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「嵐が好きだったあの頃」なんて私にはない。

タイトルにびっくりした方もいらっしゃるかもしれない。そんな人本当にいるの?って。

うん。ここにいる。強がりでもなんでもなく、私はアイドルグループ「嵐」がどうしても好きになれなかった。
(「好きになれない」のであって、「嫌い」ではないです。念のため)


私ら世代で嵐がはやり始めたのって、小学校高学年の頃だったと思う。
「花男」とか、「嵐の宿題くん」とかがきっかけかな。おそらく。
私は習い事が忙しすぎて、ゴールデンの番組なんて見る余裕なかった。
同級生との話についていけないこともあったけど、録画して見たいとまでは思ってなかったんだと思う。

中学に上がるタイミングで引っ越したけど、そこでは嵐好きが圧倒的に多かった。
宿泊学習のバスレクで、「嵐を流したい」といった子がいた。
それが初めて嵐の曲を聞いた瞬間。

全体的になんかザラザラしてるなぁ、という印象が強かった。
5人全員でユニゾン?で歌ってたので、いい声だなぁとかもなく、歌詞もよくわかんなくて(バスの中だから聞き取りづらかったのはある)。
好きな子たちは盛り上がってたけど、他の人はなんとなくしらけてしまって、寝てもいい?という人が私含めちらほら出てきた。
「バスレクの時間は寝ちゃダメ」という決まり?だったので、嵐タイムは速攻で終了した。

その後私はすぐに転校し、中2くらいになった頃。
急に妹が嵐にはまりだした。櫻井翔くんカッコイイ♡と言い出し、CDを買い、家でも嵐を流しだした。
正直櫻井翔くんのどこがかっこいいのか全然わからなくて(今もわからない、というか5人全員見た目のかっこよさがわからない)、皆が見てるから~的なノリで嵐を見始めた妹をどこかでバカにしていた。


だけどそんな私も、だんだん感じることがあった。
「世間とずれてるの私じゃね?」と。
今にして思えば、あの頃の嵐ブームはすごかった。ドラマの主演は嵐、オリコン1位も嵐、人気バラエティー番組も嵐。とにかく嵐。どこでも嵐。
どうやらものすごく人気があったそうなのだけど、私はどうしても納得できなかった。

どうしてそんなに歌がうまいわけでもないのに、オリコン1位なんだろうか(大野くんは例外として)。
どうして「人気アーティストランキング」に名前があるんだろうか。しかも1位なんだろうか。
私が好きないきものがかりは、当時上記ランキングでずっと2位だった。それもあって、「なんで歌が上手で曲も自前で老若男女に愛されるバンドが、歌はイマイチで曲も他人に作ってもらってる人たちより下なんだろう、出番が短いんだろう」ってずっと思ってた。

更に、どうしてドラマの主演が嵐ばっかりなんだろうか。
「また嵐かよ…」っていうパターンが大半だったけど、「謎解きはディナーのあとで」は本当に納得がいかなかった。
もともと原作が好きだったんだけど、櫻井翔くんは絶対にないと思った。あの人は絶対に影山じゃない。イメージが全然違う。
もちろん、ドラマは見なかった。


私のいた学校には嵐好きな人もいたけど、嫌いな人も一部いた。
その人たちといるときが一番安心できる時間だった。
そのとき学校ではボーカロイドがはやってて、皆で初音ミクを聞く毎日。
教えてもらった曲を家のパソコンで流してると、「その機械の音なんか変。気持ち悪い。」と妹に言われた。
それを言うならあなたが聴いている曲だってなんかザラザラしてて歌詞もイミフで変だわ、と思ったけど、口には出さなかった。
(ちなみにこの頃妹は嵐→キスマイ→ヘイセイジャンプ(スペルうろ覚えなのでカタカナですみません💦)→Sexy Zoneとだんだん年下にシフトしていた。私にはどれも同じように聞こえた)


高校の時にまた転校したら、そこではLDH派とももクロ派と洋楽派にざっくり分かれてた。LDHと洋楽が好き、という人もいた。
嵐好きフェーズはすっかり過ぎ去っていた。
ももクロの人気にはびっくりしたけど、みんなそれぞれに好きな音楽があって、趣味が合う人は一緒にライブ行ったり握手会行ったり、みたいな感じ。
というかそれ以前に受験を控えてたので、私は音楽の趣味とか人間関係はもはやどうでもよく、勉強の方が大事だった。


そんなこんなで、「嵐の最新シングルなんだっけ?」って言われても誰も答えられないであろうという風になったくらいで、突然の活動休止宣言。
さすがに、ちょっとびっくりした。
ずっとあるものが急になくなるという感覚。原宿駅の取り壊しを聞いたときに近いかな。
(世間的には東京タワーの取り壊しレベルでショックなのかもだけど)


中高時代を振り返ると「嵐が好きだった時代って誰しもが通る道だよね~」と言われることもあるけど、その言葉が一番つらい。
「私はなかったです!!!」って言いたい。けど言えない。
皆ノスタルジーにあふれた目で当時を懐かしんでいるんだもん。ぶち壊せない。
「あの頃は楽しかったね~」って言う雰囲気だけど、むしろ私はあの頃つらかったよ。
家では完全に村八分だったし(なんだかんだで母は面食い)。


でも、私だけじゃないと思ってる。
私みたいに話に入れないと思いながらも「好きじゃないのは好きじゃない」を貫いてた人、そんなに興味はなくても周りについていくために一生懸命追っていた人。
あのとき「嵐好き!」って言ってた人たちも、色々な思いを抱えてたんだと思う。
もちろん、それを横で見ていた人たちも。


…そんなことを書いていたら、タイムリーに「キメハラ」という言葉を見かけた。



3つ目の「『…つまらない、興味ない』と言えない雰囲気」は、私の嵐に対する心情と似ている気がする。
ちなみに私、鬼滅も見ていません。アニメも見ていないので…。

そんな私のモヤモヤを取っ払ってくれたのは、Seventeenの水沢アリーさんのインタビューだった。
もう記事が残ってないのでうろ覚えだけど、「みんなと好きなものが違っても、わたしはわたし。自分が好きなものはフィーチャーしていたい」みたいなことが書かれていた気がする。
今、中高生の間では何がはやってるんだろう。
でも、「流行」って、それを好きな人が多いってだけで、好きじゃない人、興味ない人ももちろんいる。「少数派」と言われるのかもしれない。

でも、いつの時代でも、そんな「少数派」の人たちが、純粋に好きなものを好きな気持ちを大切にできるように。
好きなものは好きといえる気持ちを抱きしめられるように。


「あなたが好き」なものが、「皆が好き」であるとは限らない。
「皆が好き」なものが、「あなたが好き」であるとも限らない。
それって悪いことじゃない。
あなたはあなたの感性を信じて、好きなものに夢中になって。

そう思って、この記事を書きました。


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