見出し画像

イギリスの不妊治療について_前編

こんにちは、Chiyoです。

私は普段イギリスでの生活やお金のことについては比較的オープンにTwitterやブログに書いているのですが、今まで不妊治療、子供がほしいと思っていることについてはなかなか書けずにいました。

結果的には6年間子供が授からない期間がありその間にイギリスと日本で体外受精に挑戦して2022年に妊娠、出産しています。

妊活や不妊治療について発信することで難しいと感じるのはステージごとに見える世界、負担度(仕事、身体、金銭的なものまで)にかなり幅があるのにゴールは妊娠、出産のひとつになっていること。
どんな情報提供や発信も時と場合によって一定数の誰かの気分を害したり、傷つけてしまうことが避けられないトピックです。

その中で今回記事を書いたのはイギリスで子供が欲しいと考えている方への不妊治療の情報提供をしたいと思ったから。

情報は2017-2021年のロンドンのものなのでお住まいの地域や時期によっては条件やプロセスが違うこともあると思うので参考程度にお願いします。

現在妊活、治療を検討している人限定になりますがもし悩んでいることや聞いてみたいことがあればTwitterのDMは開放しているのでご連絡ください。

イギリスの不妊治療の概要

イギリスで不妊治療をはじめるにあたって大きく2つのルートがあります

  1. NHSの病院 (Funding、有料どちらもあり)

  2. プライベートの病院

私はFundingを受けたかったのでNHSの病院のルートを取りました。
どちらにするかは不妊治療に掛けられる予算、Fundingの対象になるか、治療が待てるかどうかの3つで判断することになります。

Fundingは日本国籍の場合永住権を持っていることが条件

ここがイギリス在住日本人にとって厳しいポイントなのですが、2022年現在不妊治療のFundingは永住権を保持していないと対象になりません
ちなみに私が最初に問い合わせをした2017年はこの条件はなかったのですが、テリーザメイが首相の時代に変更になったようです。
移民はVISAを取得する時にバカ高いIHS(immigration health surcharge)を払っているのにも関わらずこの仕打ち、、辛い。

また永住権を持っていても以前に治療を受けていたり、パートナーに子供がいたり、BMIの基準値(上、下両方)に入っていない場合は対象にならなかったりします。
なかなかハードルが高く、待ち時間も長いため(地域や時期にもよりますがだいたい申請から1年くらいかかります)最初から待ち時間のないプライベートを選択する人もいます。

プライベートはNHSに比べるとかなり値段がかかる印象ですが年齢が若かったり、検査で引っかかる項目がない人限定で安いプランを提供している病院もあります。
イギリスのプライベートで治療をしたことがないので治療の違いはわからないのですがSuccess Rateを比較している病院のサイトがあったのでリンクを載せておきますね。

https://argc.co.uk/success-rates/

Fundingの申請から治療を始めるまで

Fundingの申請の流れは地域ごとによって違うと思うのですが、ロンドンで申請した経験を基に書いています。

①住んでいるカウンシルのFundingの条件を調べる

イギリスでは不妊治療のFundingはLotteryとよく言われます。
本当にその通りで地域によって年齢の条件や何回までFundingを受けられるかが全く違うんですよね。

ある地域ではIVFを3回まで無料で受けれるのに、他の地域では1回までとかそもそもその地域はFundingがないということもあるので自分の住んでいるところがどういう条件になってるかは子供が欲しいと思った段階で早めに調べておくことをおすすめします。

ちなみにロンドンはIVFを1回無料で受けられるとしているカウンシルが大半になります。2022年現在の友人を通しての情報ですがカムデンは3回までFundingがおりるそうでかなりの好条件。

基本的には申請は住んでいるところで行うのが一般的なのですが、住んでいる場所とは別のカウンシルでFundingを受けれたという例もちらほら聞きます。(カウンシルによっては職場がカウンシルの中にあればOKというところも、条件次第です。)

②GPを通して不妊治療のFundingを受けたい旨を伝える


私の場合、普通にGPにアポイントメントを取ってFundingを受けたい旨伝えました。
イングランドは地域のClinical Commissioning Groups (CCGs)がありそこが条件に合うかを審査する仕組みになっているところが多いです。

子供が欲しいと思ってどれくらいかなど基本情報を聞かれて問題ないようであればGPからCCGに申請してくれます。

③IVFを行う病院でFundingを受ける条件に合うかどうかの検査に呼ばれる

だいたいGPに申請から三ヶ月後くらいに検査に呼ばれるのですが私の場合最初に申請した時の検査でBMIがFundingの条件より下回っていたため、体重を増やして再申請という流れになってしまいました。

不妊治療に進みたいのになぜか体重を増やすために栄養士の方とアポイントを取っていろいろ試みるもなかなか増えず足踏み期間なんと約2年。

途中私は一体何をしているんだろうという虚しい気持ちになってもうFundingを諦めようと思うことが何度もありました。

なかなか体重が増えず栄養士の方とのアポイントメントを終わりにしようと思った時に夫が「栄養士の方から一筆もらおう」と提案してくれて入手したレターを持ってダメ元でGPにFundingの申請ができないかを依頼。
ドクターからはどうなるか分からないけどこのレターでもしかしたらいけるかもということで再申請した結果、特別なケースとしてもう一度申請のプロセスに乗ることができました。

再検査に呼ばれてもBMIのことで引っかかるんじゃないかとドキドキしていましたがサポートレターをお守りのように見せて現場ではクリアー、Fundingの結果を待ちます。
ちなみにこの検査では子宮の状況、ヘモグロビン、甲状腺、プロラクチン、AMH (卵巣予備能を調べる)を調べました。

④検査の結果とFundingが受理されたレターが届く

検査を受けてから三ヶ月後、無事Fundingが受理されたレターが届きます。

ここまでの道のりが長すぎてこのレターがもらえたことだけで涙が出そうになり喜んでいたら、検査結果のAMHの値がかなり悪いことがこの時点で判明してずーんと落ち込む。

あまり時間が残されていない現実を受け止めつつ次に病院に呼ばれるのをとにかく待つ日々でした。

⑤病院から最初のアポイントメントに呼ばれる

Fundingが受理されたレターをもらってから一ヶ月後くらいに最初のアポイントメントに呼ばれたのですが、ちょうど海外出張と被ってしまい日程変更をお願いすることに。

Fundingの不妊治療あるあるなのですが提示された日程が合わないとウェイティングリストに戻されてしまうので次に呼ばれるのが半年みたいなこともザラにあります。

ちょうどコロナの流行もあり、私達が次のアポイントメントに呼ばれたのはなんと9ヶ月後でした。

⑥最初のアポイントメント

最初のアポイントメントでは主に血液検査をして、治療の進め方など今後のプロセスの説明を受けます。

この時に永住権を保持しているかを確認するためにBPRカードのチェックもありました。

このまま治療に進めるのかと思いきや、4ヶ月から半年くらいで連絡が来るとのこと。
また待ちですね、ここからはいつ治療が始まるか分からないので旅行などの先の予定を入れづらくなります。

⑦何月から始めませんかという電話が来る

半年くらいかかるかもという話だったのですが、三ヶ月後に連絡が来て何月から始められますか?と突然電話がありました。

予定が合わない場合はまたウェイティングリストに戻りますとのこと。
本当はこの年の年末に日本に一時帰国しようと考えていたのですがもう治療に進みたかったのでその場で快諾してついに治療開始の日程が決まりました。

長くなったので治療の中身については後編に続きます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?