偏愛食品#43:タルトゥファータに出会った夜と開けた夜(230/1000)
ひょんなことから出会ったタルトゥファータ。
いや、イタリアの洞窟に住む仙人の名前ではなく、食べ物ですよ。
新年会の会場へ急ぐ我々の足を止めるナゾの光。
その光の先にあるものは……食材店だったのだ!
怪光線にすべてを吸い取られてしまうかもしれない。
危うし、財布!(正確には「財布の中身のお金!」)
という顛末は既報のとおりです。
そのイタリア食品食材店の棚はこんな感じでしたよ。
どうです、この夢のような品揃え。
おもろい形のショートパスタがあり、オリーブオイルやチーズがあり、香辛料やワインもあり、どれもこれも食べてみたくなるものばかり。
目も気持ちもキョロキョロしてしまうよ。
「わートリュフだトリュフだ~」
なんてあんまりうるさいから、口を閉ざさせようとしたのかもしれません。
一度では覚えられないタルトゥファータを、お店の人が試食させてくれたのです。
「んま~い!」
ほんの一口で口の中は天国や~。
さっそく購入したのはモチのロンです。
「タルトゥファータ」とは「トリュフ和え」と言う意味。
黒トリュフに、マッシュルーム、黒オリーブ、アンチョビを加えて仕上げたペー ストで、
「ゆで卵といっしょに食べてもいいですよう」
と店員さんのサジェスチョン。
ほうほう、その手がありましたか。
家に持ち帰って、小さな瓶をしげしげと眺めてみます。
ふむふむ、イタリア中部、マルケ州のトリュフ専門メーカーなんだ。
そこはかとない高級感。
「きのこ加工食品」って言われると、なめ茸のような気分にもなるけれど、香りはしっかりトリュフだもんね。
さすがにこれだけを食べるのはためらわれるけど、なにかと共に食べてみたい。
そうして、
「お父さん、すてきなものを買ってきたね」と家族にちやほやされたい。
食欲とちやほや欲とを共に満たすためには?
考えた結果、編み出したのが「ポテトサラダタルトゥファータ添え」です。
いや、その日ポテトサラダを作ったんですよ(奥さんが)。
ジャガイモ本来の味が活かされた、滋味豊かで味わい深いポテサラにはきっと合うはず。ゆで卵のない今、ベストにマッチするのはポテサラしかない!
ほれほれ、どうだどうだ、と組み合わせてみました。
うう!
うううう!
うううううまい!
うまいよぉ~~~。
ポテトサラダのさっぱりした味付けに、トリュフだけが持つ独特のトリュフ味(当たり前か)がぴったりマッチして、ポテサラの極北といっても過言ではなくもないと思います。(ちょっと弱気)
店のメニューには「アドリア海のたそがれ」って掲示しよう。ゆで卵なら「ミネソタの夜明け」かな。(いずれにしても店はないけど)
ネーミングはともかく、アドリア海のたそがれがワインに合うことといったらないね。
「おいしいよねえ」と圧強めに家族に同意を求めます。いやほんとにおいしいから、言わずもがななんだけどさ。
「そうね」(妻)
「私はあんまりトリュフの味、好きじゃないんだよね」(娘)
なんですと~!
人は挫折を越えて成長するもの。
次に私に会うときは刮目して見よ。魂の成長ぶりがうかがわれることでしょう。
誓いの言葉はタルトゥファータ。
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