ピンの価値とは(中編)

前回に続き、ピンの価値についてです。今回で話は一旦区切りがつきますが、後日後編を書こうと思っています。そしてその後編で実際のトレードの時の立ち回りを書くので、前編中編だけ読んでいきなりトレードに適用するのは少し危険です。

前回は、ピンを比較する際に使う指標としての「価値」と、その背景について紹介しました。今回は、自分のピンの価値をどう決めるのかについて語ります。

前編はこちら。

価値は具体的にどう決まるのか

前回も少し触れましたが、価値は通常、金銭的指標として語られます。ピントレーディングがUSで盛んなことから通常は単位としてUSドルが用いられますが、日本人が相手であれば日本円でも特に支障はありません。

金銭授受を伴わないトレードという行為に金銭的指標が持ち込まれることに違和感を持つ人も多く存在するようですが、今のところこれが一番わかりやすいということなのでしょう。
また、オークションやフリマを見ていただければわかるように、ピンは売れます。つまり明らかに現金化の手段が存在する中でわざわざ物々交換をすることになるので、私見ですが一部のトレーダーは常に「売るのとトレードするのとどちらが得か」を考えながら行動しているように思います。

では価値は誰が決めているのかというと、自分のピンの価値は自分で決めるものです。他の誰かが「そのピンは$5だ」と言っても、あなたが$100だと思えばあなたのそのピンの価値は$100です。
皆が$5だと思っているピンを$100だと言い張ると、きっとトレードは成立しません。それでも$100だと思ったら$100でいいのです。

実際のところどう決めればよいのか

とはいえ、ちゃんとトレードが成立するような現実的な価値設定をしたいと思うのも当然の心理なので、実際どう決めればよいのかについて少し語ります。詳しい話は次回しようと思いますので、今回は概念的な話にとどめます。

イメージとしては、フリマで売る時の値付けが一番近いと思います。
いくらで入手したのか、自分はどれぐらい大切に思っているのか、周囲の人たちは同じピンを持っているのか、同じようなものはいくらで売られているのか、など様々な要素から価格を決めるのですが、例えばメルカリなどを見ていただければわかるように、同じピンでも人によって値付けが異なります。それでいいのです。

また、ピンそのものではなく持ち主の状況、例えば「すぐにでも手放して他のピンと交換したい」なども価値に反映させることができます。引っ越しの時のジャンボピンなどはまさにこういう状況になりやすいのではないでしょうか。

また、もうひとつのヒントとして教科書に載っているような図を出してみます。

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市場経済の基本は需要と供給です。基本的にここのpriceの部分が価値だと思えば問題ありません。供給と比較して需要が高い状態では価値が高く、供給過多の状態になると価値は低くなります。これに照らし合わせ、キャラクターやデザインの人気度や入手しやすさなどの要素を考慮して価値を設定していけばよいのです。

どれかひとつのピンの価値を決めてしまえば、他のピンはそのピンとの相対比較で決めることができますので、まずはひとつ決めてみましょう。

相手のピンの価値は?

トレードなので相手のピンの価値も知らなければなりません。ただ、相手のピンの価値は相手がつけるものです。トレードにおいてできることといえば、相手のピンの価値を聞き、自分はそのピンにそれだけの価値を見出すかどうかを考えることだけです。

納得すれば話を進め、納得しなければ断ればよいだけです。

間違っても「いや$100なんてありえない!そのピンは$5だ!」なんて言ってはいけません。「そのピンの価値が高いのはわかりましたが、私が思う価値とは少し違うので今回は諦めます」と言って退散するのです。

前回の例から価値を考える

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前回の例でいうと、エディションサイズ(LE数)という指標では測れなかった、ピンの古さ、人気度、入手の難しさというようなものは価値を決めるときに加味することができます。

ちなみに、私が考える価値はティンク > 小人です。小人は正直どれだけ頑張っても定価+αぐらいの価値(最大約2000円)しかつけられません。入手時にした苦労といえば中国語会話ぐらいで、すんなり入手できましたし、誰も欲しがってくれないので…。もし何らかの理由ですぐ手放したいと思ったら、躊躇なく定価より下を提示します。
ティンクは私の気持ちが入ってしまう部分もありますが、どんなに譲歩しても5000円を下回ることはない、かなぁ…。古いピンで、WDI(一般人が購入不可)、凝ったギミック、購入時の価格、個人的な愛着、などなど。

後編で更に詳しく語ります。

雑感

今回これを書いて新たに気になったのは2点です。

物々交換から貨幣の登場に至る経緯も同じような課題があったのだろうかという思いを馳せてみた
トレーディングカードや缶バッジなど他のトレード界隈でどういうトレードがなされているのかが気になった

特に2点目は本当に興味があるので、お知り合いに詳しい方がいらっしゃる場合はぜひご紹介ください。

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