国連・障害者権利委員会による日本の第1回報告書審査――障害のある子どもの権利に関わる質問
8月22日から23日にかけて、ジュネーブ(スイス)で国連・障害者権利委員会による日本の第1回報告書審査が行なわれました。審査の様子は以下のアーカイブ動画で確認できます。日本語による通訳および回答は、ボリュームマークの右にある丸(Language)をクリックして Original を選択すると聞くことができます。
-22日:https://media.un.org/en/asset/k1k/k1k93alkiw
-23日:https://media.un.org/en/asset/k1m/k1mf5n4xhk
いくつか報道記事も出ていますが、佐賀新聞(共同)〈障害者権利条約国連が日本審査 障害者ら現地で課題訴え〉(8月25日配信)が比較的詳しいようです。
OHCHR(国連人権高等弁務官事務所)のプレスリリースも出ています。私も最近知ったのですが、プレスリリースの英語版とフランス語版はそれぞれ別のチームが独自に作成しているもので、いずれかの言語によるリリースを翻訳したものではないので、内容がけっこう異なっています。
1)Experts of the Committee on the Rights of Persons with Disabilities Commend Japan on Providing Compensation to Victims of Eugenic Surgery, Ask Questions on Institutionalisation and Inclusive Education(障害者権利委員会の専門家、優生手術被害者に対する補償を称賛するとともに、施設措置やインクルーシブ教育について質問)
https://www.ohchr.org/en/press-releases/2022/08/experts-committee-rights-persons-disabilities-commend-japan-providing
2)Les experts du CRPD s'inquietent de l'institutionnalisation massive des personnes souffrant de handicaps psychosociaux au Japon et de prejuges profondement ancres a l'egard de ces personnes(CRPDの専門家、心理社会的障害がある人が日本で大規模な施設措置の対象とされていることや、これらの人々に対する根深い偏見を懸念)
https://www.ohchr.org/fr/press-releases/2022/08/experts-committee-rights-persons-disabilities-commend-japan-providing
以下、障害のある子どもの権利保障に関してどのような質問が出されたか、プレスリリースから抜粋して紹介します。プレスリリースでは政府代表団の回答も紹介されていますが、回答は基本的に日本語で行なわれており、動画で容易に確認できますし、わざわざ訳すほどの内容でもありませんので、省略します。なお、最初に出てくるルシュクス委員(リトアニア)は、キム・ミヨン委員(韓国)とともに、国別共同報告者(Country Co-Rapporteur)として日本の報告書審査を主に担当した委員です。
なお、DPI日本会議〈障害者権利条約 初の対日審査(建設的対話)が終了しました。積極的な障害者施策の改善を強く期待します〉に、日本担当国別報告者のひとりであるキム・ミヨン委員が最後に行なったまとめの発言の書きおこし(日本語通訳)も掲載されていますので、あわせてご覧ください(英語版のテキストもすでに公開されています)。最後のほうは感極まって涙声になっている様子でしたが、政府代表団の不誠実な姿勢への失望を反映したものでしょうか。
委員会の総括所見は、会期終了(9月9日)の翌週には、第27会期のページで先行未編集版として公開される見込みです(追記:9月9日の夜に公開されました)。その他の関連資料もこのページに掲載されています(日本語による関連資料は外務省のサイトを参照)。
「障害のある子どもの権利」に関する国連・子どもの権利委員会と障害者権利委員会の共同声明(2022年3月21日発表)の日本語訳もご参照ください。
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