星新一 不眠症を読む

星新一は、1000をも超える短編をつくり、どれも面白い。

それを分析すれば、面白い短編ってのをみんな書けるんじゃね?ということを発端に、星新一のショートショートを調べるnoteである。

以下ネタバレ!!!!!!

約束は『ボッコちゃん』に13番目に収録されている。



結論 許される夢オチもあるのかもしれない。
   振り出しに戻る系の話

文字数 約2000字

コトバンクにはこう書いている。

[補説]読者・観客が味わった感動や感情移入が空虚なものに感じられるところから、この手法は一般的に評価が低い。


登場人物
ケイ氏
つとめ先の会社の社長
まえから行きつけの医者



ケイ氏は、ちょっとしたことで頭を打ってから、不眠症に悩んでいた。

承 
どうにも眠れないから、夜も働くことにした。昼の勤め先の夜勤でも警備の仕事に社長に依頼し入れてもらったのだ。お金は二重にもらえるし、家も必要なくなったから他人に貸して家賃を得るようになった。不満は、お金を使う暇がないことと、眠りへの欲望が日に日に高まっていくことだ。

転  
ついにケイ氏は我慢ならず、医者に行き不眠症を治して貰おうと思った。そこであらゆる薬、方法を試したが、うまくいかなかった。そこで、医者から最新の輸入品の薬を勧められた。とても高価だが、溜め込んだ貯金を払えばなんとかなった。また、治療がうまくいかない場合は返金してくれるとのことだった。


薬の効果で、ケイ氏は目を覚ました。治療は成功だった。ケイ氏はじつは夢を見ていたのだ。頭を打ってからずっと眠っていたが、薬の効果で目を覚ますことができ、昼夜ぶっ通しでしばらく働かなければいけないくらいの請求が残った。

考察

不眠症の夢オチである。矛盾したテーマを作ったのが勝ちだなあという印象。この夢オチなら好きな人は多いのではないか。
落ちは、弱くてニューゲーム。振り出しに戻ると言った感じ。構造としては、ループものに近いか。一度きりのものではあるが。

しかし、この物語の作成のとっかかりはどこなのだろう。不眠症を考えていたら出来たのか、夢オチを考えてたら出来たのか、

不眠症の夢オチ、夢オチの不眠症

不眠症は夢を見れないから夢オチにしよう!
面白い夢オチにしたいから不眠症にしよう!

どちらもありそうで、難しい。どちらも考えてて、繋がったのだろうか。

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