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パラサイト・ペット(短編小説;4,100文字)
「お、小森君じゃないか、もう体調はいいのか?」
メンタルケアで休職中だった部下が、2か月ぶりに出社した。
「はい、課長。ご迷惑をおかけしました」
「そうか、よかった。しかし、あまり無理するなよ」
彼には軽い作業を与え、仕事ぶりを見守った。
復帰から数日が経ち、少しずつ小森の仕事量を増やした。彼は大過なく、課題をこなしていった。
ただひとつ、気になることがあった。仕事を終えた彼が、何かブツ
『水色の日傘』 # シロクマ文芸部
私の日傘、知りませんか、きれいな水色の日傘。
俺は、インターホンの向こうの声に体中が震え出すのを抑えることができなかった。
その日も帰りは遅くなった。
最近は、ずっと残業続きだ。
その割には、成績は思わしくない。
所長には、毎朝、朝礼で「給料泥棒」と罵られている。
まったく、あれで部下がやる気を出すと思っているのなら、おめでたいもんだ。
ああ言う奴を、昭和の遺物と言うんだろう。
そのうち、誰かに
「探してはいけない」・・・超ショート怪談。五百羅漢に秘められた言い伝えとは。
五百羅漢とは、様々な顔をした修行僧などの群像で、
数は五百とは限らず、数百から数千の場合がほとんどだ。
そして、その羅漢像の中には、必ず自分に似た顔をしたものがあると言われ、有名な寺などでは自分の顔を探そうと、熱心に見て回る観光客も少なくない。
これは、高速道路のドライブインで偶然知り合った高齢の男性から聞いた話だ。
仮にイイダさんとするその男性は、東北のとある小さな村の出身であり、村の外れに
どんな旅館も怖いと思ってしまう話と、実際に怖い体験をした人の話👻
👻本日は、
怖いような、怖くないような、
不思議なような、そうでもないような、
そんなお話でございます👻
これ、すご~くわかるんですよね。
私が一番苦手なのは、ホテルでなくて旅館。
古くなくても、ホテルっぽくリノベーションされていても、怖さは同じ。
最近は、畳の部屋にベッドを置いたりして、半洋風にしているところも多いけれど、怖さは同じ。
押入れに使わない布団が入れてあったりするけれど、夜中に
【2000字のホラー】ドシャエモン
私の住むアパートは壁が薄く、
隣の声がもれるほどでした。
多少の声なら気になりませんが、
漏れ出るこどもの泣き声は我慢ができません。
あまりに尋常でなかったので、一度だけ声をかけました。
「ああ?」
しかし、私は品のない目つきの悪い男に威嚇され、口をモゴモゴさせるのがせいいっぱいで。
チラりとすき間から、生気のないこどもの顔が見えました。
「見るなよ!」
男は威嚇しながドアを閉めまし
トモダチ ♯2000字ホラー
「タカちゃん、ごめん。アタシね、できちゃったっぽいんだよね」
「えっ、できちゃったって、美咲お前マジで言ってんの?だって、お前が大丈夫だって言うから、ずっと生でヤッてたんだぜ。無理だからな。産むなんて言うんじゃねーぞ」
元々の生理不順の傾向はあった。だから気にせずにいたのだが、なんとなくいつもと違う気がして妊娠検査薬を使ってみたら、反応が出た。まさかとは、思わなかった。確かにピルを飲んでいたが、
不思議体験@実家【人間編】
私には霊感はありません。
そんな私ですが、人生で4回だけ不思議な体験をしたことがあります。
1.大好きだった祖母が亡くなった
これは実家が今の場所に引っ越す前の話です。
小学2年生のとき、大好きな祖母が亡くなりました。
共働きの両親にかわって、私を育ててくれた人でした。
幼少期から、夏の間はずっと祖母と二人で田舎の小さな小屋で過ごしました。両親がいなくても祖母がいれば寂しくありませんでした。
『たましい』 # 2000字のホラー
彼が玄関のドアを開けると、妻が笑顔で出迎える。
「お帰りなさい。あなた」
彼から鞄と上着を受け取り、妻は先にリビングに入っていく。
後ろから抱きつくと、妻はこちらを向く。
それを突き放した。
バランスを崩して座り込む妻をそのままに、彼は自分の部屋に入った。
「あなたお食事は」
返事もせずに勢いよくドアを閉める。
椅子に腰掛けると、ズボンのポケットから、携帯電話と昼間もらった名刺を取り出した。
男