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【レポート】CXOnight#6 「CXOのリアル」に行ってきた話 〜後編〜

こんにちは、チカ(@mahorohoro)です。

前回の記事に引き続き、CXOnightの後編レポートをまとめてみました!
前編のレポートはこちら。

【後編:CXOのリアル】

Q:ぶっちゃけCXOって何するの?

Andoさん:
C?Oのミッションは、CEOが持っている経営課題に対してそれぞれの領域の知見を持って部門を横串で横断して最適解を出す。(部門長ではない)
その中でもCXOは、ユーザの体験を最大化して全社の部門を横断し、全体最適の提案をすることがミッションの人

坪田さん:
CXOは、部門の縦軸よりも横軸を連携していくという風な定義を最近よく話している。

田川さん:
CDOはデザインジャッジをする人。CXOはCTOやCPOと連動してプロダクトを作っていく。C向けのプロダクトだと、マーケティングオフィサーと一緒にブランドコミュニケーションも行う。その両方をできるのが1つ目の考え方。プロダクトとブランドというのは小さい定義。「IKIGAIマップ」に近いところがある。


C?Oの人は、組織が小さいとほとんどCEOが行う。組織が大きくなると末端の人たちの数が増えるので、CEOの分身を作る必要がある。CXOは基本CEOの分身。部門長で分業していたら終わる。

どうやったらCXOになれるのか?という話は結構道のりが長い。だからやる気が出るし、デザイナーのキャリアパスとしても今までそういうのがなかったので、ランクを上げていくことが面白い。テック、ビジネス、クリエイティブの3言語を話さなければならない。その頂点のBTCを理解するために、Bの入り口から入ってもいいし、テック入り口からでもクリエイティブ入り口から入ってもいい。時間はかかるけど何かを経由しながら行く、みたいな。

広野さん:
前職まではCDOだったが、今思えばCXOの方だったかなと。サービスを作るならなんでもやるというか。横串で刺して点じゃなくて線で見られる人がCXOという役割に求められていると思っている。めっちゃバチバチにデザインがやばいものを作ったところで、そのサービスが使われるかと言ったら、そのフェーズではいらなかったなと

何でCXOがみなさんデザイン上がりなのかというと、別にPM上がりでもエンジニア上がりでもいいと思う。ただ、デザインという手段が一番ユーザーに見えるところを作っていて、可視化されやすい。みんながそれを見て意見を言って前に進みやすい1つの手段がデザインだから、第1陣のメンバーはデザイナーからCXOになった。それが今だなと思っている。第2陣で別の職種の人たちがCXOになる可能性もある。

広野さん:
海外だと、ビジネスの人たちにむしろデザインを教えたいみたいな。日本だとまだそういう動きがなくて、そういう学びがなかったから、実践でデザイナーがビジネスに入り込み始めるみたいな特殊な事例になっているというか。アメリカとは違う方向で、ビジネスとデザインがかけ合わさってるなっていう感じがします。

田川さん:
プロダクトイノベーション作るためのデザインと、ブランドを作るためのデザインは全然違う。みんな勘違いするのは、デザイン思考的なものをやるとかっこいいものができるみたいな。これは絶対できないですよね。

デザイン思考ってユーザー観察して、仮説を立てて、プロト作ってテストして、これをアジャイルでぐるぐる回すっていう話なんだけれど。デザイン思考ってデザイナーが作った手法ではないって知ってます?

デザイン思考を作ったのは実はエンジニアリング部隊なんですね。だからみんな分からないわけよ。デザイナーのように考えるっていうのは、エンジニアから見たときにデザイナーが考えているようなことをソフトウェアを作る手法として体系化したのがエンジニアたちだから。だからみんな分からないわけですよ。で、デザイナーたちからすると混乱するわけよ。「え?俺たちそんなの考えてないよ」みたいな。

だからデザインシンキングは、ソフトウェアエンジニアリングをユーザーインターフェースと繋ぐための手法で、そこにはブランド構築とかかっこいいもの作るって考えは全くないんですよね。

CXOが特殊なのは、両方やらなければならない。ビジネスパーソンがデザインシンキングを学んでビジネスデザインがやれるようになった一個先の課題は、それではブランドは絶対作れないんですよね。いわゆるグラフィックデザインやクラシカルデザインは、そこをできる術をまた別途勉強しなければならない。

CXOも色々いて、プロダクトとブランドを作ることは別。最強クラスは両方やれる人たち。これはまだあんまりいないですね。一般的はプロダクトを作れるCXOがクリエイティブディレクターを入れてそこを保管する

Andoさん:
YAMAPはもう10年近くやっている企業。ユーザベースもあって、結構エンジニアリングが強い会社。いろんな機能ができてしまっていたところに、あまり統括してデザインを見る人材がいなかったのでUX上のフリクションができていた。もともとデザインの課題感は持っていたのですが、やっぱり山登りをするUXわかる人が欲しいと。笑

田川さん:
CXOとして深津さんがやった中で、ユーザーの増加に一番効いたのって何?って聞いてみたら、「とにかく365日プレスリリースを撃ち続けることだ」って言っていて。それは365日、1ミリでも多く、プロダクトを良くしてるっていう姿勢を世の中に発信し続ける。

プレスリリースを出して、出したやつを深津さんが深津砲でリツイートするっていうのを僕らはずっと浴びる。そうすると、なんかnoteってユーザーと向き合ってるな」っていうのが信頼になっていくって言っていたんですよ。

CXOの1つのの役割は、「こんなことやっているんだよ」ということを世の中に対してプロ目線で言っていくというか。そうするとインナーに向けても影響がある。会社が100人とか1000人になると分からない。CXOは内外に向けて、「自分の会社はこんなに向き合ってやってるよ」みたいな。粒は滅茶苦茶小さくてもいいけど、とにかくその姿勢をCXOが見せるみたいなのは、結構みんなが真似できるノウハウ。

結構まとめた形でしか普通はプレスリリースを出したくないけど、関係ないんですよね。ユーザーは1つ1つをあまり見ていないから、小粒でいい。コードレベル数行でも、解説して、「こういう風に見てね!」って言うことは大事な役割かもしれないと最近思い始めてて。

坪田さん:
発信していくことは大事かなと思います。
育児系のメディアをやろうとしていた時も保育園に行って研修受けたりしていた。スッと入ってくるし、やっている人たちが味方になってくれる。デジタルとの距離が遠い業界は、そういう人たちが興味を持ってこれから変えてくれそうなんだ感があると喜んでくれる人がすごくいる。そういう姿勢を見せて仲間にして行くことが大事。

Q:CXOに必要なマインドセットは?どういう人が向いている?

田川さん:
会社のステージによって違う。10万くらいのCXOは100人くらいのところのCXOとやることは全然違うはず。

坪田さん:
すでに出来上がっていて、各取締役もいてホールディング型になっている会社に入って実行するのは難易度が高い。求められることは政治や交渉力とだったりするので、全然違う。

田川さん:
メルカリ(社員1000人くらい・デザインチームが50人くらい)だと、ボードのメンバーに「デザインとは」「ブランドとは」をわかりやすく説明していかなきゃいけない。
ブランディングはどういう順番でやるのかとか。だからこういうところにこういう順番で投資が必要なのかとか、全体像を構造化して言語化して話すスキルが必要

その人自身がボードのメンバーから信頼されているかどうかが大事。難しいのは経営言語とか、経営者から信頼されるのとは別に、現場のデザイナーたちからシンパシーを持たれなければならないのが難しい。具体も手も動かさなきゃいけないけど抽象度が高い話もできるみたいな

坪田さん:
手を動かさないと現場の人はついてこないし、3年経ったら感覚が狂う。意思決定ができる人間であり続けるためには、手を動かし続けるもしくはそれに近い学習を続けないと、多分3年経ったら死ぬみたいなのがある。

広野さん:
CEOが父性であるのであれば、CXOは母性。それはフェーズが100人以上であれば合っているかなと。

・CEO:将軍。「者共、かかれえぇ!」みたいな。メンバーは言うこと聞くくが、たまに文句のある人がいる。
・CXO:文句のある人を諭す。将軍が間違っている方向に行ったら将軍にも諭す。みんなを包み込むしんがり。

坪田さん:
今のデザイナーのポジションで難しいのが、手を動かすのはできるけど、エグゼクティブとの立ち回りもしくはビシネス感覚で立ち回るのが難しい。それを教えてくれって言ってもなかなか難しい。

田川さん:
それは、デザイナーが1回経営者になる。自分でスタートアップをやってみる。そうすると数字感覚とかお金の意味とか、組織の難しさとか色々入ってくる。そうすると1回CEOをやったことがあるけどデザインがちゃんとできる。コンサルティングと制作と事業の3つはすごい大事で、それを踏むタイプか、そのどっかを1〜2個経験した後に自分でスタートアップをやってみるか

経営者は当てたことがある奴のことしか信じない。当てたことがある人だけが持てる特殊な感覚ってある。

Andoさん:
CXOとして意見するには、1回入り口から出口まで全て経験する必要がある。どんなサイズでもいいので自分で100パーセントコントロールできるビジネスをやってみることが必要

1番大事なのは、いかにフィードバックループをインストールできるか。最初はビジネスでなくても、ダイエットや節約などでいい。客観的に定量的な数字を見てちゃんと自分で比較して分析できるフィードバックループがいかに自分にインストールできるかが大事

Q:今CXOを目指すとしたら、逆算して何からやっていけばいいのか?

広野さん:
CXOはビジネス・体験に関わる全てのことをやる、もしくは関わっていく。指針を示さなければいけないから、みんなのこともわかる母になれるかっていうのが重要。何に関しても興味を持って、どんな情報に対しても目を向けることが大事。

CEOだと、料理のアプリだったら料理のことしか知らなくてもいい。でもCXOはちょっと引いて、世の中ではどんなことが起きるているか、法律や情勢とか。いろんなことが交わって最終的にユーザーに届くので、デザインに限らず全ての情報に対して積極的に取り入れることが有用になるんじゃないかと思う。

Andoさん:
小さなビジネスを100%自分でコントロールするのをおすすめしたいです。
CXOはユーザーを誰よりも理解しなければならなくて、ユーザーの代弁者でなければならない。必要なのはすごく自分が大好きなことを突き詰めてやってみることなのかなと思います。

田川さん:
一つ目は、坪田さんの弟子になる。
二つ目は、Andoさんの弟子になる。
三つ目は、メルカリに就職する。
そこで3年修行した後に起業する。
CXOは滅茶苦茶難しい。先人たちが15年くらいかけて積み上げたエッセンスを学んで実践する

坪田さん:
自分1人でわかりやすい成果を出したらそれでチャンスをもらいやすい。ツールとしてのデザインじゃなくて、自分がこういうサービスから設計したって言えるようになるとコミュニケーションが変わる。そういうチャンスをつかむことが大事なのかなと。スキルとチャンスのバランスが大事。

Q:自分の専門性が上がっていかないことの不安への対処法は?

Andoさん:
キャリアの最初はエンジニアがスタートで、SIerにいた。大企業向けの基幹システムを提案・設計していて、UIをやるようになって、事業開発して、ベンチャーを作ってiOSデベロッパーになりました。

これが価値だなって思うのが、いろんな部門の橋渡しできる。解決しなければならない課題が、テックだけのものではないし、デザインからのアプローチも提案できる。掛け合わさる領域が強いほど自分の強みになっていくと思うので、それは自信を持っていいと思います。

広野さん:
スペシャリティな人に任せて、自分は横串に専念するというのも1つの手というか。「個の時代じゃなくてチームの時代」って左ききのエレンでも言っていたので(笑)

田川さん:
おすすめは、「ど・スペシャリティにいく」のと「ど・マルチスキルにいく」の2分法で考えないこと。

1つメインのスキルはあったほうがいい。それの選び方が重要で、「ふと気を抜いた時に考えていること」をメインのスキルにする。それ1個だとCXOにはなれないので、その地球みたいなのを1個作っておいて、その周辺に月を逆算型で1個1個やっていく。

Q:どれぐらいのスキルを自分で身につければみなさんの弟子になれるのか?

坪田さん:
僕はスキルレベルはそんなに求めない。100回壊すサイクルについてこられる人だったら誰でもいいかなと。120点の執着を持てるのが基本的な素養だと思っているので、そういう人だったら誰でもウェルカムみたいな感じです。

🌟 🌟 🌟

以上が後半戦でした。どの言葉も学びが多く、全文書き起こしのボリュームになってしまいました…!CXOとは、という話がメインでしたが、今日から実践できる学びがたくさんありました✍️

記載内容に間違いがある場合はご連絡ください。

アーカイブ配信されている動画はこちら。

また、お写真は北島さん(@kitajimannn)が撮影してくださったものを使用させていただきました!ありがとうございました✨


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