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七 ヒマリさんの館は、その壁面や庭こそ荒れているけれど、玄関の扉をくぐるとすぐに…
それから僕は、リビングで兄の同席のもと、母から厳しく問い詰められた。ヒマリさんの館にい…
翌朝五時、目覚ましが鳴る一時間も前に目が覚めた。 今日は待ちに待ったヒマリさんとのク…
カフェ・ルナティのケーキはとにかくおいしくて、僕はあっという間に食べ終えてしまった。ヒ…
ところが、庭の門から出る直前で僕の足は止まってしまった。 「どうしたの」 門の外でヒ…
「母さん、明日の土曜、昼から出かけたいんだけど」 学校から家に帰るなり、僕は台所で母に…
衣装部屋なのに、部屋の隅に黒くて小さいスピーカーが二つ並んでいて、ソプラノの歌声が響いていた。小鳥が水面を啄んでいるような、かわいらしく軽快な曲だ。 「着替えるときも、音楽があるんですね」 「もちろん。だって、ここから別世界へ誘われるのよ」 彼女は僕の肩をふわりと押して、ドレッサーの前へ促した。柔らかな白いスツールに座らされる。たちまち、大きな三面鏡に僕の戸惑い顔が映った。女子みたいだと揶揄される、頼りない顔…… 「本当に、綺麗な顔ね」ヒマリさんが淡いため息をついた
三 薄青い空に流れる雲を眺めながら、ルーベンスの絵の空を連想する。昼の青も夕方の…