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突破口 感染症診療の「難問」に答えはあるか(13)

第13回:菌名は変わるよ,どこまでも

岩田健太郎 いわた けんたろう
神戸大学大学院医学研究科微生物感染症学講座感染治療学教授

(初出:J-IDEO Vol.6 No.4 2022年7月 刊行)

S「ナカセオマイセス・グラブラタア,ナカセオマイセス・グラブラタア,ナカセオマイセス・グラブラタア……ピチア・クドリアブゼビー,ピチア・クドリアブゼビー,ピチア・クドリアブゼビー……」
D「どうした? 初夏の心地よい陽気に煽られて,脳みそ沸騰,発酵して,溶けたか?」
S「溶けてませんって.一所懸命覚えてるんです.菌の新しい名前」
D「あ?」
S「ほら,Candida glabrataとCandida kruseiが名前変わったじゃないですか.新しい菌名,知ってますか? Nakaseomyces glabrataと,Pichia kudriavzeviiですよ! なんなんですか! この舌を噛みそうな名前は……ていうか,ちゃんと発音できるんでしょうか.kudriavzeviiってどう読めばいいんですか? vのあとにz付けるとか,ありえないですよ」
D「感染症界隈のツイッターでもちょっと燃え上がってたな」

NEW【1】
@JClinMicro
@ASMicrobiology
Review name changes for Fungi of medical importance, 2018-2019.
Candida glabrata➡Nakaseomyces glabrata
Candida krusei➡Pichia kudriavzevii
Cc;@MycologyRefManc
 @eurconfmedmycol

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