『ボッコちゃん』 1〜6 まとめてみる①

過去6話検討した『ボッコちゃん』について、最初の記事から1週間たったため、まとめてみる。

私は子どもの頃、星新一の作品が好きだった。驚くほど短い文章で、鮮やかなオチ。読書の面白さを感じさせてくれた作家だ。特に『ボッコちゃん』に収録されているおーい でてこーいは好きで印象に残っていた。こんな作品をたくさん書ける星新一は天才なのだと思っていた。幼少期の頃も、大人になってからも。


 最近、2冊の本を読んだ。『SIMPLE RULES「仕事が速い人は」ここまでシンプルに考える』著:ドナルド・サル、『勉強大全』著:伊沢拓司。


SIMPLE RULESは、シンプルなルールを設定することによって、生活に役立った事例や、シンプルなルールの作り方が書いてある。その中でも面白いと思ったのは、画家、ミュージシャン、小説家がシンプルなルールを使っている例だ。クロードモネ、は「選択肢を絞る」というルールを敷いていた。モネは、6色の絵の具だけを使い200以上の睡蓮を書いたそうだ。絞られた選択肢から、芸術を生み出していた。他には、小説家エルモア・レナードが課していた10ヶ条のルールなど、偉大な表現者たちは、作ったルールに従って作品を残しているパターンがあるようだ。


勉強大全は、東大クイズ王伊沢拓司氏が書いた勉強方法(受験)についての著書。

受験における「記述解答」に対する著者の考え方が面白い。記述で大切なのは、マジカルな発想力ではなく、ロジカルに旧作問題を解き、知識をストックしていくこと。

この文章を読んで、ふと星新一のことを思い出した。圧倒的な才能における短編の数々と思っていた星新一のショートショートも、シンプルルールによって作られているのでは?と。なにせ大量の作品だ。著者自身に意識はなくとも、作品全体に流れるルールのようなものがあるのではないかと思った。

そして、小説も見方次第では、「記述問題」ではないか?と。求められている読後感は、マジカルに自分の中から出てくるものではなく、ロジカルに、過去作品を研究し、知識をどう出すかなのでは?と。


自分の作品を書きたいと思うことはあったが、いままで出来てはいなかった。本はたくさん読む方だが、小説のルールは詳しくなかった。マジカルな発想は自分には無いと思っていた。でも、上記の2冊から、順序だてて書いてみようかと思った。


これが、ボッコちゃんの再読と、ルールの言語化を試みた理由。


長くなってしまったので『ボッコちゃん』のルール考察はまた明日に。


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