見出し画像

オトナのオンナ

雑居ビルの通路は大通りに抜けていく。薄暗い、むしむしとした空間は、なにやらおそろしげで、子どものころは、通るのを躊躇っていた。
ある日、勇気をだして足を踏み入れた。いくつもの部屋があった。
開け放たれたとびらに、化粧の濃いオンナがよりかかってタバコを吸っていた。怒られるかと思ったけれど、彼女はぼくを物珍しげにみただけだった。
怖いところではない。
だけど、やっぱりぼくには未知の世界だった。

サポートいただくと、よりよいクリエイティブにつながります!