八代目儀兵衛を #マーケティングトレース

今日もカンブリア宮殿から、八代目儀兵衛を #マーケティングトレース する。

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赤字経営から売上10倍になるまでの軌跡

コメの自由化で赤字続きに

2004年の改正食糧法によってコメの流通がほぼ自由化し、コメが価格競争にさらされることになった。大手スーパーマーケット等が参入し、コメの価格競争が始まったことで、多くの米屋さんは廃業に追い込まれてしまう。おそらく、スーパーマーケットにできる大量廉価納品&販売が、米屋さんにはできなかったからだろう。日本人の食卓にとって米が必要不可欠だったことを考えると、スーパーマーケットにとっても、「米を安く販売して客を呼び込み、生鮮食品を一緒に買ってもらう」という戦略は合理的であったのではないかと考えられる。赤字覚悟で米を売れるスーパーマーケットと、米で利益を出すしかない米屋……勝敗は明らかであろう。

多角化に失敗するも、原点回帰で逆転へ

八代目儀兵衛も赤字が続いていた時期、”米粉ラーメン”や”米せっけん”の販売を試みたようだ(カンブリア宮殿では、失敗として扱われていたが)。しかしその後は、「美味しいお米を売ること」という原点に回帰する。八代目儀兵衛が他の米屋と違っていた点として、「各地のお米を混ぜることで美味しいブレンド米を作る技術」を磨いたことがあげられる。様々な種類のお米を混合させることで、独自の美味しい「ブレンド米」を作り出す。お米を売るしかない米屋だからこそできた発想だろう。様々なものを販売するスーパーマーケットでは、お米という単一カテゴリにそこまでの時間は投下できない(そもそもただの一カテゴリにそこまで投資するインセンティブがない)。

原点回帰ができた理由は、社長の橋本が自社のHPに記載している言葉から推察することができる。

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