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早朝のカーテン

みなさんは朝起きたらカーテンを開けるだろうか。

カーテンを開けるという行為はどういった理由で行われるのだろう。
体内時計をリセットするため?部屋を明るくするため?湿気がこもらないようにするため?天気を確認するため?

私は特に理由を考えたことはなかったのだが、気づいたら「朝起きたらカーテンを開ける」という習慣が身に着いていた。多分、子どものころから母親のそういう姿を見ていたからだろう。

去年の夏に子どもが生まれてから、私は朝方の人間になった。それまでは夜が大好きだった。仕事も勉強も夜の方がなぜか捗る。例えば休日は深夜1~2時に寝て朝11時に起きるような生活を送っていた。しかし、子どもの健康のためには早寝早起きの生活が良いと考え、結果的に私も早寝早起きになった。今では21時半に寝て5時に起きる生活をしている。今まで何度も早寝早起きを試みるも挫折してきた私からは到底考えられないことだ。

最近は朝の5時はとても明るく、カーテンの隙間から日差しが差し込んでくる。寝室では娘と夫が寝ているため、私はそっとリビングへ向かう。ここで私は掃き出し窓のカーテンをジャッと開くのだが、これが最近の私の楽しみになっている。

カーテンを開けて見える外の景色が、いつもと違う。

窓から見えるものはアパートの駐車場や一軒家、マンションなどで、特段すごい景色が堪能できるわけではない。
しかし、朝5時の白み始めた空の間から見える水色とオレンジ色に、私は心を奪われる。それらの色を纏った建物も、まるで別世界の住人が済んでいるかのような雰囲気を醸し出している。

私は、この景色を見ると必ず感じる感覚がある。旅行で宿に泊まったとき、なぜか朝早く目が覚めてしまい窓の景色を眺めながら「私は今遠いところにいるんだ」と非日常に静かに興奮する感覚だ。初めての土地にいる自分に気づき気持ちが昂るのはきっと私だけではないはず。ここには自分の知らない世界があるんだ、と。それにしてもなぜ旅行の2日目の朝はあんなにワクワクするのだろう。そんな感覚を、私は自宅のカーテンを開けた瞬間に味わう。それが贅沢なことだと気づいたのは本当にここ最近だ。

きっと、早朝というのが良いのだろう。夫も娘も寝ていて家の中は静かだし、歩いている人もほぼいない。周りも静かだから、自分の思い出や感傷にも浸りやすい。いつまでもぼーっと外を眺められる。

カーテンを開けた窓は少しのあいだ私を非日常に連れて行ってくれる。そして明日はどんな景色があってどういう感情を抱けるのか毎日ワクワクしている。

早朝のカーテンは私には特別なものに見えている。

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