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企業のSNSアカウントは、誰に向かって発信すればいいの?

今日は、企業視点でSNSの自社アカウント運用について。

「僕らはSNSでモノを買う」という書籍が出るほど、購買の主戦場がソーシャルメディアに移行し始めてきています。

僕自身、イチSNSユーザーとしての体験談を語らせていただくと、

SNSを通じて、

・新しい商品を知ることもある
・商品を買うこと決めることもある
・相手(企業・サービス)をさらに好きになる

などなど、いろいろなところで影響を受けています。

図7

よく使われる購買ファネルに当てはめると、こんな感じでしょうか。
(※あまりこのファネル好きじゃないのですが、便宜上これを使って説明してきます。)

逆に、情報を発信する側の企業としては、誰にどうアプローチしていいのか、よく分からなくなるんじゃないでしょうか。ハッキリ言って、的が多すぎです。

実際のところ、「企業アカを開設したはいいけど、どう運用していいのか分からない。」「全然フォロワーも増えない」という声もよく聞きます。


今日は、企業がSNSアカウントをマーケティングに活用するために、「誰に向かって発信すべきなのか?」について考えてみます。SNSマーケティングに一様の答えがあるわけではないんですが、それなりに確度の高い運用方針はすでに存在しています。

ちょっとSNSでアンケートを取ってみた

twitter上で、「SNSはマーケファネル部分のどこに影響しているのか?」、アンケートを取ってみました。かなり意外な結果になりました。それがこちらです。

まさにファネルのような形になっていて、認知が多勢、検討・CRM領域は少数派という結果になりました。

ただ、質問の聞き方を間違ってしまい、「企業が発信する情報」「ユーザーが発信する情報」を混合した状態で、回答していただいています。なので、人によってはUGCを、人によっては企業コンテンツについて、考えて回答した気がします。

なので、あまりあてにならないアンケート結果かもしれません.....(笑)

購買ファネル別で、SNS発信の相性を考えてみる

「誰に向かって、何を発信したらいいのか?」について、購買ファネル別に分けて考えてみましょう。

認知であれば、まだ自社商品を知らない人に向かって。
検討であれば、すでに興味を持っている人に買ってもらうよう促す。

のようなイメージですね。上流のファネルから見ていきます。

【認知】ぶっちゃけ一番コスパが悪い

図2

先ほどのアンケートでは、「SNSマーケは認知に効く」という結果が出ていました。

結論からいうと、認知目的でSNSを運用するのは悪手です。(※例外もあるので、また今後紹介します。)

基本的にSNSは、フォローしている情報が得られるメディア。逆にいうと、自分がフォローしていない情報は、目の前にやってきません。

つまり、SNS発信は「はじめまして」ではなく、「どうも、また会いましたね」の世界なんです。

とくに、フォロワーが少ない状態だと、発信がオモテに出る機会も減ります。ただでさえリーチが少ないわけで、あえてSNSで認知を求める必要はありません。

単に認知を追い求めるなら、社員の人件費より、広告を出したほうが良い結果を安く生み出せると思います。

【興味】まあまあ効果があるかも

図3

次に、認知→検討購入までのブリッジ役を果たす、興味フェーズ。

このターゲット層を狙うことは、「良くもなければ悪くもない」と思っています。

というのも、何かしら関心を持ってくれた方が、自社アカウントをフォローしてくれているわけで、その人たちに「ウチってこうなんですよ!」と発信することは、普通に良さそうです。

ただ、もともとフォロワーがいないのなら、そもそもどうやって興味層を獲得するのか?は、大きな課題になりそうです。

【比較・検討】ここはUGCに任せたほうが吉

図4

次に、比較・検討フェーズ。

商品を買うか決めるとき、自社発信の情報コンテンツはあてにされません。僕なら、リアルユーザーの意見、第三者視点の発信を信じます。いわゆるUGCですね。

自社情報が頼りにされるのは、機能的な情報くらいです。(iPad miniとiPadの重さ、価格の違いはどうだとか。)

これは僕の持論なんですが、SNS時代に興味を持ってくれた方に、さらに「わたしってこんなに良いんですよ!」ってアピールするのは、非モテっぽく、相手が商品から離れるキッカケにすらなると思っています。

情報量が限られていた昔ならそれでも良いと思うんですが、SNS時代にそれは悪手になると考えます。

【ファン化】企業の生の声にこそニーズがある

図5

最後に、CRM(カスタマーリレーションシップマネージメント)領域。

・一度商品を買ってくれたお客さんに、2度、3度と商品を手に取ってもらう。
・自社のファンになってもらい、友人にもオススメしてくれるようになる。

要は、「ファンを増やす」ですね。

結論から言うと、企業アカのSNS発信は、ここに焦点を置くべきだと思っています。

企業アカウントの良さは「生の声」。このローコンテンツを一番求めているのは、今すでに商品を使ってくれているお客さんです。(次に興味層)。

実際に商品を使ってくれた方は、必ずしもブランドが大好きで買った人だけではありません。お試し買い、衝動買いで手に取った人もたくさんいます。まずはその方々に、定期的に商品を手に取ってもらえる、ファン化に向けたアプローチから。

たとえば、既に商品を買ってくれた人にもう一度商品を買ってもらうのと、街中で知らない人に声をかけて商品を買ってもらうのでは、どちらがハードルが高いでしょうか?

前者がファン化運用、後者が認知獲得運用の違いです。ちょっといやらしい話をすると、お金になる、ゴールに近い方からコミュニケーションをするのが商売の鉄則です。


さらにさらに、SNSは個人のフィールドです。自社商品を買ってくれている人たちがファンになってくれれば、自然とユーザー起点で商品のコンテンツがSNS上に広がっていきます。このUGCがあれば、自社アカウントではリーチできない人たちに情報が届いたり、比較・検討の材料にも使われることができます。

つまり、ターゲットをファンに絞り、コアな情報を発信していくことが、結果的に、そのほかのファネル層の人たちにも好影響を与えていくんですね

何度もこのnoteで書いていますが、SNSの主役はユーザーです。企業アカウントは黒子に徹したほうが、かえって良い結果が生まれるんだと思います。

クルマのテレビCMは誰のために流れているのか?

クルマのテレビCMは誰のために流れていると思いますか?

クルマのCM、じつは認知・興味層ではなく、既にクルマを買った人たちに向けて流れています。自分が買った車のCMをみて、「いやぁ、やっぱり、この車良いよなぁ」と思ってもらい、次の買い替えのときに、同じメーカーを選んでもらうようにしているのです。

企業アカウントのSNS運用も、これと同じ性質があるのではないでしょうか。

SNS運用のコンテンツを秋元康に学ぶ

AKB48プロデューサーの秋元さんは、企画を考えるとき「つねに最小公倍数を狙え」と口にしているそうです。

ヒットする企画の秘訣はというと、いつも僕が考えるのは最大公約数より「最小公倍数」を狙うということ。太陽光線が虫眼鏡を使って1点に集中させないと発火しないのと同じで、ターゲットはギュッと絞る。まさに当初のAKB48がそうで、250人収容の秋葉原の劇場でいくら人気があっても一般大衆には届かないわけです。しかし、その熱狂的なファンの〝火種〟があることで、ある時「選抜総選挙」のような仕掛けをすると、一気に大衆に認知される。つまり、「人気」と「認知」は違うもので、認知は結果だということです。昭和の時代と違い、今は国民的なスターが生まれにくいのですが、ある層で発火したものを延焼させることはできます。

(※こちら、秋元さんと森岡さんの対談から引用させていただきました。)

SNS上では、コアな情報があれば、ユーザーを起点にいくらでも広まっていきます。秋元さんがおっしゃっているように、まずは、「最小公倍数」を考えて、ターゲットはギュッと絞ること。

その相手こそが、すでに商品を手に取ってくれているファンではないでしょうか?

【余談】企業アカウントのSNS運用イメージ

図6

それでも、、それでも、新規顧客獲得にSNSマーケティングを活用したいという方は、上図のような成長曲線をイメージされてはいかがでしょうか?

ぶっちゃけ、ゼロからSNSアカを運用する際に、はじめから認知目的に使うのはやはり難しい。もともとフォロワーがいない状態で、中身が薄い認知目的の情報を発信しても、箸にも棒にもかかりません。

とにかくまずは、SNSを起点にファンに火をつけることを意識しましょう。図にもある通り、SNS運用は突然大きな数字が出るモノではなく、むしろ運用初期は長く平坦な道が続きます。

SNS担当者や、アカウント運用をお願いしているマーケ部署の上司は、この点を理解したうえで、中長期的にアカウント運用のゴールを設定されてはいかがでしょうか。 一番マズいのが、「売りに繋がらなかった」と短期で結果を求めたり、途中で投げ出すことなんだと思います。

時代の流れもあり、これからますますSNSが購買の主戦場になってきます。今のうちから、自社アカウントを育てておくことは、間違いなく将来に向けた投資になるわけで、SNSの自社アカウントに関しては、短期で結果を追い求める必要もないはず。気長に見ていってはどうでしょうか。

ということで、本日はここまで。

ここまで長い文章をお読みいただき、ありがとうございました。何かしらの参考になれば幸いです。

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SNSマーケティングについて、ほかにもいくつか記事を書いているので、こちらもお読みください。


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