嘘つき
𓁷 ねぇどうしてあなたは嘘ばかりつくの?
𓆗 手にある全てものを守りたいからだよ。
自分も誰かもなにもかも。
𓁷 あなた傲慢なのね。
𓆗 じゃあ、あなたは嘘をつかないの?
𓁷 つくわ。でも私は嘘をつくのが上手いのよ。
嘘が嘘であることを悟らせないわ。
𓆗 それこそが傲慢よ。
きっと、あなたの嘘を、嘘だとわかっていながら嘘のままにしてくれている人がいるのよ。
あなたはそうやって誰かに守られているのよ。
なのにあなたに、嘘を暴く権利はあるの?
この世の誰に、嘘をつく人を責めることができるの?
𓁷 私はただ悲しいの。
𓆗 それが嘘だったってことが?
𓁷 多分違う。
嘘をつくに至る、残酷な真実が存在することが。その残酷な真実がただ悲しい。
でもそれは心のことだからしょうがないことなのよね。
𓆗 わたしに嘘をつかないでと言っているの?
𓁷 違う。私のために嘘をつかせた上にこんなことをいうのは強欲だって分かってる。
でもお願い、ほんとうとうそのグラデーションをつけてほしいんだ。私ちゃんと目に映るものだけを信じるから、額面通り信じるから、ほんとうなんていらないから、ちゃんと私を騙してほしい。騙し続けて欲しい。
どうしてもその悲しみがつらいから。
𓆗 努力するよ。
𓁷 ありがとう。
いつも私を守ってくれて、自分を大切にしてくれてありがとう。
嘘をつかせてしまってばかりの私でごめんね。
こんな私を想ってたくさんの嘘までついてくれるやさしいキミのこと、だいすきだよ。
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