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宙、舞いました。②

救急車に乗り込んでから約40分 ようやく少し離れた総合病院に向かうことになった。
救急車に乗るのは実は人生で5回目くらい。
過去にタクシーに乗っていて事故に巻きこまれたり、熱中症で動けなくなったり、と振り返ると人騒がせな人生だ。

顔面以外、無傷

救急車から降りる際『気をつけて。また滑るよ』と少し笑いながら言われた。本当に恥ずかしい。救急隊の方の見立てでは外傷のほかに鼻の中が切れていそうということ。鼻周りは血がたくさん出るけれど、大したことないだろう。よく喋るし歯のことばかり気にしてる私への見立てはそんなところだった。

救急の診察スペースに行くと若い女性の医師がいた。新人さん、かな?と思ったが、動けないほど痛いところはないし救急車なんて大げさですみませんという気持ちしかなかったので痛いとも言わず、怪我してる箇所を聞かれたが、両肘に打撲内出血があるほかは、『手のひらは?膝は?お尻は?足は?』聞かれて見てみたが全て無傷。かすり傷ひとつさえない。信じられないくらい無傷。看護師さんも必死になって怪我がないか探すがどこにもない。
『あなた不思議な人ねー顔面で全て受け止めたのねーははは』と言われて更に恥ずかしくなった。
くちびるの傷も深いが縫わなくてもいいと言われてそこにあったシンクで顔を洗い、消毒を塗って絆創膏貼って終わり。とりあえずCTは撮りましょう。という流れになった。
立ち上がると急に身体が重くなり歩くのがペンギンのようになってきた。別の階でCTを撮るのが辛い。歩いて、エレベーターに乗って、また歩いて、CTの台に横たわる。
じわじわ熱く鈍い痛みが全身に広がっていく。
マスクをしなくてはいけなくて渡されたが、傷にあたるから擦れて痛くて泣けてきた。
腕をあげるのも辛くネックレスを外すこともできなくなって、事故に遭った人が急に容態が悪くなることがあるという話を思い出した。
さっきまでは興奮状態だったんだな

CTを撮りおわり、また診察スペースに呼ばれるとさっきとは違う男性の医師も一緒にいた。
『私内科医だから先生にかわりますね』と言われ、え?!?!そんなことあるんだ!と驚いた。さっきまで擦り傷、打撲だった診断に、もしかしたら骨折してるかもしれない という診断も加わった。アバウトだ。
『どちらにせよ形成になるから紹介状書きますね、明日行ってください』家から近い総合病院の紹介状をもらいその日の診察は終わった。 スマホ以外手ぶらだった為会計は後日にしてもらい、使ったことのないUberを呼んで帰ることになった。
ケニア、ナイロビではUberが必須でいざと言う時用にカードも登録してあった。こんな時に役に立った!
やっと帰れる、、、横になりたい、、、その一心でUberに乗り込みリクライニングを下げ痛みを忘れようと目を瞑った。


『はい、どうしました?』

そんな声で半分眠りそうになっていたが目が覚めた。
大通りから脇道に入ったところで車が止まった。
運転手さんが警備員らしき男性に呼び止められたようだ。窓を開けると『ここは初めてですか?』道を聞かれているんだなと思いまた身体をシートに預けた瞬間『この後警察官が誘導するので先で止まってくださいねー』と聞こえてきて目が完全に覚めた。
Uber違反したのか!
何もこんな時にタイミングよく?悪く?捕まるとは。こちとら身体がもう動けないんだよ、はよ帰らせてくれ!なんなら料金差し引いてよ!
と思ったが、そんな元気もないため、寝ることにした。
ついてない時はとことんついてない。いや、私がついてないから運転手さんは被害者か?そんな事をぼけっと考えながらうとうとしてやり過ごしていた。

途中トラップに引っかかってしまったがきちんと家の前まで送り届けてもらい、ようやくこの日は家に帰り横になることができた。怪我をしてから4時間半くらい経っていて心身共に疲れ果てていた。明日からどうしよう、、 翌日の形成外科と歯科の診察で無事を宣告されますように。祈りながらそのまま朝まで眠ってしまった。
【追記】後日Uber料金も通常通りしっかり引かれていた。当たり前か。事故に遭ってすみません割引なんてないのか。


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