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希望と現実のはざまに

今日は雨だったので、自宅で録画消化日に。
WOWOWで録画していた、いつものアメドラ、後は念願だったこの映画を。

『PLAN75』主演:倍賞千恵子
2022年の作品。
少子高齢化社会の更に加速した近未来の日本。
生死の選択の自由を国から与えられるという、衝撃的な物語。

果たして、この「PLAN 75」にそれが対象となった高齢者の主人公と、それを仕事として扱う若い世代はどう受け止めるのか。
現実としたら耐え難いこの制度に、2022年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品された問題作。

物語は終始重く、ずしんと心に伸し掛かり、圧倒する。
自宅のリビングのソファーに座ってみていたが、手元に準備したお茶もそこそこに飲む事を忘れて、眉間に皺を寄せつつ、無言でただただ、画面を見つめていた。
映画は淡々と進んでいっていたが、目が心が釘付けになった。

高齢ではあるが、既に身内がなく、ホテル清掃の仕事解雇され、その後の職を得れずに、夜間警備員や生活保護を受けることをアドバイスされる主人公。このプランを受けると、10万円のお小遣い、定期的な15分のコールセンターからの電話等、切ない映像が続く。
「対象者と直接逢ってはならない」という掟を破って、主人公とお茶をするコールセンターの女性。その際主人公は二度目のパートナーと一緒に来たボーリング場で、美味しそうにクリームソーダを飲んで、「付き合ってくれたから、お金が余って貰って頂戴」とお小遣いを女性に渡す。
孤独とささやかな幸せ。そんな独居高齢者の現実がそこにはあった。
そして安楽死を選択する前日、「特上のお寿司をとっちゃった」と明るく電話口で話す。
布団に入る前に、お寿司の桶を洗って、丁寧に布巾を干す。
そして、翌朝 布団の上で掌を天井に突き出して、じっと見つめる老婆。

「生きる」事をただひたすら考えさせられる映画。

ラストは主人公にとっては幸運なことが起こり、施設を逃げ出して夕陽を見つめるラストで終わっている。
ここまで、ラストの展開に心臓が早鐘を打つようにドキンドキンと波打ってたが、最後の展開に少し救われる気がした。

福祉職員を演じる磯村勇斗は、偶然疎遠になってた叔父がこの制度を望んだ彼を当日施設に車で送る途中、定食屋によって一緒に昼ご飯を食べる。
その後、施設に送迎した後に、叔父のその後が気になり、足早で現地へ向かうが 
時既に遅し、、亡骸をせめてと思い叔父と共に車で施設を飛び出す。
end


常にマイノリティは犠牲になる。
作中でも安楽死施設で遺品整理をするのは外国人で、何か今の日本を象徴してるな、そう思えた。

「生きる」それだけで素晴らしい事。この映画をみてしみじみと感じた。

生に乾杯


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