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偏愛食品#37:犬も(人も)歩けば高級食パンに当たる(193/1000)

「犬棒」は本来うろちょろするなという戒めだったそうですが、
今は偶然いいことに出会うこと、と解釈される場合が多いみたい。

というか、そう思ってました。
街にはすてきなことが転がっている、みたいな意味合い。

先日、とある用事を果たそうと、これまであまり降りたことのない駅に行きました。私じゃなくてもいいんだけど、私でもできるような用件。

その2~3日前、家族と高級食パンの話になり
「乃が美っておいしいらしいけど、ずいぶん並ぶらしいよね~」と伝聞の上に伝聞を重ねた、まああてもない話をしていたわけです。
「でも、食べてみたいね~」と欲望だけはあからさまにして。
そんなことがアタマの片隅に残っていて、行き先を検索すると、販売店があるではないですか!
でも「前日まで要予約」みたいな注意書きがあるからムリだろうなあ、だってずいぶん並ぶらしいし。
とはいえうららかな冬の午後。目的地までほんのちょっと遠回りするだけだから、とりあえず店のロケハンだけでもしておこうか、と向かってみました。
すると店先で店員さんがなにか呼びかけています。
どうやら、「今なら食パンが」と言っている模様。

おや、これは、もしかして?
淡い期待を抱きつつ聞いてみました。
「食パン、買えるんですか?」
「ええ、ええ、もちろん!」
おお! なんという僥倖!!
(先日の今日でパン持って帰った日には、家中でちやほやされること間違いなしだな、むふ)などと思ってにやにやしながら入店。

ホントだ。
まだ棚には10本くらい在庫があります。
「これ、どのくらい日持ちするんですか?」
「常温で4日くらいですね、そのあとは冷凍してください」
「お、マーマレードなんかもあるんですね」
「はい、この食パンに合うように開発(開発!)したものですよ~」
「と、とりあえず、食パンを2本! と、マーマレードもください!」

「お客さん、落ち着いて落ち着いて。ほら、口からヨダレが垂れてますよ!」
とは言われなかったものの、思わぬ成り行きに欣喜雀躍な私でありました。

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店頭のお姉さんの呼び声のおかげで、乃が美のパンが(並ばずに!)買えた喜びの構図。店と食パンと私(の手)。

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うれしくてバスの座席に並べてみたところ。手前の小さい袋にマーマレードがちょこんと納まっております。

その日は早めに食パンを手渡し、家中でやんややんやの喝采が鳴り響いたことでありました。
もちろんさっそく味見しましたよ。
耳まで柔らかくおいしいパンを作りたい、という優しい発想からスタートしたと聞く食パンは、たしかにふわふわ。耳もやわやわ。

余談ですが、うちの豆千代(ポメラニアン)はパンが大好き。
トーストをするとその香りにつられてテーブルまでやってきて、「ちょうだいちょうだい」とねだります。
でも、耳はいやがって「ぷいっ」と出しちゃうんですよ。贅沢だな。
でも乃が美の食パンは、ご想像どおり、「ん? これでも耳なんですか? おいしいねわんわん」とか言ってる風情でぱくぱく食べてました。

とまあそんなことがあってからしばらくたちました。
パン好きな豆千代と散歩していると、「君は食パンなんて食べない」の店頭ががらがらじゃないですか。

こんなふざけた名前だけど、れっきとした高級食パンの店なんですよ。
朝9:30に予約にきて、指定された時刻に買いに来るというシステムは知っていましたが、それはめんどくさいでしょう?
「いつかあのドーナツとかあのアイスクリーム(たとえが古い)のように人の波も消えるだろうから、そのころに食べてみよう」と思うくらいの興味はあったわけです。でもいつも店頭には、パンを引き渡されるために並ぶ列があり、未だ人気衰えず、と思っていました。

そ、それが店頭におばさんが一人だけ。
豆千代を抱いて近づいていったら
「あら! ホンモノなの? あ、動いた。かわいいわねえ~!」と話しかけられました(というか豆千代に言ったとおぼしい)。
「今なら買えるわよ、こんなこと滅多にないけど、食パンあるから」
と、店の人に聞くまでもなく状況説明を受けました。

そりゃ買いますよね。
何年後かに実現するはずだった夢が、今、この場で叶えられるというときに躊躇するなんてあり得ない。

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おいしいパンを持たなくてはならないから、君は歩きなさい。本来的に散歩というものは自らの四肢を駆使して移動するものであるよ。と豆千代に告げ、そっと降ろします。
温かな体温を感じていた手には、持ち重りのする紙袋が握られています。
家に帰ったらさっそく食べようね、わんわん。

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袋の中には2つのパンが入っていました。
言わずと知れた高級食パンとそのパンフレットと。
なんとなく東村アキコチックなイラストを開けると、見開きはこんな。

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そうか、これは食パンではなく、shockパンだったのか。。。

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shockパン近影

まあそれはともかく、気を取り直して一口味見を。
もちろん豆千代ともわけあって。
おお、パンはおいしい。乃が美よりちょっと甘味が豊かでしっとりしているかな。耳も、耳もやらかいよう。
敢えて比べれば淡麗な乃が美のほうが好きだけど、こちらも食べ劣りしないおいしさ。
ああ、散歩してよかった。

と、延々2000字も書いてなにを言いたいのかというと、街に出よう! そこには出逢いが待っている! ということと、おいしいパンの情報はいついかなる時に役に立つのかわからないから普段から収拾し、Google keepにでも保存しておけ、ということです。
なーんて書いてからおいしい食パンを調べてみたら、以前表参道をぷらぷらしているときになんか香ばしい香りがすると思って近づいていったらセントル ザ・ベーカリーで、その時もほぼ並んでいなかったのですぐに食パン買えたことがあったと思い出しました。
銀座の店はいつもあんなに大行列なのに。

と、今回は木南晴夏の「パン旅」のようにお送りしてみました。










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