才能がなければ上達できないのか?
才能がなければ上達できないのか?
このような疑問を持っている人が多いと思います。
突然ですが一つ想像してみてください。
あなたが悪の秘密結社に誘拐されたとします。
あなたは監禁されてしまいます。
そこにはベッドがあり、机があり、シャワーがあり、食事は1日3回キチッと差し入れてくれます。
生きる分には何一つ不自由はありませんが、テレビもネットもラジオもありません。
机の上にはスケッチブックと鉛筆、そして石膏像があります。
そこで秘密結社から指令を受けます。
毎日その石膏像を描け。上手く描けるようになったら出してやると。
他にやることがないので、あなたは絵を描き始めます。
死ぬほど下手くそです。
やることがないので、また描きます。
さっきよりは少し慣れたけど、まだまだ画力はどうしようもないです。
頑張って3枚ほど描きましたが、上手くならないので描くのをやめて寝てしまいました。
翌日起きても何もやる気が起きません。
また寝ることにしました。
そうするといつも定刻に出される食事が来なくなりました。
腹が減ってしょうがありません。
大声で訴えても何の反応もありません。
仕方ないのでまた絵を描くことにしました。
すると食事が差し入れられました。
どうやらここでは描き続けないと食事がもらえないようです。
死なないためにはとにかく描かなければいけません。
1週間ほど経つと、少し描くのにも慣れてきました。
1日6枚ほど書いたので、40枚を超えています。
それでも手は慣れてきたけど、まだまだ上手いとは言えません。
それからさらに描き続け、1ヶ月が経ちました。
枚数にすると170枚くらい。
170枚も同じ石膏像を描き続けたのです。
途中で、何故上手く描けないんだろうとずっと観察することも増えました。
像を触ったりもしました。
寝るときも考えます。
だんだんとわかることも増え、手も慣れてコントロールができるようになり、目を閉じてもこの像の立体が思い浮かぶようになりました。
何せかれこれ3ヶ月もこれしかやっていないのですから。
ある朝起きると、石膏像が違う象に変わっていました。
今度はトルソーです。
しかしやることは同じです。
観察を重ね、触って、何度も何度も描いてだんだんとそれも描けるようになりました。
そしてそんな生活が3ヶ月、半年と続きました。
まだそこから出してはくれません。
絵を描いた枚数は1000枚を超えています。
さらに月日は流れ、あなたはなんと1年間毎日絵を描き続けたのです。
その時点までに身につけたあなたの絵の技術はどれくらいでしょうか?
ここまでの状況を想像して、ほぼみんなとてつもなく上達していると普通に思えるのではないかと思います。
(上達してると思えないという人は相当ネガティブだと思うので、まずはその辺から改善した方がいいと思います。笑)
その通りです。
練習を積み重ねれば技術は確実に上達するからです。
よほど脳の機能に問題がないのであれば、これだけのことをやり遂げれば必ずかなりのレベルのことができるようになることは断言できます。
だけども積み重ねる過程で多くの人が挫折してしまうのですね。
上の例の様に練習できることなんてまずありえないでしょうから。
自分には才能がないから努力しない。
ゲームをする方が面白いから努力しない。
頑張っても他の人に敵わないから努力しない。
どうせこの世界で仕事できる人なんて一握りなんだから努力しても無駄。
人は努力をしないために、行動を起こさないために実に様々な言い訳を作ります。
そうすると、その言い訳に負けない努力まで必要になってしまいます。
もう大変です。笑
そして歯を食いしばって、頑張って頑張って、色々な事を我慢して出来上がった作品はに果たして魅力が出るのでしょうか?
世の中の才能があると言われている人たち、その人たちは我慢に我慢を重ねて努力してきたのでしょうか?
私の意見としては、そうは思いません。
やせ我慢して努力を重ねれば確実に技術は上達します。
それはあくまでも技術です。
しかしアートにはその上にもっと大事なものがあるのです。
それは作品の魅力というものです。
どんなに上手くても、魅力がなければ本当にいい作品とはならないし、決して人気も出ないのです。
そこに本当の才能というものが関わってきます。
才能があると思われている人たち
ある程度の技術を持っている事は絶対条件です。
技術は努力で確実に賄えるものです。
しかし魅力は、そこに才能が加わらないと出てこないのです。
それはどういうことかを次回お話しします。
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