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論文を書かない人にもすすめたい『論文の書き方』(清水幾太郎)

こんばんは。これまで読んだ中でおすすめの本を紹介します。

今回は『論文の書き方』(清水幾太郎著、岩波文庫)です。(https://www.iwanami.co.jp/book/b267409.html)

私が論文が書けなくて悩んでいた時に、恩師から紹介してもらったもので、それから何度も大切に読んできました。

この本は、社会学者の清水幾太郎先生が、論文を書くまでの心がまえや苦労、実際の取り組み方などを説明している本です。この本の特徴は、いわゆるハウツー本(具体的方法を示す本)ではなく、文章を書くときに抱える悩みとの付き合い方を教えてくれるところです。著者がこれまで文章を書いてきた経験にもとづいて、読者に伴走してくれるように説明がなされます。

たとえば、文章を書こうとしても書けなくて、いらいらしたときに、何度もシャボン(せっけん)で手を洗うといった体験談があります。私も、文章が書けないときは、落ち着くためにコーヒーを飲んだりします。また、何度も何度も同じ曲をリピートして聴きます。どんなに偉大な学者でも書けなくて悩んでいたのかと思うと、小さな私も何となく気が楽になります。

もちろん、まったく「論文の書き方」を説明していないのではありません。「書くことは観念の爆発である」といった表現や、「書く前に人に書く内容を話し過ぎない方がよい」といった考え方は、なるほどと参考になりました。

今では、この本でなんとかいくつかの文章を書いたあとも、お守りのように大切にしています。まとまった文章を書かなければならないときは、カバンに入れて持ち歩くだけでも安心します。

この本は、学術的な論文を書く人だけでなく、いろいろな文章を書く皆さんにおすすめしたい1冊です。

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