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旅の記憶 ちひろの行き当たりばったり旅記録⑤


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ヨーロッパ最貧国を知っていますか。
それはモルドバです。
モルドバと聞いてピンと来る人はまずいないでしょう。知っていても恋のマイアヒくらいだと思います。
ウクライナとルーマニアに挟まれた小さな国。公用語はルーマニア語。首都はキシナウ。
これといって有名な産業がなく、強いて言えばモルドバワイン。
基本的にはみんな出稼ぎに出ていく。
ウクライナと共に貧しい国だと言われますが、正直非ではないレベルだと感じました。

ブラショフからモルドバへの移動。
まずちゃんとした大型バスだった事に感動しました。

ですがここからが驚きの連続。
ルーマニアからモルドバへ入国するのに大渋滞。ですが逆はガラガラ。モルドバの入国管理の周辺には大量の免税店。
そこを抜けるとGoogle mapに載っている大きな国道にも関わらず、外灯がなく舗装もされていない道。さらに雪が降っている為、全く動かず。
モルドバの首都、キシナウのバス停には何もなくただの空き地。
友達が迎えに来てくれなかったら路上で確実に死んでた。

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中心部のホテルを取ったのですが、辺りはもちろん何もない。観光地と呼べるものが全くなく、中心部のショッピングセンターは薄暗い。
1番上の階にある和食?レストランにアニメキャラがたくさん書いてあり、街中にKAWAIIって名前のお店があったりと、日本を感じるところが多く、少し不思議でしたが、
いかにも壊れそうな車がたくさん走り、全体的に暗く、生気のない街。そんな印象を受けました。

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レストランに入って500円でランチをしたら、ママリガにサワークリームと粉チーズ、ただの鶏肉の炒め物が出てきました。一応モルドバではかなりの高級店らしいので衝撃を受けました。

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ですが、近くのとてもおしゃれなカフェでは、日本だと1500円くらいしそうなケーキとキャラメルラテの組み合わせで500円と物価の安さを感じます。

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その晩、友達がMall Dovaという大型ショッピングセンターに連れて行ってくれました。
そこはしっかりとしたショッピングセンターでしたが、もちろんブランド品などはありません。

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そこで流行っているスターケバブというものを奢ってもらいました。
とても美味しく、お腹いっぱいになります。

モルドバにはマックが2件あります。ですが、海外チェーンで値段が一律の為モルドバでは高級品です。
洋服屋さんもZARAなど海外のファストブランドが進出していますが、どこも高級品なのです。

モルドバでたくさん見るものがあります。
それは両替所です。観光地でもないのに、なぜこんなに両替所が多いのかずっと考えていました。
それは友人達との会話で分かりました。外国で出稼ぎをして、モルドバレイに変えるからです。
モルドバのパスポートではどんなに頑張っても最長で3年しか海外で働く事ができません。それすらも難しいのが現実です。
その為、ルーマニアのパスポートを作って外に出稼ぎに行くのだそうです。

私の友達は私の滞在中、ホテルで数日働いていました。ですが、3日間フルタイムで働いて、700円しかもらえないそうです。 そのお金で、家族を養い、長距離バスのチケットが買えるととても喜んでいました。

そういえば、その友達に初めて会ったのは、ロシアからウクライナに行く夜行列車の中で、お姉さんの結婚式の費用を稼ぐためにロシアに来たと言っていたことを思い出しました。

ヨーロッパ最貧国。全く知られていない無名な小さな国。
そこの現実はあまりに酷いものでした。

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最終日の晩、1番有名だというクリスマスマーケットに連れて行ってもらいました。
お店は5、6件しかなく、飾り付けもほとんどない空間でした。

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ですが、たくさんの笑い声が響き、子ども達が走り回っている、この国で必死に楽しく生きようとする人々の姿です。

翌朝、空港まで行こうとした際、ホテルの人が呼んでくれたタクシーが今にも壊れそうなくらいおんぼろでした。途中で数回エンストしましたが、修理するお金が無いそうです。
そのタクシーの運転手はお釣りをくれなかったのですが、たかが数百円で家族を養える、修理ができるかもしれないと思ったら安いものです。

いつかまたモルドバに来る日はあるのだろうか、でもこの国の事はもっと知ってみたい。
そう思いながら、夢の国、ロシア・サンクトペテルブルクへの飛行機は飛び立ちました。

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