mamoru 10分男1女1

a=柿原哲夫 b=妖精 めいめい 

a;なんだよ・・・なんだよアレ・・・!?

aナレ;俺は都内に住む男子高校生、柿原哲雄。あだ名はカッキー。今朝もいつも通り登校しいつも通り授業を受け、いつも通り友人と駅前で駄弁って帰っている最中だった。しかし、その日常は突如として現れた、謎の魚怪人たちによって壊された。

a;中村!?立花、東雲・・!?し・・・死んでる・・・!嘘だ・・こんな・・!

aナレ;さっきまで明日の試験について話していた友人たちが今はただの肉塊と化した。あり得ない。こんなの、現実じゃない、そう言い聞かせてもガラスの破片できれた太ももの痛みが俺を現実から離してはくれない。

a;うわ・・うわあああ!!クソクソ!!!みんなの仇だあああ!!!

aナレ;恐怖はあったが、友人が殺されたということの怒りがそれを上回った。俺は足元に転がっていた鉄パイプを魚の怪人に振り下ろしたが、ちらりとこちらを向いた程度で、ほとんどダメージは与えられなかった。そして、友人たちの命を奪ったトビウオアームをこちらに向けてきた。俺は死を覚悟した。

b;すごい勇気だね!びっくり!

a;え?

aナレ;奇妙な声が後方から聞こえてきた。そちらに目をやると、ピンク色のもふもふとしたウサギ風なマスコットキャラクターが浮いていた。

b;めいめいばりやー!

a;え!!?

aナレ;そのマスコットからピンク色の光が放たれ、鉄パイプでびくともしなかった魚の怪人は鈍い声を上げて吹き飛ばされた。

b;私じゃこれが精一杯ノラ。後は君がやっつけるノラ。

a;え?お、俺がって、どういう意味だ?

b;えーっと、これを使うノラ!

aナレ;そうマスコットが言いながら、腰のポケットから虹色のステッキを放り投げてきた。

a;これは一体・・?ど、どうすればいいんだ?

b;えっとね、それをお空に向けてこう叫ぶんだよ!「男の子だって魔法少女になっていい!ヘーンしん!」

a;な・・わ、わかった! 「男の子だって魔法少女になっていい!ヘーンしん!」

aナレ;俺がその言葉を叫ぶとステッキから光が溢れ俺の全身を包み込んだ。全身が虹色のタイツで覆われ、腰のベルトにはLGBTの4文字。令和だなぁと感じながら俺は魚の怪人を見つめ直した。

b;よし、その姿になった君は普通の人の10倍の力があるノラ!倒すのら!

a;わかった!!うおおおおおおおお!!!

aナレ;それが俺と妖精メイメイの出会いだった。メイメイは地球を守る妖精で、宇宙からくる怪人たちに対抗すべく、人間に力を貸しているのだという。それから俺とメイメイは人間を守るために、何匹もの宇宙怪人と戦った。

a;メイメイ!カブトムシ怪人が暴れてる!頼む!!

b;待ってねぇ。うーん。

a;早くしてくれ!メイメイ!

b;あったぁ。はい!トランスステッキ!

a;おう!うおおおお!変身!

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a;メイメイ!!今度は浜辺でカニ怪人が人を襲ってる!

b;潮の匂い苦手ノラ〜。

a;いいから頼む!!メイメイ!

b;あ、は〜い。待ってね〜。

a;メイメイ早く!!

b;はい、トランスステッキー!

a;変身!!うおおおおおお!!

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a;メイメイ!!遊園地でクレープ怪人が観覧車を倒そうとしてる!!

b;イルミネーション綺麗のら〜。

a;いいから!!メイメイ早く!!

b;メリーゴーランドも乗りたいノラぁ〜。

a;メイメイ!!!!

b;はい、トランスステッキー!

a;くそ!!変身!!!

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a;だめだ・・・怪人は倒せても・・いつも大なり小なり被害者は出てしまう・・。

b;しかたないよ、カッキーくんは頑張ってるノラ。

a;・・うん・・。

b;人は誰しも、得手不得手もあるし・・・。

a;・・・うん・・・・。

b;間に合う間に合わないは時の運もあるのらね。

a;あのさぁ・・メイメイさ・・・

b;なぁーにぃー?

a;早く・・できないかな・・・その・・

b;早くぅ?

a;いっつも・・遅いんだよ・・ステッキくれるの・・・

b;ええ?

a;間に合ってんだよ!!!俺は!!!!!!

B;え

a;俺はいつも!!まだ誰も人が死んでない時に、現場にたどり着いて!!なんとか犠牲者出さないようにって、原チャリの免許もとった!!なのに!!お前がステッキ出すの遅いから!!俺の目の前で・・人が・・殺されていく・・・。う・・・う・・・・うう・・・

b;泣かないで・・カッキーくん。

a;お前は・・・お前は・・人間じゃないから・・平気でいられるんだ・・・・

b;・・・・

a;同族が殺されるのを・・何度も見てきた・・俺はまだ・・・17歳なのに・・

b;カッキー君。

a;人身事故現場に一度でも遭遇してトラウマを植え付けられる人たちだっていっぱいいるのに・・!

b;カッキーーーー君・・・

a;あんまりだぁ・・・あんまりっす・・・

b;立場わかってる・・?

a;ヘア?

b;カッキーくんは今の立場、わかってるのかなあ?

a;・・立場?

b;人間は、私が手助けするのやめたら、滅びるんだよ?

a;・・・メイメイ?

b;大なり小なりの被害で済んでるのは、誰のおかげかなぁ?

a;・・ノラは?

b;今は、いい。

a;ごめん・・・。

b;他に謝るべきことがあるんじゃないかなぁ。

a;うん・・・ごめん・・・なさい・・・。

b;謝りたいと感じる・・・ 感謝・・・だよね。

a;ごめんなさい・・・。

b;うん・・・。

aナレ;犠牲を出しながらも俺は人間を守り続けた。人と自分の死がすぐ側にある生活を送り、得体の知れない精霊のご機嫌取りもこなす。そんなことを続けているうちに俺の心はすり減っていった。当然、勉強に当てれる時間も少なくなり、成績は落ち親からも見放され、受験は失敗。俺が人間を守っても、誰も俺のことは守ってくれない。好きだった子が、他の男と手を繋いで歩いている所を見た。そして俺は

a;・・・・メイメイ・・・怪人が襲ってる。

b;え?ほんと?何怪人?

a;わかんない・・でも襲ってるんだ。ステッキ貸してくれ。

b;わかった。 はいステッキのら。

a;ありがとう。・・・・変身。

フィン

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