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宙、舞いました。

さかのぼること約3週間、小雨降る中いやいや走りに出かけた私は走り出しから『今日は歩きたい、昨日たくさん走ったから今日はもう走れない』と文句を言っていた。

周回コースを歩きたい!という願い虚しく街ランへと連れ出された。

霧雨が降っていて涼しくて気持ちのいい、ランナーなら喜ぶ走りやすい気候。

少しでもテンションを上げるために新しいウェアを着ていたがこの日は終始走りたくない病だった。

今日は40分走ると言われ、まずは20分耐えようと考え走っていると普段はあまり来ない周回コースに着いた。 
ここを25分まで走れば帰ったら40分は超える!と目標を立て少しペースを上げた。せっかくなら7kmくらいいきたいな、と欲が出てきた。

周回コースを走り出してから1周、何人かランナーもいて抜きたくなりペースが上がる。

2周目に入る前に背中丸まってる、右肩が下がってると言われて姿勢が気になりだしてきた。

ちょうど角に姿が映る場所があるから見てみようと思い背筋を伸ばす。
角にある建物の扉に映る姿を確認。

『うん、よくわからない!』と一瞬見る予定が3秒ほど長く姿勢を確認した。

と、その時だった

『あ!!!!!!!!』

と思った時には時すでに遅し。目の前にアスファルトがあった。

ガツン⚡︎⚡︎⚡︎⚡︎⚡︎⚡︎⚡︎⚡︎⚡︎

『あ、オワタ、、、』と思った。痛いとかじゃなく『オワタ、、』と思った事を覚えている。鼻の下の歯茎あたりが痛くて、瞬間的に歯がないと思った。問題は何本無いか。そして、奥歯を失った時に(奥歯を失った話)インプラントをすると1本約50〜60万と聞いていたので私は今歯が何本無くてこれからいくらかかるんだ?!?!という事で頭がいっぱいだった。

ぶつけた顔を押さえながら寝てる体制から座る体制に身体を持ち上げると、一緒に走っていた人がオロオロしながら私に話しかけている。
『あーーー★○*〒:%$rもーーー*%#😭😭😭』こんな感じ。
私はどうやら顔面血だらけで、それは地面に飛び散っていた血の量から自分で見てはいけない顔だと察した。
周りの通行人のうち2人が立ち止まり、オロオロする怪我してない人と静かに顔面血だらけになっている私という両極端な様子の私達を見ていた。
そのうちの1人の方が(男性で電動自転車に子供用のイスがついていた)救急車を呼んでくれ、持っていたタオルやウェットティシュを渡してくれた。
もう1人の女性は大きめのタオルを渡して立ち去っていった。

恥ずかしい気持ちと申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
タオルで顔を押さえながら、『歯ある?歯何本ある?』と私は繰り返し聞いていた。
タオルを顔から離すと血がべったりついていて痛みもあるからこれは冷やそう!となり、氷をすぐ目の前の小さなスーパーに買いに行ってもらった。
『歯あるよ大丈夫』と言われても痛くて痛くて絶対歯が無いか、ダメになっていると感じていた。ものすごい喪失感、、
"奥歯が無い、前歯もなくなる、、、血だらけだし今日ジムに行く予定だったのに、、週末ご飯行く予定だったのに、、なんて事をしてしまったんだ、、、"
痛みに強いからか、ショックで麻痺しているのか歯茎の痛み以外特に感じず、ひたすら静かに猛省しながら救急車を待った。
道が混んでいたのかずいぶん遅かったけれど、おかしいくらい冷静に静かに待っていられた。

救急車到着

救急車が近づいてきたので立ち上がり手を振った。
ここです。ここに顔面から転んだ馬鹿者がいます。そんな気持ちで手を振った。
救急車に乗り込み、顔を見せた。
『私の歯ありますか??』何度も聞いた。
ありますよ、大丈夫と言われても絶対信じられない!!と思って何度もしつこく聞いていると、よーく口を覗きこんで、、、
『くちびる裂けてますね 2箇所ね、、、、
あ、、!!』

あって何?あって言ったよね?
おそるおそる次に何を言われるか待っていたら、『歯割れてますね、破片もうないかなー』

!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ほらー!ほらー!歯無いじゃん_| ̄|○
悲しみと絶望感でいっぱいだった。

日曜だった為受け入れ先の病院が全然みつからずひたすら待つ。その間に問診表のようなもの(あなたはなぜこんな馬鹿な転び方をしたのかという事情聴取の方がしっくりくる)を代筆してもらい渡すと『あなたじゃなく怪我したご本人の名前を書いてください』と言われた。
そこですかさず『それわたしの名前です』
私の名前は漢字で書くと男性名のため100%男性と間違えられる。
小さな頃からの大大大コンプレックスも、この歳まできたら間違えられてもなんとも思わないもんなんだな、と思った。

転んでから1時間経つと出血は止まり、じわじわと深く熱く痛みが広がってくる。しかし恥ずかしさと大ごとになってしまい申し訳ない気持ちで泣くこともせずひたすらおとなしくしていた。
怪我をした日は一切涙しなかったけれど、この後嫌というほど泣くはめになった話まで、一体宙を舞った時に何が起きたかという詳細まで頑張って書き残していこうと思う。

みなさん、雨の日はいつも以上に気をつけて、気分が乗らない日は休みましょう、、_| ̄|○


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