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沖縄の離島に家族と暮らしながら、時々書く仕事。 読む、書く、撮るが好き。 気持ちの伝わ…

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沖縄の離島に家族と暮らしながら、時々書く仕事。 読む、書く、撮るが好き。 気持ちの伝わる文を書いていけたらなぁと思います。

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打滷麺はやってない

以前住んでいた町の駅の近くに、人気の中華料理店があった。 天井が高く、清潔で、飾り気がなく、15名ぐらい座れる長いカウンターがメイン。 白い調理服を着た本場の男性が6名ぐらい、カウンターに背を向けて テンポよくスピーディーに調理するのが気持ちよい店。 店員さんは無駄口を聞かない。 仕事帰りに1人で寄った時 ぼーっとしていて 「ルースー麺(肉絲麺)」 を頼むつもりが 他のお店でよく頼んでいた 「ダーロー麺(打滷麺)」 と言ってしまった。 その瞬間、 全員が動きを止めて一斉に

    • ポックという名のウサギ

      家庭教師センターからの派遣先はクリーニング屋さんだったが 途中からスナックを始めることになり、「お母さん」は「ママ」になった。 店の2階で中学生の娘の勉強が終わると スナックに呼ばれて、カウンターでメロンをごちそうになる。 店ではきれいな外国人の女性が何名か働いていた。 お父さんは建築関係の仕事をしているらしく 男性はそっちで働いていた。 ある日、ママから「晩ご飯を食べていきなさいよ」と誘われた。 スナックの後ろの薄暗い和室に案内され 10名ぐらいの外国人と輪になってハンバ

      • マル の魅力

        • ふたたび旅へ

          休暇を待ちわびて海外旅行に出かけていた頃は、スーツケースを詰めるのに30分かからなかった。それぐらい旅好きだった。 好きな国はたくさんあったけれど、住みたいと思ったことはなかった。そんな場所に、日本で出会ってしまい、15年目になる。恋と一緒。離れられない。そして、旅行にも行かなくなった。 子供が2人とも学校に通いだし、初めて飛行機に一人で乗る機会があった。恐ろしいほどの解放感に、気がつけば涙ぐんでいた。私だけの、時間。機内誌をゆっくりと読むのすら、至福に思えた。 旅の2

        打滷麺はやってない

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        • 古賀さんのnote
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          バルセロナに行って、サグラダファミリアに行かない旅

          バルセロナに着いたのは夜だった。 タクシーの運転手は、旅行者の誰もがサグラダファミリアを見たいと思っているからか、わざわざ前を通ってくれた。 漆黒の闇に浮かび上がる未完成の塔は、あまりにもおどろおどろしく、荘厳だった。 翌日は朝早くからサグラダファミリアに行く予定だったが、急に具合が悪くなり、ホテルから一歩も出られなくなってしまった。 友人は憐れんで申し訳なさそうだったが、気にしないで行ってきて、と送り出した。 奮発して最高級のホテルをとっていたので、窓からサグラダ

          バルセロナに行って、サグラダファミリアに行かない旅

          忘れられない味

          珍道中の旅だった。 年齢も仕事も服の趣味もバラバラで どんな関係か尋ねたくなるメンバーだったが、 旅館の女将はプロらしい微笑みで迎えてくれた。 私たちは仕事を離れた場所で知り合った。 適度な距離感と、遠慮なく言う性格がお互いに気に入り、 3回ぐらい飲んだ後、旅行に行った。 「くじ引きで当たった相手に似合う衣装を準備してくる」 というコスプレ企画をして、 大笑いでお互いの写真を撮り合った。 翌日、旅館近くで観光客向けの参加プログラムがあり、 民家におじいさんが2人いて

          忘れられない味

          カメラが映らなくなってから現れる

          ヴェネツィアで友人と別れ、ローマへ1人旅。 「スリに気をつけて」とアドバイスされ、 緊張しすぎてガイドブックを電車に置き忘れてしまった。 ローマは観光客であふれている。 ビルの角に手持ち無沙汰に立っている人が気になる。 コロッセオで剣闘士が猛獣と戦った時代に思いを馳せ、 ナポリの泉でコインを投げる。 「真実の口」に手を入れるのを楽しみにしていたのに、 なんと数日前に車が突っ込んでロープが張られていた。 走るように名所を観て、駅へ向かう途中、カメラの電池が切れた。 帰るだ

          カメラが映らなくなってから現れる