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桂花(金木犀)と試行錯誤と。   【#ブリリアントブルー おまけ】

【この短い散文は、はじめに中国語で書いたものをあとで日本語に訳したものになります。】

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毎年この時期になると、遠くからゆっくりと秋の足音が聞こえてくる。

昨日の夜はやっぱり好きだ。外は23度、北風。

そこかしこから流れてきたのは心に沁み入るような金木犀の香りだ。ねぇ、金木犀、あなたが私の手をしっかり握っていてくれたから、私は安らかな気持ちで歩くことができたよ。

マンションの敷地内いっぱいに金木犀の木が植えられている。

ある日、出勤しようとして一つ一つの金木犀を見上げながら、どうして今までこんなに凛と美しく立つあなたたちに挨拶もせず通り過ぎていたのだろう、と思った。

秋は一つの歌。 爽やかで、それでいてまろやかで、清々しく、そして侘びしく。「感じる心」を取り戻せと私にいう。季節を想い、感傷的になる日々をも。

この一年、ずっと続いていた目まぐるしく忙しい日々は来週末には終わりが見える。

やっと一息つくんだ...

明け方5時に帰る日々なんてもうたくさん。


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【中国語原文】
每年到了这样时节,远处传来秋天的脚步声。
我还是喜欢昨天夜里。23度的外边,北风。
无处不在,沁人心脾的桂花香。桂花呀,一路上有你紧紧握住我的手,让我安然又踏实。
公寓的院子里,栽得满满的都是桂树。
有天上班,看着那一珠珠桂树在想我为什么从来没有跟你那样姿体端丽的树花打招呼。
秋是一个歌。又爽又熟又清又寂。让我恢复感概,伤春悲秋的日子。
连续这一年的忙碌在下周末走向尾声。终于可以长嘘一口气。凌晨5点回家的日子,已经够了,不用再有了。


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なんで先に中国語で原文を書くことになったのか


先日、「ブリリアントブルー 公開フィードバック」というオンラインイベントで私の書いた文章を仲さん、嶋津さん、池松さんにフィードバックしていただきました。(ブリリアントブルーの詳細は仲さんのこちらの記事をチェック↓↓)

(収録の様子)

ブリリアントブルー キャプチャ


そこでね、収録後に4人でお話をしていて、仲さん(右上の紺の服の方です)が「外国語(私の場合は中国語)ができるなら、中国語で書いてみて、それを自分で翻訳してみたらまた違った感じのものが書けるかも」と言ってくださったんですね。「外国に住まわれている方の文章って日本語でも独特のリスムがあるんです」とも教えてくださって。

はっとしたんです、その手があったかあ〜と。中国生活から帰ってきたときに一回日本語をだいぶ忘れててめちゃくちゃになっちゃったことがありまして、未だに自分が正しい日本語を書いているか自信がないものだから、すこしでもきれいな整然とした日本語を書くことに集中していたんです。それに、通訳、翻訳の仕事をしていたもんだから、いつの間にか中国語が仕事のものになっていました。

中国語で思考し、情緒を描くエッセイを書いてみるとどうなるのか。もしかして違う発見があるのかしら。

フィードバックの中でもっともっとたくさん課題は見つかったし、せっかく頂いたものだから、エクササイズのように何でもやってみたいと思っています。その中でもすぐに取り組めるものとして、試しにやってみました。

行う上で意識したのは、中国語の原文を書くときは頭の中の思考で使う言語も中国語だけにし、日本語に訳す時には必ず日本語だけを使って思考することです。そう意識することで、いつもと違う発見があるかもと考えました。

実際に試行錯誤したあとの発見

まず、1つ目の発見は中国語のほうが圧倒的に一文一文が短くなること。もちろん私の語彙力の問題でもありますが、仕事で使う時には長い文章を組み立てることもあるので、そう考えると情緒的なことを書こうとした途端そうなるのかしら。今回は過去に新卒で入ったときの会社を辞めたときのことを思い出しながら書いたので、記憶が写真や短いムービーみたいに断片的だったからなのか。ここは回数を重ねるとまた変わるかもしれません。

そして2つ目の発見が、また面白くて。中国語で思考しながら情緒的なことを書こうとすると、頭の中に音楽が流れるんです。音楽は、どこかで聞いたものが出てきてるのか何なのかわからないんですが...。でも、曲名がわからないから初めて聞く曲のような気がする。どんな曲かは説明しづらいんですが、ヒーリングミュージックとテクノが混ざった感じ?かな。めちゃくちゃですね。(笑)歌詞はありません。

この2つ目の発見が自分でもびっくりです。最初は気のせいかなとも思ったんですが、やっぱり鳴ってる感じがあるんですよね。日本語で思考しながらエッセイ書いてるときは流れません。だからわざと何か音楽を流したりするんですが、中国語で書くときは音楽要らずです。これは一種の共感覚ってやつなのか.......はて。

そして3つ目の発見は、ありきたりなもんです。やっぱり、日本語文(今回だと訳した方の文)のリズムがすごく変わるし、日本語で思考したときには使わない表現が出てきます。「秋は一つの歌」とかも日本語だと言わないだろうし、文の中で突然金木犀に話しかけたりしないし、「もうたくさん」とかも使わないかな。あとは詩の要素が一気に濃くなりましたよね。いやこれはやはり私の語彙力の問題か..。まだまだ鍛錬の数が必要。


と、今回はここまでです。話すように書いちゃった。

輝く文章は何かの旅はまだまだ続きますね。

でも、ブリリアントブルーに思い切って応募しなければここまでさえもできませんでした。本当にありがとうございます。

ブリリアントブルー、次回も楽しみにしています!








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