8/21 慶應/浅野敬志T.中国AI


最高経営責任者(CEO)、最高財務責任者(CFO)、IR(投資家向け広報)担当役員といった経営陣とIR部門が、従来の対話の担い手。現在は、企業側には、社会取締役、監査役、サステナビリティ担当役員、人事担当役員などが参加。投資家側も議決権行使担当者やESGアナリスト、エンゲージメント担当者など、役割の細分化と専門家が進んでいる。だけど、投資家側からは、話が噛み合っているのか、明確でないとの声がある。
例えば、気候変動では、温暖化ガス排出量やカーボンプライシングなど制度に関する知識のほか、先端技術についての工学的な知見など、多様な専門知識が求められる。さらに、生物多様性への対応、人権への配慮、社員教育の充実、ダイバーシティの確保なども重要なテーマ。現在の状況では、企業と投資家が十分に対話できていない可能性がある。今後は、複雑化・多様化・専門家したテーマについて、対話の担い手を適切に結びつけることが重要。より充実した対話には、双方が知識を更新し続ける必要がある。

2023年6月の株主総会では、株主提案が過去最高の90社、344議案に達し、株主と企業の緊張感が高まっている。株主提案の内容は多岐で、資本収益性の向上、株主還元策、脱酸素への取り組み。急増の背景には、コロナウィルスの反動や、サスティナビリティへの問題意識の高まり。また、株主提案への賛成票が集まりやすくなっていることも大きな要因。「物言う株主」が企業に対し取締役の選解任などを求める方法は、一般的には3つ。まず株主提案。次に集中的な株式買い増しにより、有効な経営改善を迫る方法。そして、株式を長期間保有し、持続的な対話を通じて影響与える方法。株主提案型の株主は、迅速な解決を望むため、株式の長期保有や高い比率での保有を避ける傾向がある。また、業績が悪化し企業価値が低い一方で、キャッシュリッチな状態の企業を標的とする。これは、短時間で株価を引き上げるために、株主還元を要求し、要求が受け入れられなければ投資を撤退すると言う手法。従来のアクティビストに近い印象。一方、株主提案を行わない株主は、株式を高い比率で保有したり、長時間保有したりする傾向がある。また、外国人投資家の保有比率が高い企業を投資対象とする。物言う
株主の要求が通りやすい株主構成の企業に、集中投資や長期投資することで、中長期視点の経営改善を促し、企業価値を高めようとする。市場から高い評価を受ける物言う株主も存在する。優れた対話を実現できる投資家や物言う株主を見極め、緊張と協調の関係を構築することが重要。

ESG投資の進展は、企業と投資家の間に新たな進展をもたらす。企業は、サスティナビリティー活動とその情報開示を通じて投資家の期待に応え、信頼関係を構築する必要。同様に、投資家は企業のサスティナビリティ活動を総合的に評価し、経営改善に関与する必要。進展により、持続可能な社会と経済の実現に向けた重要な一歩になる。企業と投資家が協力し、サスティナビリティの観点から価値を創造することで、より良い未来が築ける。
(慶應/浅野敬志)

中国政府は8月15日、「生成AIによるスマートサービスの管理に関する暫定弁法」を施行。8月1日、米アップルは中国向け「App Store」から多数の生成AIアプリをまとめて削除。これらのアプリには、データの違法な収集・利用や国外流出などのリスクがあり、暫定弁法に違反する可能性があることから、事前に対応。
→不確実性が高いから、というのはあるが、中国国内で、生成AIなんていくらでも作れるだろうから、少し成長スピード鈍化するかもしれないけど、それほど大きな打撃はなさそう。

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