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子どもの「心の風邪」と「心の怪我」の違いって?

マガジンシリーズ【不登校の回復までの4つの段階と道のり~子どものカウンセリングと保護者相談から見えてきたこと】を書いています。

この記事は不登校シリーズ4作目です。以下を書いていきます。前の記事はマガジン内にあります。不登校の「予兆期」の記事の続きになります。


心の風邪と怪我の違い

 頑張ってきた心は時に風邪をひきます。疲れてしまった、元気がなくなって体調がすぐれない、などです。この場合、休息をとって、エネルギーが充電されたら回復して登校を始めることが多くあります。つまり、心の風邪は養生していたら治るということです。

そして、注意しなければならないのは、心は怪我もするということです。

心の風邪と怪我違いは、何でしょうか?

怪我の場合は、心の傷つき体験なので、回復したように見えても、環境に対する怖さが残ります。あの場所で怪我をしたから近づきたくない、というような具合にです。

休んでも回復して行かない場合、心の風邪ではなく心が怪我を負っている可能性があります。周囲から見たら、もう治っているんだから大丈夫でしょと言いたくなるかもしれませんが、そうはいかないのが心の怪我の場合なのです。

恐怖感や不安感が強くなっている状態で、これ以上、傷が深くならないためにその場所から逃げるという、自然な自分を守っている反応でもあるのです。


手水舎のかっこいい龍さん。今年は歳女です。


『逃げる』のは悪いこと?

逃げるのは悪いこと、わがままと思われていますが、カウンセリングの世界では『逃げる力がある』と捉えられます。

よくぞ、逃げましたね。

と言うことです。

実際に、ASD(自閉スペクトラム症)の疑いと言われ、空気が読めないけれど、人一倍繊細の子が、”集団で前へならえ”の毎日を過ごすことは、本当にしんどいことです。環境に耐えて、耐えて、耐えて、精神を壊してしまう可能性、いじめのトラウマが積み重なって感覚が麻痺していく、命まで危うくなってくる・・・そんなことが実際に起きることもあります。

人一倍エネルギーを使うわけですから、みんなにしたら当たり前のことが、その消耗はかなりきついものです。命まで危うくなってまで学校に固執するよりも、その環境から身を引くことは、本当に大切なことなのです。

厳しい社会環境の中では、いじめてくる子もいます。そんな環境から身を守るために逃げて、何が悪いのでしょう。

自分が壊れる前に、間引いて学校に行く時間や日にちを調整できると言うのは、実は力がある証拠なのです。中には、かなりストレスを抱えていて、これ以上ストレスがかかって潰れてしまわないように、調整するためのエスケープをする子もいます。家を出たのに、どこかで時間を潰して学校には行かない、というような場合です。

戦う龍さん。AIさんが作ってくれました!


何番目のストレス対処法を使ってる?

ストレスを受けた時に、私たちは3つのF(エフ)で対応すると言われています。3つのF(エフ)と言うのは、fight・flight・freezeの頭文字をとって3F戦うか逃げるか、凍りつくかと言う=自分を調整する力がある証拠でもあります。

戦う(Fight)
逃げる(Flight)
凍りつく(Freeze)


逃げるのなんて良くないこと、と大人は思うのですが
逃げるというのは技というか、真っ当なストレス回避方法とも言えます。

最も深刻な状態が、凍りついているような状態で、そこから徐々に上の段のFになっていけるよう、まずは元気を貯めることです。そのために、

【苦手なこと、嫌いなこと】<【得意なこと、好きなこと】になっていくように工夫をしていきます。

苦手なことや嫌いなことというのは、得意なことと、好きなことで元気を溜めてからではないと、やってみようという気持ちにはならない、それは大人でも同じですね。

江ノ島の洞窟にも龍さんいました。

環境調整とスケジュール調整

「予兆期」・・・この時期ではまず、休息を取って、風邪なのかどんな怪我なのかを見守りましょう。原因を問い詰められたり、何があったのかを聞き出そうとすると、この急性ストレス反応のような状態では、さらに口を閉ざすことになります。無理矢理に聞き出すことはせず、様子を見守るということがポイントで、もし子どもの方から話をしてきたら共感的に話を聞いて、環境調整やスケジュール調整をして生活の中に余白を持つように心がけます。

具体的には、こんなことを振り返ってみるとよいです。

忙しすぎないか?
学習につまずいて強い拒否感になっている?
友達関係で傷つきやコミュニケーションのつまずきがないだろうか?
周囲に気遣いすぎて疲れている?
家庭環境などで疲弊する原因になっていることはないだろうか?

そんな心配がよぎる場合、思い当たることがあればその環境を調整していくために周囲に協力を求めましょう。または危険と思われる場所から避難をして、安心して安全な環境で休むことを第一に過ごします。

では、この時期『予兆期』のまとめです。



一点だけ、例外について

を、追記でお話ししておきます。

早めにサインに気づいて、気持ちを察していくことが大切なのですが、実は、そうとは言えない場合があります。お子さんの不安に寄り添いすぎることが逆効果の場合もあるということです。

家から出ること自体が不安になっているお子さんと、外に出すことが不安になっている親御さんの組み合わせの場合などは、「行ってらっしゃい!」と潔く送り出したり、感情に焦点を当てすぎずにやるべき行動を促した方が、気持ちのスイッチが切り替わり、途端に元気になるなどもあります。

その判断を含めて、早めに担任に相談したり、カウンセラーや相談員に相談したりすることで、状況を客観的に見ることができるようになり、親御さん自身の不安を軽減していくことが結果的に子どもの不安軽減につながります。


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一般社団法人この花舎
聴くだけではないカウンセリング、これから学ぶなら「からだの声を聴く心理学」がお勧めです。保護者向け子育てプログラムや子ども支援者研修・育成を行なっています。

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