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くらしに溶け込む「殺生」 

2021-09-05

であう・きく・つなぐ ~あいかわの聞き書き探訪記~

こんにちは、長老大学オンライン支店スタッフのあいかわです!

 今回は、デイサービス長老大学高知本店のご利用者Hさんのオンライン聞き書きをさせていただきました。

 Hさんとは初めての聞き書きでしたが、丁寧に挨拶をしてくださり、終始ほがらかにお話してくださり、とても素敵な女性でした。

 Hさんには、子どものころのご家族の話や、育った場所のお話を伺いました。今回お話してくださったなかで印象に残ったのは、「殺生」のお話と「農閑期」のお話です。

・殺生について

 いま、おうちで犬を飼っているという話になったとき、その犬は猟犬として飼っているのだとHさんが教えてくださいました。

いっしょに暮らす息子さんが、山で「セッショウ」をやっているからだといいます。わたしは「セッショウ」というのがなんのことか、すぐにはわからなかったのですが、その後、「よくウサギやタヌキをとってくるよ」とおっしゃったので、セッショウは「殺生」、猟のことだとわかり、とても勉強になりました。

Hさんのご主人もずっと猟をされていたとのことで、山で育ったHさんにとって、猟がごく身近なものとして存在していることが伺えました。

タヌキ鍋というのはわたしも聞いたことがあったので、どんなものかお聞きしたところ、Hさんは大根といっしょにお肉をゆがいて、醤油で味付けして食べるそうです。

処理がうまくできていないと、臭みがときどきあるので、ウサギよりは食べにくいねとおっしゃっていました。

また、息子さんはイノシシもよくとってきたとのこと。イノシシの肉はとてもおいしく、タヌキとおなじように、大根といっしょにゆがくのがいいとおっしゃっていました。

Hさんのご主人は、農業をやりながら山の木材関連のお仕事をされたり、その合間で猟に出たりしていたとのことで、Hさんご夫婦は食べものに関してはほとんど自足自給のくらしをしていたそうです。

気ままにくらしていたよと笑うHさんの表情はとても素敵でした。

・農閑期について

 Hさん自身も、ご主人といっしょに農業をやっていたそうですが、農閑期になると、土木の出稼ぎに行っていたそうです。

女性が土木の仕事をするというのは本当に大変なことだと思ったので驚きましたが、田舎だから、若い女性でも土木をやりに出てお金を稼ぐんだよとHさんは教えてくださいました。

石を突いたり、コンクリートも扱ったりしたそうです。

現場までは送り迎えもあるし、自分で行けるところは自分で行っていたとのこと。パワフルでかっこいいなと思いました。

御年九十歳というHさんですが、「身体はおかげさまでまだ元気です」とにこにこされているお姿に、わたしまで元気をいただきました。

これまでよく働かれてきて、いまは、長老大学のデイサービスで、お友達とゆっくりおしゃべりをする時間がいちばん楽しいとのことです。

Hさん、素敵なお話を聴かせていただき、本当にありがとうございました!

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