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続きのない話#1:1982年と2019年の村上春樹(2/1000)

37年ぶりに雑誌で村上春樹の文章を読んだ。
「文學界」8月号に「ウィズ・ザ・ビートルズ」「ヤクルト・スワローズ詩集」と2編の短編が掲載されていて、買うでしょう、これは。どちらも60年代後半が語られていて、おやそういえば、と思い出して引っ張り出したのが「宝島」1982年9月号。
゛宝島サマー・プレゼント“と冠され掲載された「午後の最後の芝生」。これが人生初めての村上春樹だったのでした。

「風の歌を聴け」が文庫になったのが82年7月だから、知らないのもむべなるかな。本はけっこう読んでいたけど、まあだからこそ、お金のない学生は単行本コーナーには行かなかった(行けなかった)のですよ。
宝島は当時ポップカルチャーの一つのアイコンであり、RCサクセションが大好きだった21歳の青年は毎号欠かさず買っていました(だって定価250円ですよ!)。そして出会った村上春樹。それまでに読んでいた小説と違い、作品の中にさわやかな風が吹いていて気分のいい物語だなあ、ととても印象的でした。こちらも舞台となっているのは1968年ころ。そしてビートルズの音楽が通奏低音として薄く聞こえてくるところも同じ。40年ほど隔たっていても作家の心の中にあの時代が響き続いていることを知り、興味深いな。

大きく違うのは文字の大きさと組み方。宝島は2段組ですよ、昔は目がよかったんだなあ(嘆息)。

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