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第6回:「つみたてNISA」は純資産総額が右肩上がりの商品を選べ!

初心者の方でも失敗しない「つみたてNISA」の銘柄選びのポイント第5弾。

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今回は「純資産総額が右肩上がりの商品を選ぶ」です。

①純資産総額とは何か?

純資産総額とは、ひらたく言えばファンドの規模を表すもので、そこに組み入れられている株式や債券など資産の時価総額で決まります。基本的に純資産総額というのは投資家がファンドを購入すると増えていって、売却すると減ってしまうものなので、この純資産総額の推移を見れば、そのファンドにどれだけお金が集まっているか、つまりどれだけ人気があるファンドかを知ることができます。

ところで、時価総額ということは、この数字は増えたり減ったりするというわけです。

1つは、今述べたように、資金の流出入です。新たにファンドを購入する資金が流入すれば純資産総額は増加しますし、解約によって資金が流出すれば減少します。もう1つは、組み入れられている資産の価格変動です。組み入れられている資産が値上がりすれば増加しますし、値下がりすれば減少します。
*正確には、ここに利息や配当金などのその他の収入を加え、そこから運用費用などを差し引いた金額が純資産総額になります。

純資産総額の計算方法

純資産総額は、ファンドの組入資産の基準価額受益権総口数をかけ合わせたものです。まずは、この仕組みについて解説します。

「口数」というのはファンドを購入したり売却(換金)したりする際の取引単位のことで、株式でいうところの株数と同様の意味です。ファンドは1口=1円で設定され、通常1万口当たりの価額で売買されるのが一般的です。そして、そのファンドを保有している人(受益者)が持っている口数をすべて合わせた総口数のことを受益権総口数といいます。

「基準価額」というのは1万口当たりの価額をいいます。1万口が取引単位であるので、「基準価額」とは、すなわち投資信託(ファンド)の値段のことです。

投資信託の基準価額は、1日1回だけ算出され、運用会社や販売会社のホームページで公表されます。ただし、基準価額の公表は、すでに投資信託を保有している投資家の利益を守るため、投資信託の取引申込みが締め切られた後(夕方7時前後)に行われます(これをブラインド方式といいます)。証券取引所に上場している株式は、市場が開いている間、刻々と株価が変動し、その時々の株価で売買されますが、投資信託の基準価額は、株式のように1分1秒ごとに価格が変動するものではありません。

では、その基準価額はどのようにして決まるのかというと、ファンドの「純資産総額」を、受益権総口数で割ることで計算します。

例えば、Aさん・Bさん・Cさんが、それぞれ5万口・2万口・3万口購入した総口数10万口のファンドがあったとします。投資のプロ(運用会社)へ支払う運用費用を差し引いた純資産総額15万円だった場合、このファンドの基準価額は以下の通りとなります。

純資産総額15万円÷総口数10万口=1.5円となりますが、先述したように、多くのファンドは1万口当たりの金額基準価額を表すため、さらに1万倍して、基準価額は15,000円となります。

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なお、余談ですが、自分が保有するファンドの価値(評価額)は、保有口数と基準価格を使って算出します。例えば、90万口保有する投信の基準価格が1万2000円(1万口あたり)の場合、評価額は「90万口×(1万2000円÷1万口)」と計算し、108万円となります。基準価格が1万5000円に上がれば、評価額は「90万口×(1万5000円÷1万口)=135万円」に増えます。

③純資産総額が減少している場合

さて、もう一度言うと、純資産総額というのは、基準価額受益権総口数をかけ合わせたものです。ということは、純資産総額が右肩下がりに減少している場合に考えられる要因は二つ。

一つは基準価額が減少している場合です。純資産総額の減少とともに基準価額も下落していたら投資対象の値下がりによる減少と考えられます。

もう一つは受益権総口数が減少している場合です。純資産総額が大きく減少しているのに基準価額が大きく下落していない場合は売却による換金(あるいは解約)、つまり投資家が他のファンドに乗り換え、資金が流出していると判断してよいでしょう。

なお、分配金が支払われた場合にも純資産総額は減少します。この場合は、一時的なものなので心配する必要はありません。直前に多額な分配金が支払われていないかについても確認してみましょう。

問題は、一定期間内の基準価額が上昇しているにも関わらず、純資産総額が増えていない、あるいは減少しているファンドです。これは、資金が流出していると考えられるので、こうした投資信託を購入することは避けた方が無難です。

④繰上償還の危険性

純資産総額が減っているファンドの場合、その規模が大きくなれば運用に支障が出ます。そうなった場合、ファンドが繰上償還されてしまう恐れがあります。繰上償還とは、あらかじめ決まっていた信託期間が終了する前に、投資信託の運用が終了することです。つまりファンドの解散です。そうなった場合、運用損益がどうであれ、運用していた資産は強制的に売却され、損益が確定してしまいます。

つみたてNISAの非課税枠は、商品を売却すると使用済みの状態になって、運用していた分の非課税枠は消滅してしまいます。資産運用というのは運用期間が長くなればなるほど、たくさんの利益が期待できます。本来であれば20年運用して多くの利益を非課税にできたはずなのに、償還が起きると中途半端な期間で強制的に利益を確定させられてしまうことになるのです。

一般に投資信託説明書(目論見書)には繰上償還となりうる最低口数が記載されています。これに近づいているのであれば、保有し続けるかどうかを検討する必要が出てきます。

⑤ファンドの収益源は信託報酬

ファンドの収益源というのは信託報酬です。

信託報酬とは、投資信託を管理・運用してもらうための経費として、投資信託を保有している間はずっと投資家が支払い続ける費用のことです。

信託報酬は「純資産総額に対して何%」といった形で毎日差し引かれます。つまり、ファンドの純資産総額に応じて運用会社の収益も増減するということです。

純資産総額が1億円で信託報酬が1%だったらファンドの収益は100万円しかありません。しかし、純資産総額が1000億円あったら、同じ1%でも収益は10億円にもなるわけですね。だから、純資産総額が大きいファンドであるほど償還の心配はありません。

そこで、純資産総額が順調に増えているファンドを選ぶのがいいというわけです。

ただ、信託報酬が安い商品であればそれなりに人気が高いものが多いので、純資産総額は右肩上がりに増えているものがほとんどです。

だから、そこまで神経質になることはありませんが、信託報酬と同様に純資産総額というキーワードも頭の片隅に入れておくといいと思います。


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