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アート・小説エッセイ

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小説、映画、アートにまつわるエッセイ。
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2017年6月の記事一覧

今更だけど『嫌われる勇気』を読んでーー生きやすさは「課題の分離」にある

今更だけど『嫌われる勇気』を読んでーー生きやすさは「課題の分離」にある

最近寝る前に大ヒットセラーの『嫌われる勇気』とその続編の『幸せになる勇気』をぱらぱらと読み返しています。『嫌われる勇気』の方は一年前くらいに読んで、そこからしばらく放っておいてました。

でも再び読んで、ああこれはなんども読み返すべき本だ、というか、読み返していくところに価値がある本だな、と実感しました。

『嫌われる勇気』では一見当たり前のことも書いてあります。読むと「なるほど確かにそうだな〜」

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どこまでも厳しく、それでいて優しい映画、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

どこまでも厳しく、それでいて優しい映画、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

高校2年生のころ、シカゴに引っ越しました。そのころといえば、友だちといるのが最も楽しい時期。

別れが名残惜しくて、別れをするのに必死で、シカゴでの先の生活なんて、考える余裕がありませんでした。

シカゴ行きの飛行機に乗って初めて、「で、シカゴってアメリカのどこらへんにあるんだっけ?」という思考にたどり着くものの、携帯は使えない機内、ガイドブックも持っていない私。

画面に映る「あと何マイルです」

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電線すら愛おしい...新海誠『言の葉の庭』

電線すら愛おしい...新海誠『言の葉の庭』

ヨーロッパと言えば、の後に続くのは数あれど、そのうち早めに出てくるのが「綺麗な街並み」じゃないでしょうか。

ドイツも都市によりますが、古い町並みを残しているところは、こっちが飽きるくらい建物の外観が統一されています。

翻って日本。特に東京をはじめとする都会は、大変ごちゃごちゃしています。

私はそのごちゃごちゃに慣れていたので、それが嫌ってほどではなかったんですが、ドイツの街に慣れると(昨年

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小説がもたらす開放感はどこから来る?柚木麻子『本屋さんのダイアナ』と、村上春樹『恋するザムザ』を読んで

小説がもたらす開放感はどこから来る?柚木麻子『本屋さんのダイアナ』と、村上春樹『恋するザムザ』を読んで

そういえば昔の頃はよく、現代日本の女性作家さんの小説をよく読んでいました。村山由佳、あさのあつこ、佐藤多佳子、梨木香歩、とか。

いつの間にか読まなくなったのは、彼女たちが描く女性が自分と近くなってきたからかもしれない。なんだろう、感情移入しちゃうというか、近すぎてべったりしているというか。まあそれがもちろんこれら作品の魅力でもあるんだけれど。

逆に高校を過ぎてから、高校生が主人公なことが多い

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