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【時計ブログ】時計を変えてきた'素材'や'仕上げ'について

昨今では時計に使用される素材のバリエーションも豊富になりました。
精巧なムーブメントだけでなく、材質にもこだわる時計好きな人は多いのではないでしょうか。
素材が変われば印象も大きく変わり、どの素材を採用しているかで時計の個性が決まってきます。
高級時計の素材は耐久性だけでなく、ビジュアルが美しいことも重要です。
時計のデザインや機能性など総合的に採用される素材が決まり、素材も時計選びの大きな要素のひとつでもあります。
今回は、時計の在り方自体にも大きく関わる‘素材‘’仕上げ'にについてをテーマにしています。


●腕時計に使われるケース素材

一般的に腕時計に使われる素材は、ステンレススティールがよく知られています。耐傷性に優れ、酸化もしにくくコストパフォーマンスが高い点が特徴です。
高級時計ではその他に、ゴールドやプラチナ、そしてメーカー独自の素材など様々な素材が使われます。これらは、手間とコストがかけられているため高い品質でもあります。

【クロノスイス2024年新作より、一例をご紹介】

(チタン)
ReSec Manufacture Green Monster CH-6923T_1-GRBL
(ステンレススティール/SS)
Strike Two Terra CH-5023-BRS


【素材の一例】

・ステンレススティール/SS
錆びにくく、高硬度で安定した耐久性を保持しているため、様々な時計で使われており、含有成分や特性によって様々なメーカーが特許や登録商標を持っている素材で、その種類は数百種類を超えるとも言われている。

・ゴールド
美しい輝きとラグジュアリーな雰囲気から、多くの支持を得ている素材。
一般的には、純度75%の18Kをケースに使用しており、主にその18Kの金に銀、銅、パラジウムなどを混ぜることで、イエローゴールド、ピンクゴールド、ホワイトゴールドなどに生まれ変わり、それぞれの金の美しさを楽しめる。

・チタン
比重がステンレススティールの約6割という軽量素材。軽快に装着できるため、時計のケース素材に多く用いられるようになっている。海水などに触れても錆びにくく、強度も備えており、金属アレルギーを起こしにくい。加工には手間がかかる。

・プラチナ
採掘量が少なく希少性が高く、ゴールドの上を行く金属とされている。最上級の光沢感を持った高級素材として高い人気がある。
美しさの他にも加工がしやすく、耐食性も優れているので長く愛用し続けられる。

・セラミック
金属よりも軽量で非常に高い硬度も備えており、艶やかなで滑らかな風合いが魅力。一般的なステンレススティールと比較すると、硬度は10倍以上といわれており、金属ではないので錆びないことも魅力。また、加工するには高い技術が必要で、ケースの製造においては素材の価格と合わせて製造コストもかかる。

・カーボン
 軽さと高強度を合わせ持ち、宇宙開発などにも使用されている。加工が難しく製造コストも高いので限られた高級時計でしか採用できなかったが、最近では加工技術の向上により、カジュアルな時計にも見られるようになってきた。

●色鮮やかなダイヤルの仕上げ

近年の世界的な時計の展示会では、毎年新しい仕上げの文字盤を発表するブランドが多々見受けられます。
2010年代以降、世の中は高級時計ブームの流れとなり、ケースなどの外装とともに新たな表現方法を模索して、文字盤にもコストをかけるようになりました。
当初は、高い耐久性とエナメルのような高級感のある艶や、しっとりとした上品な色みが魅力的なラッカー仕上げが普及し、さらにグラデーションダイヤル、そしてPVDコーティングやCVDコーティングなどこれまで文字盤には採用されなかった手法が広まりました。素材の表面に付着させる表面処理で、金属や酸化物などを蒸発させて処理を行う‘蒸着’ 方法であり、物理的反応を利用した物理蒸着(PVD)と、化学的反応を利用した化学蒸着(CVD)です。

【クロノスイスより、一例をご紹介】
深く鮮やかなサファイアブルーが印象的な「デルフィス サファイア」。
CVDコーティングを文字盤に用いたモデルで、難しい色味を表現しています。発色の鮮やかさに加え、クロノスイスの伝統的なハンドギョーシェも繊細に、そして美しく残されています。

CVDコーティング
Delphis Sapphire デルフィス サファイア
CH-1423_1-BKBL1

【仕上げの一例】
・PVDコーティング
・・・物理蒸着法と言われるこの仕上げは、電解メッキよりも発色が安定する上、難しい色も出しやすく、色が安定して生産性にも優れています。

・CVDコーティング・・・化学的反応を利用した化学蒸着法で、薄膜生成法の一種。光の反射によって色が変化する構造色を使うことで、メッキなどでは出すことが出来ない難しい色味を実現。

CVDコーティング
Delphis Sapphire デルフィス サファイア
CH-1423_1-BKBL1


●'素材'が変われば、時計が変わる

かつては使われていなかった素材でも現代では不可欠な素材となり、また仕上げの方法も時代の状況の変化に応じて進化しています。
時計選びの基準はさまざまで、ブランドのステイタス、ムーブメントの性能、そしてフォルムやカラーなど、人それぞれ大切にする要素があります。
時計選びのポイントとして、各ブランドが時計製造の各プロセスを突き詰めた、'素材'や革新的な'仕上げ'の方法など、細かいこだわり部分に注視すると、時計選びがより一層楽しくなります。

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