アストロダイス小説#01空から土星が降ってきた03
色白で小顔、目がパッチリ、アーモンドアイ、目の色もなんだか琥珀色っぽくて綺麗。髪はツヤツヤのセミロング、ふんわりと肩にかかるくらいで、プルっとした可愛らしい唇・・と、どこの女優かと思うくらいの美少女が俺の机の前に仁王立ちしている。
「・・聞いてるの?」
思わず、目を見開いて凝視してしまっていたようだ。目が乾いて充血しそうだ。
「あ、えっと・・」
ダメだ。このままじゃ、初対面でジエンドだ。何とか余裕を見せねば!
「クラス委員で慣れない転校生のサポートをしようとトレミー学園長に相談したら、金田さんの部活の手伝いをして欲しいと、頼まれたんだ」
「そうなの・・。私は将来、AIを使った問題解決プログラムを作りたいと思っていて、色んなタイプのアルゴリズムの検証をヒューマンタイプ別に・・・」
え、この子、電脳系だったの?ポカーンと専門用語を並べ立てる彼女を見つめていると
「まぁ、要は、人がどんなことに困って、どういう解決方法があるか、経験したいんです」
たぶん、俺が分かってないの丸わかりだったんだろうな。ごくシンプルにまとめてくれた。ちょっと傷ついた。
「部室はもう用意してもらってるの。部室棟の空いている部屋の使用許可をもらったわ。鍵はこれ」
「さすが、仕事が早い」
ふふん、と得意そうな笑顔も、美しい。連れ立って部室棟へ歩きながら、すれ違う生徒が振り返って彼女を見つめる。
何でお前が横にいる?みたいな顔をしている生徒も多い。後で質問攻めだろうな。
よろず相談うけたまわります、と張り紙が貼られた扉の上に、探偵部とやはり紙に書かれたネームが貼ってある。どうやら、ここが部室のようだ。
ガチャ。金田さんが鍵を開けて先に入る。中は、テーブルと折り畳みの椅子が5つほど、後はロッカー。隅っこに給湯設備もあり、お茶が入れられるようになっている。実にシンプルな部室だ。
「さ、ここで、最初の依頼を待ちましょう」
「え、もう依頼が入ってるの?」
「えぇ。クラスメイトでボーッとした男の子が、どうしようどうしようってブツブツ言ってたから、今日の放課後ここにくるように言っておいたの」
早い、何もかもが素早い。こんなに展開が早くていいのか。
コンコン。
「おじゃましますー。ここに来いって言われたから来たんだけどー」
妙に間延びした声が聞こえて、ドアが開く。
「来たわ。待ってたのよ、井川くん」
「よろしくお願いしますー」
「ボーちゃん!?」
「あー、大空くん、いたんだねー」
「お前みたいな、ずっと石を眺めてニヤニヤしてる奴が何を困ってるんだよ?」
「それがね・・」
そこから、井川棒太郎、通称、ボーちゃんが話し出したのは、彼の外見からは想像もつかない話だった。
つづく
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