見出し画像

霧が晴れたとき 観察会レポート<K峠編>2/3話 2024年7月

 先日、みやま会の生きもの観察会に参加してきました。
 場所はM峠からK峠です。

 天気予報はくもりだったのに、朝からあいにくの雨でした。

 車に乗り合わせてM峠を移動しました。
 計3箇所、道路脇に車を停めて、霧の向こうの鳥の鳴き声を楽しみました。

 事件は3箇所目を見た後に起こりました。

 運転手のサチさんが
 「今年はK峠に行かないのね」
 そうつぶやいて二つに分かれた道を左に進みました。

 自然資料館に着いたところ、誰もいません。
 後続の車が一台ついてきました。

 誰かと連絡が取れないかと、知り合いに電話を掛けまくりました。
 その結果、白雪さんのスマホから彩美さんのスマホ経由で役員につながったのでした。

 彩美さんはカラーコーディネート抜群でハキハキしたお嬢さんです。
 誰にも繋がらなかったので、電話に出てもらえて良かったです。

 聞いたところ、みんな右に曲がってK峠に向かったそうです。

 サチさんは
 「これから向かうから」

 K峠に向かうサチさんの車に、同乗者がもうひとり増えて5人になりました。
 もう帰るという人は、もう一つ別の車に乗りました。

 サチさん号は大急ぎでM峠を走りました。

 この頃から周囲の霧が晴れて少しずつ明るくなってきていました。

 途中で役員からサチさんに電話が入りました。
 今時の車はハンズフリーで、やりとりがすべて聞こえます。

 「今、どこ?」
 もう帰るけどって言いそうな役員に
 「もう少しで着くから、もう少し待って」
 後ろの座席からお願いする私。

 実際、もうだいぶ走って近くまで来ていました。

 滝の横を走った時、茶色い鳥が飛び出してきて、車の真ん前を飛びました。

 後部座席の真ん中に座った私には正面の光景がよく見えました。

 車の前を大慌てでジタバタジタバタと飛ぶ茶色いピンポン球サイズの鳥。
 ごめん、車はそっちに行くんだけど。

 やがて横に飛んで見えなくなりましたが、あれはミソサザイだったと思います。

 カーブをいくつか曲がったところで視界が開けました。
 車が数台停まっているのが見えます。

 こうして、みんなと合流できました。

 「なんとかたどり着きました~」
 ヘロヘロ風に近寄ると
 「お疲れさまー」
 と、ねぎらってもらえました。

 先ほどまで反対側の谷の斜面にクマがいたそうです。
 「カラ松の後ろに見えなくなった」
 ということでした。

 「そこにカモシカ、あっちにビンズイ」

 そうに言われたので、まず鳥を探しました。
 「ビンズイは?」
 「そこの岩の上」

 大きな岩があって、上にビンズイが乗っていました。

いた
ビンズイ

 次はカモシカを探しました。

 「カモシカ?教えてあげる」

 参加者たちが面白そうに教えてくれました。
 「そこの石に乗る」
 「目の前に石がいくつかある、その一番奥」
 「あっ、いた!」

 大きな石がいくつもある一番奥にベージュの塊がいました。
 周囲の人から「見つけるのが早い!」と褒めていただきました。

そっぽ向いているカモシカ

 残念ながらカモシカは草むらに伏せたまま、にんげんの方を見向きもしませんでした。

 「そろそろあがりましょう」
 役員から声がかかりました。

 参加者はまだ名残惜しくて「反対側はどうなっているのかね」と言い、違う方向に歩きました。

 「そこに鳥!」
 さっそく集まってみんなで鳥を観察しました。
 「あれってノビタキじゃない?」

 頭の黒い、夏羽色のノビタキでした。

 ノビタキを楽しんだ参加者はやっと帰る気になり、重い腰をあげました。

ノビタキ

3につづく。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?