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うろ覚えだけどすごく良かった本を紹介します

読書メーターの記録を見返すと、わたしはどうやら
・気に入った作家の本は出ているだけ読み尽くす
・気に入ったシーズの本は何度でも読み返す
という傾向にあるようです。
読み返しに向くのは、それなりにエンタメ性が高い物語や小説で、
「スレイヤーズ」「図書館戦争」「守り人」「十二国記」「学生アリス」
のシリーズは、嫌というほど読み返しています。

一方で、どれだけ好きでもなかなか読み返せない本もあります。
J.R.R.トールキンの『指輪物語』などは、その代表格です。

それとはまた別に、「1回しか読んでいないし内容もよく覚えていない」ものがあります。
ところがおもしろいことに、そういった本の中には、
「この本から受けた印象が強く心に残っている」
「この本は読んでいてすごく好きだった」
「この本のあの1節は、よく覚えている」
ただし、内容は覚えてないけど。
というものが結構あります。

内容を覚えていないと、なかなか人におすすめする機会がありません。
が、今回は、

覚えてないけどよかったからぜひ読んで欲しい本

をまとめて十冊ご紹介します。
とにかくよかったことだけは覚えているので、少しでも興味がわいたらぜひ読んでください。


1.本へのとびら――岩波少年文庫を語る (岩波新書)/宮崎駿

ジブリの映画監督宮崎駿さんが、岩波少年文庫から50冊を紹介する本。
宮崎さんの視点で語られると、自分の知っていた物語でも新しい魅力を感じ、知らない物語は読みたくなる。
中には、「これは読んだことがないけれど、絶対おもしろいと思う」みたいな文章があって、思わず笑ってしまった。
読まなくても紹介していいんだ。


2.ケルトの白馬(ほぷる出版)/ ローズマリー サトクリフ

サトクリフといえば、ローマ帝国時代のブリタニア(イギリス)を舞台にした、『第九軍団のワシ』シリーズで有名。
表紙になっている「ケルトの白馬」は、イギリスの南西部の丘にある地上絵のこと。
この本もたしかケルト人とローマ人の戦争の話なのだが、読後の感想は
「『指輪物語』でエオウィンが戦についていかず、王宮を守るために残ったらこうなる」
だった。
前線で戦うもの、後方に残って部族を守るもの。
どちらにも物語があるが、残ったものには華々しい英雄譚は紡がれないのだというもの悲しさがある。

3.ペナック先生の愉快な読書法-読者の権利10ヶ条(藤原書店)/ダニエル・ペナック

なるほどフランスだなぁ、と思った気がする。
たぶん、何かちょっとひねくれたような小粋な表現が多かったのではなかろうか(うろ覚え)。
読者の権利の中で覚えているのは、
・本を最後まで読まなくていい権利

・感想を言葉にしなくていい権利
とくに最後まで読まなくていい、というのは、基本的に手に取った本は最後まで読み通していた自分には、新鮮だった。
そっか、途中で別の本に手を出してもいいんだ。
おかげで、あまり好みではない本を手に取ってしまった時の罪悪感が減ったように思う。


4.おそろし山(河出書房)/アイナール・トゥルコウスキィ

モノトーンの絵本で、話の内容はさっぱり覚えていない。
エドワード・ゴーリーほどではないけれど、あれに似たうすら寒さというか、全体に漂う怖さというか、そういうものがあったように思う。
「大人向けの絵本」という表現は、個人的にはあまり好きではないのだけれど、あれはそういった類のものなのだろうな。


5.木を見る西洋人 森を見る東洋人 思考の違いはいかにして生まれるか (ダイヤモンド社)/リチャード・E・ニスベット 

例えば魚の入った水槽の映像を見せてそれを描写させた時に、西洋人と東洋人では説明の仕方に違いがあるらしい。
物事のグループ分けの仕方などにも違いが生じるらしくて、ひまわりの絵の例えはおもしろかった。
そしてわたしの分類の仕方は、ばっちり東洋人型だった。


6.フェルマーの最終定理(新潮文庫)/サイモン・シン

何百年にもわたって数多の数学者が証明に挑戦し、敗れてきた「フェルマーの最終定理」をついに証明した数学者の話。
この最終定理、見るとあまりにもシンプルで、「え、こんなのが証明されてないの?」と思わず言ってしまうほどなのだが、0の証明のように、一見シンプルなものほどその存在を明かにするのは難しいのかもしれない。
数学がまったく分からなくても楽しめるのでぜひ。


7.時の地図 上・下 (ハヤカワ文庫)/フェリクス J.パルマ

SFはあまり読まないし、しかもタイムマシンである。
……と思って読み始めたのだが、むしろミステリ寄りだった作品。
物語が展開されていく上巻から、綿密なだまし絵のように物事が組み合わさっていく下巻、といった印象だったのを、よく覚えている。
最後まで唸りながら読んでしまった。


8.世界の言語入門 (講談社現代新書)/黒田龍之助

この人の書く言語の本はどれもおもしろい。
この本は著者の専門であるロシア語とその周辺言語や、もちろん英語フランス語など日本でもメジャーな言語について、その仕組みや特徴などを自身の体験をもとに書いている。
ほぼ言語エッセーである。
知らない外国語を勉強したくてワクワクしてしまう本。

9.12人の蒐集家/ティーショップ (東京創元社)/ゾラン・ジヴコヴィッチ

ゆるやかに繋がった短編集で、何に惹かれて手に取ったのか覚えていない。
タイトルだろうか、表紙だろうか。
ものすごくいいものを読んだ、という記憶がある。
古ぼけた甘ったるい香りの、薄紫の煙にまかれているような読後感。
これは今度もう一度読んでみようと思う。


10.モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語(方丈社)/内田洋子

イタリアはヴェネティアにある古い書店から始まるドキュメンタリーなのだが、軽く数世紀分の歴史を読むことになった。
モンテレッジォという山の上にある村が、いかにして「書籍の行商」を生業としてイタリア全土に書店を広めていったのか、という書店史でもある。
「本を売る」という行為が、これほど過酷で国を変えうるものだ、というのがとても印象深い。


いかがだったでしょうか。
覚えていなさすぎて、ふんわりとした印象しかお伝えできないのがもどかしいのですが、とにかくいい本ばかりなので読んでください。
ぜひ。

わたしもいずれもう一度、読んでみようと思います。


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