嫌いが少なくなった者の特権~BARNEYS CAFE BY MI CAFETO~
「嫌いなものをちゃんと食べなさい!」
そんな事を言われて育った人は多いだろう。
昨日の投稿と、同じ始まり。
だって、あんなことを書くつもりだったのでは無かったのだもの。
昔は好き嫌いが多くて、今はこんなにも好きになって、「食の世界」に楽しみが増えた。
それは私の中の確かな真実なのだけれど、昨日、私が元々書きたかったのはこうだ。
何でも食べられると、何が出てくるか分からない「シェフの気まぐれ」が注文できて良いよね。
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BARNEYS CAFE BY MI CAFETO
確か前回の緊急事態宣言直前に行ったお店で、noteにも書いた記憶があるのだけれど。
パフェが、凄いに拍車をかけて凄かった。
ちょっと尋常ではない。
パフェ以外のメニューにも心惹かれていて、また行こうと決めていた。
で、行ってみると...
フルーツの方のメニュー、定期的に変わるんね……
ト...トウモロコシとか使ってる…ナニコレめちゃ食べたい。
他の料理メニューも...
写真は載っていないので想像するしかないのだけれど、メニュー名に「黒騎士」やら「王女」やら使って。
おい、こちとら正真正銘の中二病をこじらせた大人だぞ。
...いつか、絶対注文しよ。
でもその日は、他に心惹かれるものがあったのだ。
パティシエSEKIの今日の気分
たまに、あるんだよね~。
こういう、こういうさあ...
とても良いよね。
事実はどうだか分からないけれど5年くらい食品会社の原価を扱ってる立場から言わせてもらうと、こういうメニューは、お客さんにとってもお店にとっても、win-winな場合が多いと思う。
例えば、その時安価で入手しやすい、他のメニューとの兼ね合いで沢山仕入れた方が良い食材なんかを使うことができる。
そうして材料費を抑えられるとしても、それは「安くさいもの」ということでは無いから、ちゃんと「良い完成品」が出来上がる。
お店側の自由裁量が大きく、シェフが「作る」ことをしっかりと好きな人なのであれば、多分それは少し楽しい。
お客さんとしても、そうして出来上がったシェフの個性がたくさん詰まった作品を食べられるのは大満足なことだ。
ただ、お客さん側に「嫌いな食べ物」が多い場合には、このメニューは非常にリスクが高い。
だからこそ、「嫌いが少ない、どれも好き!」という人だけが享受できる奇跡のような特権なのだ。
!?!?
想像よりも、500歩くらい先をいってるのが出てきた。
何だコレ、えっ、凄っっっ!
新じゃがを使ったアイス。
ほほう...ん?え?あれ、聞き間違いかな。
確かに最初の説明でそう言われた気がしてアイスを慎重に味わう。
それはあまりにミルキーで、あまりにもトロンとまろやかに溶けてゆく。
ミルクアイスにしても相当にハイレベルなヤツだった。
これに...ジャガイモが使われている???
あ、そうか。
この上にかかってる粉雪みたいなやつか。
チーズっぽさがあるけれど、フワリと口に含むと、柔らかく一つにまとまって溶けていく感じが少しマッシュポテトに近い気もする。
お会計の時に「どうでしたか?」と聞いてくれたので、その辺りのことをもう一度確認したのだけれど。
やっぱりアイスがジャガイモで、上に降りかかってる白いヤツはチーズだった。
凄い、私は一体、どんな魔法を食べたのだろう。
その下のは、ジャスミンのジュレ。
大きなカットで弾力性もあり、それは良く、香る香る。
華やかで清涼感があって気品あふれる香りが全身に染み渡る感じがして、とても優雅な気持ちになる。
この二重に、宙に浮いた感じのお皿がまた凄過ぎて。
「絶句」という言葉で脳内がうるさい。
凄い。
香りのお花畑、ジャスミンのジュレの下には、2つの大きなラビオリが潜む。
・・・!?
ラビオリ、ご存知だろうか。
パスタの一種である。
中に色々詰め込んだ、パスタだ。
あれ?私何食べてるんだっけ?
確か、スイーツメニューの方から注文した、よな?
あれ???
ラビオリの生地は、真っ赤。
ビーツを使っているらしい。
中に入っているのは、多分ジャガイモの滑らかなペースト。
あぁ、こういう構成、上手すぎる。
美味過ぎる。
ラビオリの下には、ビーツの色が滴り落ちたのだろうか、というような。
ジャスミンの黄色いジュレが、真っ赤なジュレに変わる。
この「本日のアシェットデセール」には、「シェフの遊び心がかなり入っていて...」とのことだったけれど、本当だねーーー!
ちょっとこんな異次元なやつ、普通には出会えない。
1万円超のフレンチレストランとかの前菜なんかで、こういうのが提供されてるのは見たことある。
でも普通に、ちょっとイイ感じのカフェ、では出会えない。
何でも美味しく食べられる人間になっていて、良かった…!
これも、好き嫌いを減らすことのひとつのメリット。
大人の「嫌いなものも食べなさい」は、決して単なる嫌がらせではないのだ。
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