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小さな一歩のお客さまへ、 これまでの経緯のご説明

株式会社小さな一歩です。私たちは、全国のひとり親の皆さまに、安心して養育費を受け取れる保証サービスを提供している会社です。

本日は、

・小さな一歩のサービスにお申込みいただいたにもかかわらず、長らく保証が開始されずお待たせしてしまっているお客さま
・ご案内した法律事務所によりご迷惑をおかけしましたお客さま
・小さな一歩からの書類発送の連絡やその他のお知らせを受け取ったお客さま

に、改めて、2020年6月のサービス開始から2021年3月までの経緯と、その全体像をご説明させていただきたいと思います。

まず何よりも、小さな一歩を信頼し、いまも辛抱強くお待ちいただき、小さな一歩からのお願いにもご協力くださっているお客さまに、感謝申し上げるとともに、長らくお待たせしておりますことを心よりお詫び申し上げます。

また、小さな一歩からの連絡やお知らせにより、ご心配をおかけしているお客さまにも、深くお詫びいたします。


小さな一歩設立の経緯

まず、小さな一歩の設立の経緯と、サービスの内容につきましてご説明いたします。

私たちは、日本の養育費不払い問題を解消するために会社を立ち上げました。日本のひとり親(シングルマザー・シングルファザー)の75%は養育費を元パートナーから受け取れていません。しかし、昨年4月の民事執行法という法律の改正により、この養育費をひとり親が正当に受け取るための下地ができ始めました。

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出典:法務省(2021)「民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律の概要」,2.

養育費を受け取れていないひとり親を、法律とテクノロジーの力を用いて手助けしたい、というのが私たちの事業です。

私たちは、ZOZO創業者の前澤友作の出資を受け、6月1日にサービス開始することとなりました。

大変ありがたいことに反響はとても大きく、サービス開始後わずか1週間で、1万人以上という、想定をはるかに上回るお客さまからの申し込みがありました。

現在の小さな一歩のお客さまは、この時期にお申し込みいただいた方々がかなりの割合を占めます。


小さな一歩のサービス内容

次に、小さな一歩のサービス内容についてご説明をさせていただきます。

小さな一歩のサービスは、「養育費あんしん受取りサービス」を柱にしております。これは、言い換えると、「養育費の保証事業」です。

このサービスは、小さな一歩がお客さまから保証料(養育費の15%)をいただく代わりに、一定の期間、お客さまに養育費の支払いをお約束する(=保証する)サービスです。

お客さまに養育費を届けるために、小さな一歩は、お客さまの元パートナーに対して、養育費の支払いをお客さまのためにお願いします。元パートナーの養育費のお支払いがなければ、サービスは成り立ちません。


サービスの具体的な流れ

(1) すでに元パートナーとの取り決めのあるお客さま

「毎月4万円の養育費をお子さまが20歳になるまで支払い続ける」といった、元パートナーとの養育費の取り決めがあるお客さまのサービスの流れを説明いたします。

サービス開始当初は、元パートナーとの取り決めのあるお客さまには、審査が通ったら、すぐに保証料を差し引いた養育費をお支払いしておりました。

お客さまから、

「離婚してからはじめて、子どもの養育費を受け取れた」

「親子が見捨てられたとずっと感じ続けていたが、小さな一歩のおかげで、はじめて希望を感じた」

「申し込んで書類を送ったらすぐに振込みがあってびっくりした」

といった感謝の声もいただきました。

しかし、養育費をお客さまに届けるには、当初の取り決めのとおりに元パートナーから養育費をお支払いいただくことが大前提です。

小さな一歩は、先に養育費をひとり親にお届けすることで、元パートナーへ養育費を請求する権利(求償権といいます)を取得し、それに基づき、元パートナーへの請求を行っています。

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そのため、元パートナーから養育費のお支払いをいただけない場合は、小さな一歩は、保証契約に則り、2ヶ月分、最大4ヶ月分の保証を行った後、養育費のお支払いをいったん停止しておりました。

そして、小さな一歩がお客さまにお振り込みした金額を、元パートナーが小さな一歩にお支払いいただけたら、保証を再開する仕組みでした。

現在は、元パートナーに合意していただくことが事業の根幹をなすと考え、この仕組みは、保証委託の合意をいただいてから保証を実施するという仕組みに変更しております。また、保証期間も2ヶ月から1年間に延長しました。

(2) 元パートナーとの取り決めのないお客さま

一方で、元パートナーとの間に、養育費の支払いについて取り決めのないお客さまもいらっしゃいます。そのようなお客さまについては、(1)の取り決めがあるお客さまとは対応が異なります。

元パートナーと取り決めがないのですから、まず法律事務所がお客さまの代理人となり、養育費の取り決めに関する書面を作成する必要があります。そして、書面の作成後に、(1)の取り決めのあるお客さまと同様に保証が開始できます。

実際には、元パートナーとの取り決めのないお客さまの方が、(1)の取り決めのあるお客さまより多いです。そしてこのようなお客さまは、一般の保証会社からは、サービス対象外とされ保証を受けることはできませんでした。

しかし、お客さまが養育費についての取り決めをまとめようとしても、どの法律事務所からも数万円〜数十万円の着手金を求められ、その着手金が支払えないお客さま、元パートナーとのやり取りに疲れて諦めてしまうお客さまがとても多いのが現状でした。

小さな一歩は、このような、養育費を受け取ることを諦めてしまっているお客さまの力になりたいと考えました。そのため、取り決めをまとめるのに必要な負担を、可能な限り小さくできる法律事務所を探すことが必要でした。

そこで小さな一歩がお客さまにご案内することとしたのが、大本総合法律事務所です。


大本総合法律事務所との関わり

大本総合法律事務所(以下「大本事務所」)は、国内に5拠点を有する、グループ弁護士数約20名が在籍する法律事務所です。

大本事務所には、小さな一歩にお申し込みされた上記(2)の取り決めのないお客さまを案内し、お客さまから取り決めの作成を依頼することとなりました。また、小さな一歩から保証後の求償権の回収についての業務を依頼することとなりました。

法律事務所にこのような委託を行った理由は、小さな一歩が株式会社であるため、弁護士でなければ行えない業務は法律事務所に委託するしかないためです。お客さまにもそのようにお伝えし、情報を共有させていただくことについてご同意をいただいておりました。

ここで私たちが特に注意したのが、弁護士法に違反しない事業内容とすることです。

具体的には、

・株式会社である小さな一歩は、法律事務は取り扱わず、名目を問わず紹介の対価を受け取ってのあっせんを行わないこと(弁護士法第72条)
・小さな一歩は元パートナーへ請求する権利(求償権)を実行しているのであり、債権を譲渡されたのではないこと(弁護士法73条)

に留意し、法的枠組みを超えないよう、ビジネスモデルについては徹底して議論を重ねました。

小さな一歩の事業が弁護士法違反とならないためには、法律事務は取り扱わず、紹介料を受け取ってのあっせんを行わないことが必要です。そして、小さな一歩が大本事務所と独立した組織として存在することが必要です。そのため、小さな一歩から大本事務所に対しては、業務の遂行はお願いしても、一体の組織であるかのように業務を進めることはしないようにしました。

また、小さな一歩は、養育費については、債権として譲渡されたのではなく、保証人として取得した求償権を行使しているに過ぎない、という立場であると整理しました。

また、お客さまの個人情報についても、非常に注意して取り扱っています。お客さまの個人情報は厳重に管理し、お客さまの同意を得た場合にのみ、必要な範囲で法律事務所に共有しております。お客さまの同意を得ずに共有することや、他の目的で使用することは一切ありません。


事業開始後の事業の進捗

大本事務所という委任先が決定し、6月にいただいた1万件を超えるお申込みのうち、上記(1)の取り決めのあるお客さまへの保証は次々と開始しましたが、肝心の元パートナーからの養育費の支払いは進みませんでした。

財政的な基盤は強固であるとはいえ、元パートナーからの養育費支払いが低い水準にとどまってしまうと、持続可能なサービスとはなりません。そのため、元パートナーから小さな一歩への振込みがないお客さまについては、前述のとおり保証契約に則り、原則2ヶ月、最大4ヶ月を上限に、保証を停止することとなりました。(追記:現在は保証期間も2ヶ月から1年間に延長しております。)

そして、元パートナーからの養育費の支払いが進まないことから、この保証を停止するお客さまが、当初の想定以上に多くなってしまいました。

多くのお客さまからは、「元パートナーが支払わないなら仕方ありません。保証をしてくれてありがとうございました」といった感謝のお声をいただきました。

しかし、元パートナーからの支払いがない状態で保証を開始した後に保証を停止したことから、「ずっと保証してもらえると考えていた。保証が止まるとは思わなかった」というお怒りのお声をいただくこともございました。

また、(2)の取り決めのないお客さまについては、ほとんどのお客さまについて元パートナーとの取り決めが進まず、ずっと保証開始をお待たせしているという状況で、その状況はまだ続いております。

これらのお客さまからは、「なぜいつまで経っても進展がないのか」との厳しいお怒りの意見をいただいております。


交渉が進まず、止まっていた理由

このような事態になったのは、大きく2つの理由があります。

1. 想定を上回る申込み

6月1日のサービス開始後、小さな一歩には予想をはるかに上回るお客さまからのお申込みがございました。
そのため、結果として事務処理に数ヶ月を要することになってしまい、最も重要な要素である「スピード」を欠いてしまうこととなりました。

もちろん、これは私たちの見込みの甘さが背景にあり、体制の不備が最大の理由と考えております。

昨年に行った「ひとり親採用プロジェクト」による積極的な人材採用と、後述する新たな法律事務所との協力関係の開始によって、現在その状況は大幅に改善しており、新規申し込みのお客さまに対応する余力を獲得し始めております。

2. 想定を下回る元パートナーからの入金

一方で、大本事務所に委任をしていた、小さな一歩のサービスの要となる元パートナーからの入金も当初の想定通りに進みませんでした。その結果、(1)の元パートナーとの取り決めのあるお客さまの多くについては、保証を停止することとなってしまいました。

また、(2)の元パートナーとの取り決めのないお客さまについて、お話が進まないケースがあまりに多く、私たちはこのままでは事業の成長は見込めないと判断しました。


大本総合法律事務所との協力関係の解消

前述のような状況を踏まえ、私たちは、大本事務所との契約を、契約の有効期限である2020年12月いっぱいで、契約を更新せず終了することとしました。

しかし、大本事務所の求めに応じて大本事務所へ報酬額を前払いした2021年1月15日の翌週より、大本事務所は、(2)の取り決めのないお客さまに対して、一斉に電話をかけはじめました。

そして、「小さな一歩はお客さまの案件から手を引いた」と説明し、顧客保護をうたいながら、当初とは大きく条件が異なる契約の締結をお客さまに持ちかけ、「契約を結び直さないと元パートナーとの交渉を進められない」と伝え始めました。

大本事務所の説明する、小さな一歩がお客さまを見捨てたかのような内容は、私たちには承服できない内容ですが、(2)の取り決めのないお客さまについては大本事務所とお客さまの委任関係となっており、小さな一歩は口出しすることができませんでした。

そのため、小さな一歩は、養育費不払い問題に関心の強い、信頼できる複数の法律事務所との協力関係を構築し、お客さまへのご案内を開始しました。

小さな一歩としては、お客さまには、大本事務所のサービス、小さな一歩の案内する法律事務所のサービス、その他のサービスを比較していただいたうえで、納得するサービスを選択していただきたいと考えております。養育費についての(2)の取り決めの交渉や書面の作成は、お客さまが自由に法律事務所(弁護士)を選んでいただくことも可能です。

多くのお客さまには、小さな一歩が新たに案内する法律事務所をご信頼いただくことができ、現在では、元パートナーとの養育費のお支払いに関する合意も、以前とは比較できないほど進み始めました。

元パートナーから、養育費を支払っていただくことは並大抵のことではありません。しかし、それでも小さな一歩は、ひとり親と、お子さまのために、その努力を続けてまいります。


お話を前に進めたいお客さまへのお願い

ここまで、小さな一歩のこれまでの歩みについて説明してまいりました。

この文章をお読みの方の中には、小さな一歩に申し込んだはよいが、一向に進捗がなく、「進捗しているのか」とお感じになっているお客さまもいらっしゃると思います。

そのようなお客さまのお話を前に進めるために、お願いしたいことがございます。

皆さまのお手元に小さな一歩からの書類が届いていることと思います。もしご返送がまだであれば、まずはそちらの内容をお読みいただいた上で、ご了承いただけた場合、ご捺印・ご送付をお願いいたします。

また、小さな一歩より追加で書類のご提出をお願いしているお客さまもいらっしゃいます。そのようなお客さまも、ご納得いただけましたら、ご対応をお願い申し上げます。

小さな一歩は、書類が整わない限り、お客さまの案件を前に進めることはできません。そのためには、お客さまのご協力が不可欠です。

お送りしている書類にはさまざまなご不明点があると思います。ご不明点はどんなものでも構いませんので、お問い合わせフォームよりお問い合わせください。迅速に回答させていただきます。

そして、このような経緯で混乱させていることのお怒りもあろうかと思います。小さな一歩への意見は、たとえ厳しいものであっても、なんでもお寄せください。すべてを拝読し、真摯に受け止め、サービスの改善につなげさせていただきます。


前澤友作の取締役退任について

なお、小さな一歩の株主である株式会社前澤ファンドの代表である前澤友作は、今年2月をもって、小さな一歩の取締役を退任いたしました。このことにより、「前澤が小さな一歩から事業撤退するのではないか」との憶測があります。しかし、これはまったくの誤りです。

当初、設立までのスピード感を優先して、便宜上、小さな一歩の代表取締役には前澤が就任いたしましたが、その直後、昨年6月のサービス開始のタイミングで、前澤は運営を任せる者に代表取締役を譲り、取締役に就任することといたしました。

そして、昨年末、前澤は、株式会社前澤ファンドによる合計13の事業への出資を決定し、2021年1月に発表を行いました。そのため、前澤は小さな一歩という1事業のみに独占的に時間を割くことができなくなり、取締役から退任することとなったのがその経緯です。他の出資先企業においても、前澤は同様に取締役には就任しないという方針を立てています。

前澤は、引き続き株式会社小さな一歩の出資者という立場から、小さな一歩に対し、経営アドバイスを始めとする全面的なサポートを行っており、今後も継続的かつ積極的に事業に関与してまいります。したがって、前澤が小さな一歩から事業撤退するという憶測は、事実ではございません。


小さな一歩は、これからどう歩んでゆくのか

ひとり親家庭のおかれた状況は、厳しいものです。子どもの貧困率は、いまだに高い水準にあり、依然として子どもの7人に1人が貧困状態にあります。また、子どもを育てるひとり親家庭が仕事を続けてゆくことは困難を伴い、コロナ禍において職が失われるケースも跡を絶ちません。

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出典:大石亜希子 (2014)「養育費の徴収強化が離別母子世帯の貧困削減に及ぼす影響 : 米・ウィスコンシン州の養育費徴収スキームを例に」週刊社会保障, 68(2766),54-59.

このようなひとり親家庭の支えのひとつとなるのが、元パートナーからの養育費ですが、大半のケースでひとり親家庭が養育費を受け取れていない現状は、本来あってはならない状況であるといえます。しかし、様々な問題がハードルとなり、本来受け取れる権利が行使できず、誰もが、そこに問題があると認識しながらも、有効な手が打てておりません。

小さな一歩は、そのようなひとり親家庭にとっての希望となるサービスを提供したいと考えています。具体的には、まず現在の保証サービスを、法的にも安全で、かつ強固なものとし、ひとりでも多くのひとり親家庭の方々に養育費をお届けできるようにしてまいります。実績を積み重ねることで、お客さまの不安を解消し、社会的な意義のある事業を構築したいと考えております。そして、そのうえで、ひとり親家庭の抱える他の課題を解決できるよう、今後の事業を展開してまいります。

掛け声だけでは実現はできませんが、ここまで述べてきたような困難を超えてもなお、実現すべき課題があると私たちは考えています。そのために、日々、小さな一歩はお客さまの声に耳を傾け、社会を少しでもよい方向に変えるべく、サービスを続けてゆきたいと考えております。

これからも小さな一歩を温かく見守っていただけますと嬉しく存じます。


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