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日々是写真📸

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写真家さんに撮影して頂いた写真とあれやこれや話
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#みんなの文藝春秋

『潤さない男』/ 村田は綴る📸✍🏻

『潤さない男』/ 村田は綴る📸✍🏻

『潤さない男』

お互いいい歳になりましたね。とガラス越しの穏やかな日差しの温みの中、互いの刻まれた皺を愛おしく見つめ、たっぷり注がれた泡あわのラテを両手で包みこむ。

随分過ぎた日のことだしと、ある時の恋愛話を何気なく話しだす。

「 え わたし その人、苦手なんだけど 」
「 え 」

そうか、そうなのか。わたしは宙を見上げた。
わたしのこころがカラんと鳴る。
何を考えるともなくバッグからハン

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『潮騒のインターホン』/村田は綴る、写真日記✍🏻

『潮騒のインターホン』/村田は綴る、写真日記✍🏻

セールスのお兄さん、ピンポ〜ンとインターホンを一押し。

「 . . . . . . 」
一押しのみ。
「 . . . . . . 」
エ? 一押しのみ!?

居留守を使うが、あまりの粘りのなさに意表を突かれる。
容色に優れているものの、場を弁えすぎるのも考えもの。
もう少し押してくれても良かった。粘りのある男かと期待をしてしまった。
面倒くさがりのわたしだとて、たまには、猛烈にアプローチを受けた

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日々是写真📸 / 中間の人。

日々是写真📸 / 中間の人。



「闇の中でも光を集める人」か、
「光があろうと闇に潜む人」か。

オプティミスト(楽観主義的)か、
ペシミスト(悲観主義的)か。

でもどうだろう。
夢見心地な人か、現実的な人か。

どちらにしても思ってもいない能力を発揮する人のように思える。
... そうだなぁ。わたしは中間に属したい。

とりあえず、疲れてる人はおやすみください。



photographer / 鶴田直樹 

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心音-Heart sounds🫀

心音-Heart sounds🫀

心音-Heart sounds

少し乱れがちのわたしの心音です🫀。

"music"
All Voices by:Chisa Murata 村田千沙
Music Directed&Editing by:Tsutomu Shimizu 清水勉
Music by:Palestrina-Motet / Sicut lilium inter spinas (1525?-1594)

『MOON』
ph

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独身独歩記、某日日/村田の写日記✍🏻

独身独歩記、某日日/村田の写日記✍🏻

某日日、

戦争がはじまって、仕事が忙しくなったかたもいらっしゃるよう。体調を崩し、帯状疱疹がでて辛いと言う投稿や、何故だか発症したという人の投稿を見かけます。テレビCMでも「帯状疱疹にはコレ!」みたいな商品宣伝を見かけます。季節の変わり目も関係するのでしょうか。
また、戦争によって、歯科でもメタル不足なので、みなさん銀歯を、歯を大切に. . . 


椿は中国、次いで日本で人気が出たそう。

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2011. 3. 11 #東日本大震災

2011. 3. 11 #東日本大震災

2011. 3. 11

2014年、大切な人のところへ、福島県いわき市小名浜港にて。

『新相馬節』 (福島民謡) 
ShinSomaBushi (Fukushima folk song) 

薩摩琵琶 / 徳 將城  Masanari Toku
歌 / 村田千沙

ハァー
遥か彼方は 相馬の空かよ
ナンダコラョート
相馬恋しや 懐かしや
ナンダコラョート

ハァ

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独身独歩記、某日日 /村田の写日記✍🏻

独身独歩記、某日日 /村田の写日記✍🏻

独身独歩記、某日日。

__長崎の家の、八朔。祖父が植えた八朔。
とくに手入れしなくても、毎年たわわわわわ🍊

__揚げ銀杏。ぎんなんは"揚げ"が一番好き。剥いて食べるまでに30分もかからないから、思わずたくさん剥いてしまう。でも、食べ過ぎるとよくない。今朝、怖い夢をみた。目の前で、同じ人が同じカーブで3回もバイクでスリップする。3回目があまりにも悲惨で、「もう駄目だと思うわたし!」と動揺し振り

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独身独歩記、某日日/村田の写日記✍🏻

独身独歩記、某日日/村田の写日記✍🏻

某日日、

⁡__今週は、イベント演奏のお仕事が中止になり、ふぁ〜と気が抜けたようで、抜けていない。心づもりができていたので、変わりない毎日が過ぎたような。でも、この状況に慣れてしまっているのか、熱っぽくならない自分に不安。地に足がついていない、ほわほわした頭で生きているのが、わたしらしいのに、ベタっと床に張りついた足下に冷やっとする。冷えちゃいかん、いかんいかん、ほわほわ火照らなきゃ。

__今

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独身独歩記、某日日/村田の写日記✍🏻

独身独歩記、某日日/村田の写日記✍🏻

某日日、

苺ジャムをこっそり舐めまわす子どもっているでしょう。これも、その手のうっかりできないタイプ。すりつぶした安納芋と林檎のバタージャム。バターって言うほどベトベトしていないのがいいけれど、苺ジャムよりごっそり食べてしまうので減りがはやい。脂肪はふくらむ。わが家はふたつ目、薬局で購入。病院から処方箋を持って、順番待ちしている間にこれ。手を出さすにはいられなかった。危険だなぁ。歯の根がゆるみそ

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『静寂のピラミッド』/ 村田は綴る✍🏻

『静寂のピラミッド』/ 村田は綴る✍🏻

『静寂のピラミッド』

清潔な空間に、穏やかにその時を待つ人の姿。微妙なこころの揺れ。よろこびもあれば、かなしみもある。けれど無機質。病院。

カーテンを開け閉めするシャーっと乾いた音。パタパタと小走りな看護師の足音、制服のきぬずれの音。器具が当たるカチャカチャと控えめな音。静かな話し声。低血なわたしに湿度の低さが心地いい。

患者が立ち入らないバックルームでは、薬剤師が、すべすべしたシルクの

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『歳下の青年』 / 村田は綴る✍🏻

『歳下の青年』 / 村田は綴る✍🏻

 ふたまわり近く年齢差のある歳下の男性とお付き合いをしている。
 彼は若手声楽家、芸能全般をやっている。青学を卒業し、好きなうたの世界に入った。
 身長は170センチちょっとくらいの細身。髪は昔のキムタクを彷彿とさせる、今時珍しいふんわり艶のあるロングヘア。お顔は、ぼやけてよくわからないが、スルんとシミひとつなく、透けすぎない丈夫そうな白い肌、切れ長の柔和な目元、薄い唇、鼻はささやかに付いている程

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虚無を抱く / 村田は綴る✍🏻

虚無を抱く / 村田は綴る✍🏻

「君は観賞用にできている」と言葉で女を撫でつける。そうやって想像し本能を駆り立てているのだ。その淫らな響きの心地よさに女は微笑む。

花を頂く茎のように、真っ直ぐに伸びる手脚をずっと愛でていたいと男の硬い指は女の柔らかな肌の上をゆっくりと這う。
女は旬を過ぎ、男は天に近い。燃え盛った時期を思い出す様に指の腹だけに意識を集中させる。じっとりとした目つきと静粛な息。

. . . . . 喘ぐ

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日々是写真📸 / 2021年、春。

日々是写真📸 / 2021年、春。

ひさかたの光のどけき春の日に
静心なく花の散るらむ

百人一首 33番
古今和歌集 巻2・春下・84
歌人 : 紀友則(850〜904)



知人に赤ちゃんが産まれました。
気にかけて下さっていた方が儚くなりました。

光は絶えず私たちを照らし花は誰にも降りそそぐ。

明日が絶え間ない光の日々でありますように。

2021年、春。

photographer 鶴田直樹



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終わりの終わり。/ 村田は綴る✍🏻

終わりの終わり。/ 村田は綴る✍🏻

終わりの始まりをはじめる。

私はこの人のこう言うところをいつか愛おしくなって泣くのだろうか。
終わりを始めて終わりを思う。
私は終わりを受け入れているのだろうか、どう受け入れているのだろう。
そしてその終わりが終わるのはどれくらい時間がかかるだろう。
終わりの終わりを終えた時には私はどこに在るのだろう。
私はまるで何も始まらなかった様に還ろうと願うかもしれない。
そして、私がこの世界から居なくな

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