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アート・小説エッセイ

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小説、映画、アートにまつわるエッセイ。
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2018年3月の記事一覧

春なので、種を蒔く

春なので、種を蒔く

三寒四温、とはこのことで、先日20度まで上がったと思いきや、今日は一日中10度を切っていた。

それでも春はすぐそこまで来ていて、ふと視線を横にずらすと、桜のつぼみがほころびかけている。

春は、何かを始めたくなる季節だ。あたたかい風が、私の背中をふわっと押してくれるから。

先日、エッセイを書かせてもらった本、『でも、ふりかえれば甘ったるく』(略してでもふり)が発売された。幸せ、をテーマとしたオ

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春の居処

春の居処

春はいったい、どこからやってくるんだろう。

5時を過ぎてオフィスを出ても、まだ空が明るいところから?

夕日のまなざしが、駅の構内案内図のふちを、色濃く染めるところから?

ダウンコートを2ヶ月ぶりに脱いで、チェスターコートになって、肩の荷が物理的に降りるところから?

玄関の扉を開けて、家のなかより外のほうがあたたかいと、気づいたところから?

春は、いろんなところからやってくる。

私がこの

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ハッピーエンドだなんて誰が決めるの

ハッピーエンドだなんて誰が決めるの

タイトルからして、『ハッピーエンド』じゃなさそうだ。

そんなことを思いながら、見に行った。

いつも、私が選ぶ映画では、夫は隣で退屈してしまう。

わかっているのに、でもいつも誘ってしまう。逆に、彼が私を誘う映画は、見終わると頭が痛くなる。激しい音や怒鳴り声、めまぐるしいカットに、五感がやられてしまうのだ。

だから私が選ぶ映画は、必然的に「低刺激」の映画になる。長回し、少ない会話、静かな音楽、

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