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<個人店向け> 僕の写真の撮り方

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(2020年5月29日追記)
この記事に登場する弁当店「park」は2019年末に諸事情により閉店いたしました。
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僕は福岡で個人の弁当店「park」を営んでいる。

僕と僕のお店にとって、”写真”はすごく大事なコミュニケーションツールで、僕個人のSNSやお店のSNS / HP / メニュー表などに使用する写真は全て自分でスタイリング・撮影・編集をしている。(飲食業なので料理写真がほとんど)

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スマホやインスタで誰でも写真を手軽に撮ってシェアし、写真によるコミュニケーションを楽しむ時代なので、上手に撮れるに越したことはない。

どうせお店のSNSにアップするのであれば、少しでも素敵な写真をお届けしたいと思うのは、僕だけではないと思う。

僕も努力の甲斐あって(?)、写真をお褒めいただくことが良くあり、実際SNSからご来店に繋がることも多い。


プロの方の目からすれば僕の写真はまだまだだろうし、写真やデザインなどのクリエイティブ関連は確実にプロにお任せした方がいいことは知りつつ、小さなお店や始めたばかりのお店では、そこまでお金をかけられないのが正直なところ。
毎度のメニュー変更や、日々のSNS投稿のためにプロにお願いするのは多くの人にとって現実的じゃない。

自身もその立場にいる人間として、僕の写真の撮り方が、どこかで誰かのお役に立てれば...とふと思い立ち、書ける限りの事を書いておこうと思った。

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普段撮影に使用しているのは2011年に中古で買ったnikonのD5000という初心者向け一眼レフカメラと、こちらも中古で買ったsigmaの単焦点レンズのみ。
当時の中古価格で合計5万円くらいだったと思う。
今なら中古で2万円以下で買えるだろう。要するに大したカメラは使っておらず、このご時世スマホの方が綺麗に撮れるのでは?とさえ思っている。

撮影機材は他に何も使っていない。三脚も照明も使わず、カメラのみ。
撮影場所も全てお店か自宅。

僕は写真の編集はphotoshopでしているが、スマホのアプリでも十分。
つまるところ、カメラ(スマホ含む)さえあれば撮れるので、再現性はあると思う。

ちなみに撮影やカメラの基礎知識は趣味として自分で勉強した。先輩料理家さんの撮影アシスタントを何度かしたこともあるので、ほんっの少しだけプロっぽい知識もある。

8年間で獲得したほんの少しの知識と、使い込んでボロボロになったカメラで、まさに昨日撮影したのがこの写真。

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自分にはセンスがないから......と諦めず、少しでも写真を楽しめる人が増えればと思う。


1.撮影場所

特別な照明やストロボ(フラッシュ)を使わずに撮影するとなると、”撮影場所”がすごく大事になる。

かといって、撮影スタジオを借りろ!とかいう話ではなく、自宅やお店の中で、やわらかな自然光が入る場所をまずは探す。

そもそも撮影時の照明は人工的に自然光を作り出すようなものなので、自然光が入る場所で撮影をしてやれば特別な機材は必要なくなる。(あくまで素人考え)

そこでおすすめなのが窓際。

実際、僕が自宅で撮るときは和室の窓際(ベランダへ出るところ)で撮っていることが多い。

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この写真、和室の窓際に白の画用紙を敷いて撮っている。(家でわざわざ何をしているんだか......)
なんとなく撮影の裏側がわかるだけに、世のインスタグラマーさんには狂気を感じることがあるw

僕が今のお店で撮影するときは、レジカウンターで撮ることが多い。parkのレジカウンターはガラス扉を入ってすぐのところなので、入り口ガラス扉から優しい自然光が入る。冒頭で出した木のテーブルの上で撮影している2枚の写真は、まさにここ。

地下のお店など、どうしても自然光が入らない場所の場合は、なるべく明るい場所で撮影するのがいいと思う。
下の写真は以前働いていた地下店で撮影したもの。自然光がなかったので、お店の照明のあたり具合を考えて、一番明るい場所を選んだ。

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2.背景

撮影場所が決まったら、次はイメージに合う背景を決める。

いつものテーブルの上で撮るのもよいが、背景の素材感を変えるだけで見違えた写真になる。(いつものテーブルの素材感がよければ、それで素敵な写真になる)

とはいえ自宅にもお店にも、そんなに背景に使えるような場所がない......こんな時に使えるのが、布や画用紙、そして壁紙

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この写真は、前述のお店のカウンターに、背景として壁紙を敷き、その上にスタイリングしている。背景はすごく大事で、同じものを撮る場合でも背景によってその印象は大きく変わる。

壁紙は撮影で本当によく使う。僕が壁紙購入に使うのは壁紙屋本舗さん(https://www.rakuten.ne.jp/gold/kabegamiyahonpo/)など。
ここではのりなしの壁紙が1m単位で数百円〜買えるので、とても重宝している。壁紙であれば木目やコンクリート柄、大理石柄など、色や柄物がたくさんあるので、背景にもってこい。

壁紙の他に大きめの布も使いやすい。布の場合は折り目が付いていたりするので、アイロンをかけたりなるべく引っ張ったりして折り目が見えないようにする。

いつものテーブルで写真を撮ったとき、なんだか垢抜けないな.....と思ったら、背景を変えてみるとうまくいくことが多い。

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これの背景は白の画用紙。また自宅の和室で.....


3.スタイリング

背景と並行して何をどうやってどんな構図で並べるか?を考える。

ここまでの写真でお気づきかもしれないが、僕は俯瞰(真上から)で撮ることが多い。

料理の”しずる感”を全面に出したかったら俯瞰よりも斜めから寄りで撮った方が断然いいが、僕の場合、料理やお弁当を”楽しんでもらいたい”という想いが強いので、楽しい雰囲気や小洒落た感じを演出するために俯瞰で撮ることが多い。

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俯瞰で撮る場合、料理だけじゃなく、身の回りにある小物を”飾り”として写真の中に配置してあげることで、楽しげな雰囲気を演出できる。

野菜や果物、カトラリーやトーション、ドライフラワー、ドライフルーツなどは鉄板。たまに自分の手を入れてみたり。
知恵と工夫で身の回りにあるものをなんでも活用する。

あとはインスタを見たり、pinterestを見たり、素敵な写真を見つけたらどんどん真似をして、良いところは取り入れていく。

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4.撮影

撮影場所を決めて、背景やスタイリングの方向性がだいたい決まったら、撮影に入る。

撮影のとき、僕は絞り優先モード(A)で撮ることが多い。俯瞰で撮るときは絞りを可能な限り絞って、全体がくっきりと映るように心がける。逆にしずる感を出したいときは、絞りを開いて周りを少しぼかしてやる。
(スマホであればここは気にしなくて大丈夫!)

ちなみに画質モードはRAW+B。

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また自然光を利用しての室内での撮影時は、自然光を最大限に活かすために、多少暗くても室内の電気は消す
雨天/曇天で暗すぎて撮影に支障をきたす場合は少しだけ明かりをつけるか、可能であれば天気のいい日に撮影日を変更する。
あとどれだけ撮影場所が暗かろうと、基本的にはカメラに内臓しているフラッシュは使わない方がいい。光の当たり方が不自然すぎるほど不自然になるので、内臓フラッシュを使わざるを得ないような状況なら、その日の撮影は見送った方がいい。


さて、いよいよ撮影。

まさか、プロではあるまいし、一発でいい写真が撮れるなんてことはない。(というかプロでも何度も撮る)

撮っては確認し、撮っては確認し......いろんな角度から撮ってみたり、スタイリングを少しづつずらしたり変えたりしながら、そのとき自分ができるベストな1枚を探す。

僕の場合、1枚の画を撮るのに20回以上はシャッターを切っていると思う。

ただこれも慣れで、よく使う構図や、自分にとって鉄板のスタイリングが見つかってくれば、数枚で終わることもあるし、5分程度でサッと済むようになる。

ここはとにかく数をこなすしかないと思っている。僕もカメラを買って以来、数えきれないほどシャッターを押してきた。

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自然光の扱いに関していうと、撮影時は逆光、半逆光、サイド光が割と綺麗に撮れる。(特に俯瞰の場合は)
影ができて画面全体に立体感が出るからである。影のない写真はのっぺりとしてしまい、全体的にぼやけた印象となる。
なので自然光の入らない室内の場合(地下など)、店内照明の当たり方をみて、明るい場所で且つ影が少し落ちる場所や向きを探せば良い。


あと小技としては、フレッシュ感を出すために撮影直前に料理に霧吹きで水をかけたり、少しカサ増ししたり、小物で季節感を演出したり......等々、手を加えようと思えばいくらでも手を加えられる。


5.編集

編集はphotoshopで行なっている。
僕にとっては大学生の頃から使っているソフトなので、馴染みがあって使っているだけで、最近ではスマホアプリで同じことができてしまうので、わざわざphotoshopを新たに導入する必要はないと思う。

僕が編集でやることはいつも一緒で、まずはトリミング。
多すぎる余白などは切ってしまい、見せたいものが見せたい位置に来るように微調整する。インスタでは写真は正方形で見られるので、ここで正方形にしてしまうこともある。

次に明るさの調整。
露出補正で少し明るめにし、コントラストは少し強め、彩度も少しあげる。このあたりは個人の好みやお店の雰囲気などに合わせればよいと思う。アプリでフィルターをかけるのもいい。
僕はコントラストが強めでくっきりした写真に魅力を感じるので、そういう仕上げが多い。

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6.まとめ

ここまでが僕が普段やっている一連の流れである。慣れてくると、早いものだと5分程度で終わる。

自然光、背景、小物。これらに少し手間をかけてやるだけで、写真は見違えたものになる。あとはひたすら撮って撮って撮りまくる......

写真が少し上手に撮れるようになると、お仕事だけじゃなく、プライベートでも楽しい瞬間が増えると思っている。

なんでもないいつもの光景が、自分にとって”素晴らしい1枚”に変わるとなると、これまでよりも世界が少し楽しく見えるような気がする。

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