さんは、なんと広島県呉市出身! 県の観光促進はもちろんのこと、女性の活躍推進にも取り組んでいます。短い時間でしたが、富山愛を語る聡明で温かい雰囲気に一気に引き込まれ、富山で暮らすのも良いかも…♥と、感じました。

 今回は、7月3日付中国新聞SELECTの「トモコのイラストコラム」で描いた、富山県富山市への旅を写真付きで紹介しました。
 川が多く、路面電車が走るなど、広島と共通点も多い富山。まるで暮らしているかのように、肩の力を抜き、気の向くままに旅ができました。新幹線での長時間移動を差し引いても、またすぐに行きたい…。次回は伝統工芸が集まる高岡市や、市内から見えただけで感動した立山連峰へのハイキングに挑戦予定です。

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