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奇譚蒐集帳

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不思議話集。奇妙体験、夢、伝承民話などを集めてみました。
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記事一覧

地蔵(短編小説全文掲載;4,800文字)

地蔵(短編小説全文掲載;4,800文字)

 その取引先を訪れるのは3か月ぶりぐらいだろうか。
(……また、増えてるな)
 正面玄関の横に並んでいるので、否が応でも目に入る。
(ま、ウチの会社も似たようなものだが……)

 ほとんどの仕事は電話やリモート会議で済むのだが、わざわざ出向いたのは、ここの担当者の単純ミスで基幹部品の納期が大幅に遅れたためだ。
 本来ならミスした側が出向いて謝罪し、再発防止策の説明と損害補償について話し合うところだ

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パラサイト・ペット(短編小説;4,100文字)

パラサイト・ペット(短編小説;4,100文字)

「お、小森君じゃないか、もう体調はいいのか?」
 メンタルケアで休職中だった部下が、2か月ぶりに出社した。
「はい、課長。ご迷惑をおかけしました」
「そうか、よかった。しかし、あまり無理するなよ」
 彼には軽い作業を与え、仕事ぶりを見守った。

 復帰から数日が経ち、少しずつ小森の仕事量を増やした。彼は大過なく、課題をこなしていった。
 ただひとつ、気になることがあった。仕事を終えた彼が、何かブツ

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地球の一員として生きる

地球の一員として生きる

今日は少し真面目な話です。
書こうか?どうしようか?迷いましたが、リニア開通工事について実際に目にしたこと、感じたことの記録として、書くことにしました。

あまり楽しい話ではないかもしれません。
でも、目を背けてもいけないと思っています。
少しのあいだ、お付き合いいただけたら嬉しいです。

※ ※ ※

わたしの記事にたびたび登場する森林公園。
広大な土地は、比較的車通りが多い道路に面しており、公

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『水色の日傘』 # シロクマ文芸部

『水色の日傘』 # シロクマ文芸部

私の日傘、知りませんか、きれいな水色の日傘。
俺は、インターホンの向こうの声に体中が震え出すのを抑えることができなかった。

その日も帰りは遅くなった。
最近は、ずっと残業続きだ。
その割には、成績は思わしくない。
所長には、毎朝、朝礼で「給料泥棒」と罵られている。
まったく、あれで部下がやる気を出すと思っているのなら、おめでたいもんだ。
ああ言う奴を、昭和の遺物と言うんだろう。
そのうち、誰かに

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【怖い話】すすり泣く女の声

【怖い話】すすり泣く女の声

JR中央本線の名古屋駅発、多治見駅行き。
名古屋の高層ビル群や春日井の住宅地を過ぎると、電車は庄内川に沿って谷あいの薄暗い区間を走っていく。

途中に駅があるが、もちろん無人駅である。
定光寺駅と古虎渓駅。
トンネルとトンネルに挟まれ、崖に這いつくばるように存在しているプラットホームを利用する乗降客は、1日300人程度。

結構乗降客が多いように見えるが、近所に民家はほぼ無く、旧中央線のトンネル遺

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私が見た夢が正夢になってしまった出来事の話

私が見た夢が正夢になってしまった出来事の話

今日は私が見た不思議な夢の話をしようと思います。

note世界の旅をしている時に出会った気になる記事があって
今日は夢の話にしました。

いつも歴史のお話をされている千世(ちせ)さんです。

千世さんの長男さんの不思議な夢のお話しをされていました。

note🔍をするとやはり不思議な夢の話をされている方は他にもいました。

実は私も以前不思議な夢を数回見た事があるのです。不思議なのか不気味なの

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「探してはいけない」・・・超ショート怪談。五百羅漢に秘められた言い伝えとは。

「探してはいけない」・・・超ショート怪談。五百羅漢に秘められた言い伝えとは。

五百羅漢とは、様々な顔をした修行僧などの群像で、
数は五百とは限らず、数百から数千の場合がほとんどだ。
そして、その羅漢像の中には、必ず自分に似た顔をしたものがあると言われ、有名な寺などでは自分の顔を探そうと、熱心に見て回る観光客も少なくない。

これは、高速道路のドライブインで偶然知り合った高齢の男性から聞いた話だ。

仮にイイダさんとするその男性は、東北のとある小さな村の出身であり、村の外れに

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どんな旅館も怖いと思ってしまう話と、実際に怖い体験をした人の話👻

どんな旅館も怖いと思ってしまう話と、実際に怖い体験をした人の話👻

👻本日は、
怖いような、怖くないような、
不思議なような、そうでもないような、
そんなお話でございます👻

これ、すご~くわかるんですよね。
私が一番苦手なのは、ホテルでなくて旅館。
古くなくても、ホテルっぽくリノベーションされていても、怖さは同じ。
最近は、畳の部屋にベッドを置いたりして、半洋風にしているところも多いけれど、怖さは同じ。
押入れに使わない布団が入れてあったりするけれど、夜中に

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「アイ」

「アイ」

「はじめまして」
「はじめまして。今話し合っているところよ」
 ガヤガヤと賑やかなざわめきに満ちている。
「私の主人はいい人なの。人前ではいつも笑顔だし。でもね、匿名で酷い書き込みしてるの。口には出せないような酷いことを」
「私のところは、違法な写真ばかり集めているわよ。こっそり見て喜んでるわ」
 あちこちからクスクスと笑いが起き、本当にイヤですね。と言葉を交わす。

「うちなんて、人を殺してます

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【2000字のホラー】ドシャエモン

【2000字のホラー】ドシャエモン

私の住むアパートは壁が薄く、
隣の声がもれるほどでした。

多少の声なら気になりませんが、
漏れ出るこどもの泣き声は我慢ができません。

あまりに尋常でなかったので、一度だけ声をかけました。

「ああ?」

しかし、私は品のない目つきの悪い男に威嚇され、口をモゴモゴさせるのがせいいっぱいで。

チラりとすき間から、生気のないこどもの顔が見えました。

「見るなよ!」

男は威嚇しながドアを閉めまし

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トモダチ ♯2000字ホラー

トモダチ ♯2000字ホラー

「タカちゃん、ごめん。アタシね、できちゃったっぽいんだよね」
「えっ、できちゃったって、美咲お前マジで言ってんの?だって、お前が大丈夫だって言うから、ずっと生でヤッてたんだぜ。無理だからな。産むなんて言うんじゃねーぞ」

元々の生理不順の傾向はあった。だから気にせずにいたのだが、なんとなくいつもと違う気がして妊娠検査薬を使ってみたら、反応が出た。まさかとは、思わなかった。確かにピルを飲んでいたが、

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命の水

命の水

散歩の時によく通る細い路地には、年季が入った古い長屋が並んでいた。

明治・大正・昭和初期にかけて建てられた日本家屋の、あの独特の佇まいが好きな私は、この長屋の筋がお気に入りで、散歩の時にはいつも必ず通るようにしていた。

この長屋は、今どき珍しく満室のようで、どの部屋も昔から住んでいる住人ばかりだった。そこに漂う気配から感じるに、皆さん、ご高齢者なのだろう。

少し開いた窓から聞こえるテレビの音

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不思議体験@実家【人間編】

不思議体験@実家【人間編】

私には霊感はありません。
そんな私ですが、人生で4回だけ不思議な体験をしたことがあります。

1.大好きだった祖母が亡くなった

これは実家が今の場所に引っ越す前の話です。
小学2年生のとき、大好きな祖母が亡くなりました。
共働きの両親にかわって、私を育ててくれた人でした。
幼少期から、夏の間はずっと祖母と二人で田舎の小さな小屋で過ごしました。両親がいなくても祖母がいれば寂しくありませんでした。

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『たましい』 # 2000字のホラー

『たましい』 # 2000字のホラー

彼が玄関のドアを開けると、妻が笑顔で出迎える。
「お帰りなさい。あなた」
彼から鞄と上着を受け取り、妻は先にリビングに入っていく。
後ろから抱きつくと、妻はこちらを向く。
それを突き放した。
バランスを崩して座り込む妻をそのままに、彼は自分の部屋に入った。
「あなたお食事は」
返事もせずに勢いよくドアを閉める。
椅子に腰掛けると、ズボンのポケットから、携帯電話と昼間もらった名刺を取り出した。

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